ナビ不可の1200万円でも商談は順番待ち! タンドラが「実はお買い得」な納得の理由
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:トヨタ自動車/小林 岳夫/佐藤 正巳/日産自動車
新しい輸入制度により、日本でも正規購入が可能となって注目を集めているトヨタのフルサイズトラック「タンドラ」。しかし、1200万円という価格設定や、日本のカーナビが使えないといった北米仕様ならではの不便な点を知り「いくらなんでも高すぎるのでは」と感じる方もいるでしょう。
しかし実際は、すでに商談が順番待ちになるほどの人気となっています。この記事では、ランドクルーザー300を超える圧倒的なボディサイズやアメ車特有の4WD構造、そして高額で不便であっても「実はお買い得」と言える明確な理由について、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんがわかりやすく解説します。
目次[開く][閉じる]
- タンドラが待望の日本上陸! アメリカ車輸入制度で広がる「アメリカ製日本車」の選択肢
- 1200万円という価格の妥当性を検証! ランドクルーザー300と比べて納得できる理由
- 迫力ある外観! 一般向けでは最大級となるボディサイズ
- ランドクルーザー300と同等のエンジン性能! ただし「4WDの仕組み」には要注意
- 日本の道路事情に潜む「左ハンドル特有の死角」! ユーザーが直面する実際の苦労
- 1200万円でも日本のナビは使用不可! 割り切りが求められるアメリカ仕様の装備類
- アメリカ車特有の塗装品質と日本の公道を走るための仕様変更
- 1200万円でも商談は順番待ち! 現在の販売店舗と購入までの流れ
- 選択肢が広がる新しい輸入制度は、日本の車好きにとって嬉しい変化
タンドラが待望の日本上陸! アメリカ車輸入制度で広がる「アメリカ製日本車」の選択肢
これからは「アメリカで売っているのに日本で買えない日本車」が、続々と発売されます。
アメリカのトランプ大統領が「アメリカでは日本車をたくさん売っているのに日本はアメリカ車を買わない」と主張して、国土交通省が新しいアメリカ車の輸入制度を導入したからです。
具体的にはアメリカの車両基準に適合していれば、安全性などが確保されたと判断して、日本での追加試験を行わずに輸入できます。アメリカ車の輸入が大幅に容易になるのです。
この制度を利用して、トヨタはピックアップトラックのタンドラやSUVのハイランダー(セダンのカムリは輸入方法が異なります)、ホンダはSUVのパスポートとスポーティカーのアキュラ インテグラ、日産はムラーノの輸入販売を始めます。そのほかにもアメリカ製の輸入車が増えそうです。
1200万円という価格の妥当性を検証! ランドクルーザー300と比べて納得できる理由
この新制度に基づいて輸入されるアメリカ製日本車の中で、最も注目される車種はトヨタ タンドラです。
タンドラの価格は1200万円です。同じエンジンを搭載して、常に4輪を駆動できる4WDを搭載したトヨタ ランドクルーザー300「ZX」(3.5Lガソリンエンジン車)の743万6000円に比べると、456万4000円高いです。比率に換算すると1.6倍です。
ランドクルーザー300をベースに開発された上級車種になるレクサス LX600(標準仕様)の1450万円に近いです。
タンドラ、ランドクルーザー300、LX600のエンジンと駆動方式、価格を一覧表でまとめました。
| エンジン | 駆動方式 | 価格 | |
|---|---|---|---|
| タンドラ | 3.5L ツインターボ | パートタイム4WD | 1200万円 |
| ランドクルーザー300 (ZX) | 3.5L ツインターボ | フルタイム4WD | 743万6000円 |
| LX600(標準仕様) | 3.5L ツインターボ | フルタイム4WD | 1450万円 |
後述するように、タンドラがカーナビも使えず、4WDにも舗装路面で使えないといった制約があることを考えると、日本車としては価格が割高です。高く見積っても、ランドクルーザー300「ZX」と同等の740万円くらいが妥当でしょう。
しかし輸入されるタンドラ「1794エディション4WD」の価格を日本円に換算すると、今は円安ですから1100万円前後に達します。
そこに輸送費などを上乗せすると、1200万円なら妥当かもしれません。日本車では割高でも、輸入車と考えれば納得できます。
迫力ある外観! 一般向けでは最大級となるボディサイズ
タンドラは2列のシートを備えたダブルキャブと呼ばれるピックアップトラックで、全長5930×全幅2030×全高1980mmに達します。このサイズは一般ユーザー向けのクルマでは最大級です。
全長は2トン積みトラックのトヨタ ダイナ ロングデッキ(※)と同等で、全幅はさらにワイドです。
タンドラのボディサイズを一覧表でまとめました。
| 項目 | タンドラ |
|---|---|
全長 | 5930mm |
全幅 | 2030mm |
全高 | 1980mm |
最大積載量 | 400kg |
(※)ダイナ ロングデッキ:一般的な2トントラックの中で、荷台を長くした「ロング仕様」。街中で見かける配送用トラックの中でも、かなり長い部類に入るモデル。
ランドクルーザー300と同等のエンジン性能! ただし「4WDの仕組み」には要注意
タンドラはランドクルーザー300譲りのパワフルなエンジンを搭載する一方で、4WDシステムは日本で一般的な仕様とは異なります。知らずに乗ると愛車を破損するリスクもあるため、購入前に知っておくべき構造を解説します。
パワフルなV6ツインターボエンジンを搭載
タンドラは大柄なボディに、V型6気筒3.5Lツインターボエンジンを搭載して、最高出力は394馬力(5200回転)、最大トルクは66.1kg-m(2400~3600回転)を発生させます。
このエンジンはランドクルーザー300と基本的に同じタイプです。
| 項目 | 性能 |
|---|---|
エンジン種類 | V型6気筒3.5Lツインターボ |
最高出力 | 394馬力(5200回転) |
最大トルク | 66.1kg-m(2400~3600回転) |
パートタイム4WDの罠! 舗装路での使用は破損のリスクも
ただし、4WDを使う際には注意しましょう。タンドラはランドクルーザー300などと違って、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節するセンターデフなどを装着していません。
そのために乾燥した舗装路を4WDの状態で走り、急なカーブを曲がろうとすると、ブレーキが作動したような状態になります。無理に曲がると、4WDシステムを破損する心配もあります。
したがって4WDは滑りやすい悪路や雪道だけで使うことになり、ランドクルーザー300などに比べると、4輪を駆動して走行性能を高められる場面が限られます。悪路や雪道を走る機会が乏しいと、4WDの搭載がムダになります。
日本の道路事情に潜む「左ハンドル特有の死角」! ユーザーが直面する実際の苦労
圧倒的に大きなサイズに加えて、日本の左側通行の道路環境で左ハンドルを運転するには特有の死角が生じます。購入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、日常使いで想定される苦労を知っておくことが不可欠です。
タンドラは左ハンドルなので、大きな交差点を右折する時は、右ハンドル車に比べると対向してくる直進車両を見にくいです。
たとえば片側1車線の道路を走っていて、背の高いトラックなどが路上駐車している時も、対向車の接近が分かりにくいです。
このほかにも実際に使って分かる左ハンドル車の欠点は多いです。
そこで左ハンドル車ユーザーの中には、右側のフロントピラー(柱)付近に小型カメラとディスプレイを装着して、右側の死角を補っている人もいます。左ハンドル車に乗りたいけれど、安全も確保したいユーザーは苦労しているのです。
1200万円でも日本のナビは使用不可! 割り切りが求められるアメリカ仕様の装備類
タンドラは基本的に北米仕様のまま輸入されるため、日本の環境では機能が制限される装備が多々あります。高額な車両であっても「日本の当たり前」が通用しない不便さを伴うため、購入前の確認が大切です。
安全基準の違いとフォグランプの扱い
タンドラでは購入時の注意点も多いです。ホームページには「タンドラのご購入にあたって/留意事項説明書」の項目があり、複数の注意点を記載しています。
それによると衝突被害軽減ブレーキ、歩行者保護性能、車外騒音などは、日本とは基準値が異なり、一般の日本車以上に注意して運転して欲しいと書かれています。
フォグランプも国内とは取付位置が異なり、濃霧の時だけ点灯してほしいとのことです。
カーナビやディスプレイは英語仕様
装備の注意点もあります。
カーナビの地図データがアメリカ仕様だから作動しない、道路標識の検知機能もアメリカ仕様だから正しく表示されない、同様の理由で通信機能やラジオも使えません。ディスプレイに表示される言語はすべて英語で、装備の使用が制限されます。
アメリカ車特有の塗装品質と日本の公道を走るための仕様変更
「世界一厳しい」と言われる日本の品質基準とは異なり、タンドラには特有の塗装品質や、日本の法規に合わせた最低限の仕様変更が懸念点です。これらを「アメリカ車ならではの味」として楽しめるかどうかが、購入後の満足度を左右します。
日本車の基準とは異なる「塗装品質」
塗装の品質も異なります。日本で一般的に売られているトヨタの新車に比べて、塗装面の膨らみやへこみ、磨きキズ、色ムラなどがあるようです。
トヨタに限らず日本車メーカーの開発者は「日本のお客様は、塗装については、海外に比べて細かくチェックすることが多いです」と言います。つまり塗装は、国内市場の見方が例外的に厳しいともいえますが、注意すべきでしょう。
公道を走るための最低限の仕様変更
タンドラは、日本で運行できる最低限度の変更を受けて輸入されます。
日本の左側通行の仕様に合わせてヘッドランプの光軸を変えるほか、方向指示器の色をオレンジ色に変更する、メーターの表示を変える、発煙筒を装着する、最大積載量:400kgのステッカーを貼る、という具合です。
これらの注意点は、タンドラと同様に輸入販売されるハイランダーにも当てはまります。
タンドラのような注意点は、一般的には欠点ですが、アメリカ車が好きなマニアックなユーザーは受け止め方も変わります。
例えばディスプレイの英語表記などは、アメリカ車を実感させる特徴になるからです。タンドラはそのようなユーザーが買うクルマなので、不満はあまり生じないでしょう。
1200万円でも商談は順番待ち! 現在の販売店舗と購入までの流れ
高額な車でありながら、タンドラの商談はすでに順番待ちの状態が続いています。ここでは、現在タンドラを扱っている店舗や具体的な手続きの流れなど、実際に買うために知っておくべき限られた輸入台数の現状を解説します。
取扱いは一部の店舗のみ! 具体的な購入手続きの流れ
タンドラは販売方法にも特徴があります。2026年4月2日に発売されましたが、この時点での取り扱いはトヨタモビリティ東京のみです。ほかの地域は2026年夏以降の発売を予定しています。
タンドラの販売について、販売店は以下のように説明しました。
「タンドラはすべての店舗が扱うわけではありません。購入する時は、まずトヨタモビリティ東京のタンドラのホームページにアクセスして、その中の申し込みフォームに記入していただきます。この後、順番に商談を行います。商談する場所はトヨタモビリティ東京の芝浦店です」。
この説明ではタンドラはトヨタモビリティ東京芝浦店の専売車種に思えますが、そうでもないようです。
販売店では「商談はトヨタモビリティ東京の芝浦店で行いますが、タンドラやハイランダーを扱うのは専門のスタッフです。また実際の整備や点検は、有明店でも実施する可能性があります」と言います。
輸入できるのは月に80台! 大人気による順番待ちの現状
タンドラの輸入台数は、全国展開を開始した後でも1か月に80台と少ないです。販売店では「購入希望のお客様が意外に多く、商談も順番待ちのようです」とのことです。
タンドラはボディが大きく、販売店では「すべての店舗で車検やパーツの交換が行えるわけではありません」と言います。
まずはトヨタモビリティ東京で試験的に販売して、解決すべき課題が浮き彫りにされ、それを解決した上で全国展開するのでしょう。
トヨタモビリティ東京は、トヨタの直営販売会社ですから、資本が独立した販売会社よりも、意思の疎通が図りやすい事情もありそうです。
選択肢が広がる新しい輸入制度は、日本の車好きにとって嬉しい変化
ちなみにタンドラなどの輸入を開始する理由は、トランプ大統領の発言にあります。
民間企業の市場戦略に政治が関与したことになり、好ましいことではありません。前述の通りタンドラのフォグランプは、日本の道路環境に適しておらず、使い方を誤ると危険を誘発する可能性も秘めています。
その一方で、ユーザーにとっては日本車の選択肢が増えることも事実です。今回のアメリカ製日本車の輸入開始をきっかけに、欧州仕様などの日本への導入も開始されるとメリットになるでしょう。
今の日本車メーカーの多くは、世界販売台数の80%以上を海外で売っています。海外には、私たち日本のユーザーが知らない魅力的な日本車も多いので、安全を確保した上で積極的に輸入して欲しいです。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:小林 岳夫/佐藤 正巳 画像提供:トヨタ自動車/日産自動車】
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