次期フィットハイブリッドと小型EV「Honda e」が切り開くホンダの先進コンパクトカー戦略

国内No.1のN-BOX、さて次期フィットはどうだ!?

国内で最も多く売られるクルマはホンダ N-BOXだ。1か月平均で2万台以上を届け出するから、N-BOXだけで、国内で販売されるホンダ車の30%以上を占めてしまう。N-BOXを含めた軽自動車すべての売れ行きは、ホンダの国内販売の50%に達する。

この点をホンダに尋ねると「今は軽自動車の比率が高すぎる。小型/普通車をもっと伸ばしたい。特に次期フィットには期待している。もう一度、初代フィットのように成功させたい」とコメントした。初代フィットは2001年に発売され、2002年には、国内販売の1位になって、その後も好調に売れた実績がある。

期待の4代目となる次期ホンダ フィットは、2019年10月25日から一般公開される「第46回東京モーターショー2019」で正式デビューする。

>>次期フィットのi-MMDほかHondaの先進技術を画像で見る![フォトギャラリー]

理想的な次世代型ハイブリッドシステム「i-MMD」を搭載する次期フィット

フィットのハイブリッドシステムは、現行型のSPORT HYBRID i-DCDに代わり、インサイトなどに搭載される最新のSPORT HYBRID i-MMDを小型車用として新たに開発し、新型フィット ハイブリッドに搭載される。

ホンダのi-MMDは、駆動用モーターと発電機を個別に搭載するシリーズタイプのハイブリッドだ。ホイールの駆動は専用のモーターが担当するから、エンジンは主に発電機の作動に使われ、効率の良い回転を保つことができる(ただし高速巡航時は、効率向上のためにエンジンが直接駆動することもある)。

そうなると、例えば走行速度が低い時でも、高効率な回転域で発電を行う。発電効率が高い代わりに余剰な電力も生じるが、これはリチウムイオン電池に蓄えて、モーターを積極的に駆動する。エンジンを停止させた状態で走る距離が長くなり、燃費の節約が可能だ。

以前にSPORT HYBRID i-MMDを搭載するインサイトを使って、市街地と高速道路を走るルートでテストしたら、走行距離の60%はエンジンを停止させていた。実燃費もメーター表示で約29km/Lと良好で、効率の優れた走りを見せた。このシステムを小型化して次期フィットに搭載すれば、かなりの低燃費が期待できる。

またi-MMDは、モーターがホイールを駆動するから加減速が滑らかだ。モーターは瞬発力が高いため、活発でスポーティな走りも行える。今までホンダは数種類のハイブリッドシステムを開発してきたが、今後はi-MMDに統合する方針だ。

先進安全運転支援システム「Honda SENSING」はさらに進化

ホンダは2019年7月初旬、現在開発中の先進技術を披露した。この中のいくつかは、次期フィットにも採用されるだろう。

例えば衝突被害軽減ブレーキなどを作動させる安全装備のHonda SENSING(ホンダセンシング)は、自転車や夜間走行における歩行者の検知能力も高める。右折時に直進する対向車と衝突の危険が生じた時も、緊急自動ブレーキを作動させる。

またコネクティッド(通信機能)も進化する。緊急時にオペレーターを呼び出して、警察や消防に連絡を取るSOSコールを採用する。エアバッグ展開時などに、オペレーターが乗員に安全の確認を行う機能も備わり、応答がない時は車両の位置情報や被害を示すデータと併せて警察や消防に自動通報する。

ホンダ車では、近々発売されるN-WGNが安全装備を進化させ、続いてフィットも向上を図るわけだ。今は安全装備が重視されるため、冒頭で触れた通り次期フィットが初代モデルのように脚光を浴びる可能性もある。

日本導入はいつ!? ホンダ初の量販EV「Honda e」が気になる!

フィットに続いて2020年中に登場する注目の新型車として、ホンダ初の量販電気自動車となる「ホンダe」も挙げたい。35.5kWhの駆動用電池を搭載して(日産 リーフは40kWhと62kWh)、WLTCモードでは215kmの走行を可能とする。

リチウムイオン電池は床下、駆動用モーターはリヤサスペンションの中央付近に搭載することで後輪駆動を成立させた。そのために前後輪の重量配分もバランスが良く、走行安定性が優れている。

電気自動車は走行段階では二酸化炭素や排出ガスを発生させず、1回の充電で走れる距離もさほど長くないから、街中の移動手段に適する。そこでホンダeは、全長を4m以下に抑えた。全幅は3ナンバーサイズながら1750mmとされている。後輪駆動だから前輪の切れ角が大きく、小回り性能も軽自動車並みに優れている。街中で運転がしやすい。

ボディスタイルは、ピラー(柱)を立てた直線基調のデザインが特徴だ。前席は開放感が伴い、居住性は快適。後席は床下に駆動用電池を搭載したから、床と座面の間隔が不足して膝が持ち上がる。従って座り心地は窮屈だが、大人4名の乗車を妨げる心配はない。

ホンダeは、スペシャルティ感覚のコンパクトな電気自動車に位置付けられる。価格は日産 リーフなどに比べて割高になりそうだが、内外装の質と運転感覚に磨きを掛ける。

ホンダの次世代戦略は次期フィットとHonda eから始まる!

これからのクルマ造りでは、各メーカーともに衝突被害軽減ブレーキを作動できる安全装備と、そのメカニズムを活用した運転支援機能を進化させる。ハイブリッドや電気自動車の性能向上、安全性まで高める通信機能の充実も注目点だ。

ホンダでは、次期フィットとホンダeの商品化により、先進技術の方向性を明確に示すだろう。運転のしやすい小さなボディに先進技術を組み合わせるのは、ホンダの昔から続く得意ワザだ。日本の使用環境に合った新型車の登場に期待したい。

[筆者:渡辺 陽一郎/撮影:Honda・MOTA編集部]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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