自転車を「ちょっと避けて抜く」は違反!? 2026年4月から追い越しの新ルールが追加! 「1.5m」の間隔が必要ってホント?

  • 筆者: MOTA編集部
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クルマで走っていて、前を走る自転車に追いついたとき、あなたはどうしていますか? 対向車がいなければ少し膨らんで、さっと横を抜ける。きっと多くのドライバーがそうしてきたはずです。

その「ちょっと避けて抜けばよい」という感覚が、2026年4月1日(水)から明確な違反行為になります。

今回の道路交通法改正では、車が自転車(電動キックボードなど特定小型原付を含む)の横を通過する際のルールが初めて明文化されました。これまで「できる限り安全に」という曖昧な義務しかなかったところに、「間隔が取れないなら徐行せよ」という具体的な条文が加わります。違反すれば反則金と違反点数、悪質な場合は刑事罰の対象にもなります。

この記事では、新ルールの正確な中身、狭い道や対向車とすれ違う際の対処法、そして罰則体系、今日からやるべき運転習慣について解説します。

目次[開く][閉じる]
  1. 今までと何が変わるのか? 「なんとなく」に初めて罰則がついた
  2. 追い越し時の間隔は1.5m必要? 速度との組み合わせで判断する新基準
  3. 「この場面、どうする?」自転車追い越し時の判断に迷うケース別対処法
  4. 罰則はどうなる? いつから対象になる?
  5. 自転車への青切符導入で追い越しがしやすくなる? ドライバーへの影響
  6. トラブルを回避! 今日から変えたい4つの運転習慣
  7. まとめ:自転車の追い越しルール改正で押さえるべき5つのポイント

今までと何が変わるのか? 「なんとなく」に初めて罰則がついた

これまでの法律は「できる限り安全に」という努力義務だった

改正前の道路交通法第28条第4項には、自転車の右側方を追い越しをする際は「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定められていました。

しかしこの条文、「安全」の基準が何も定められていません。自転車の真横を時速60kmで通り抜けても、「安全だと思っていた」と言われれば取り締まりが難しい。実際、強引な追い越しによる接触事故が繰り返されながら、法律が機能しない状態が続いてきました。

今回の改正で新設される第18条第3項では「十分な間隔がないときは、当該特定小型原動機付自転車等との間隔に応じた安全な速度(徐行)で進行しなければならない。」と明記されました。

つまり「間隔が狭いのに速度を落とさなかった」こと自体が、明確な法令違反になるのです。

なぜ今このルールが生まれたのか? 「風圧」と「ふらつき」の対策

自転車の右側面への接触事故が、近年増加傾向にあります。同じ方向に進む自転車の右側をクルマが通過する際に起きる事故です。

「引き込み風」による自転車の転倒を避けるため

物理的な背景もあります。クルマが自転車の至近距離を高速で通り過ぎると引き込み風が発生し、自転車がバランスを崩すリスクがあることは、交通安全の分野で広く知られています。

予期せぬ「ふらつき」をする自転車対策

加えて自転車は、路面の段差や排水溝の蓋を避けるために急に右へハンドルを切ることがあります。この「予期せぬ動き」をカバーするための物理的な余裕を確保するとして、一定の間隔が必要なのです。

「ぶつからなければいい」という感覚の追い越しが、速度と距離の組み合わせによって事故が引き起こされてきました。今回の法改正はその現実を、ようやく条文として書き起こしたものです。

追い越し時の間隔は1.5m必要? 速度との組み合わせで判断する新基準

1.5mは「絶対」ではなく「目安」

「1.5mの間隔がないと違反」という表現をよく目にしますが、法条文に具体的な数値は書かれていません。

警察庁の有識者検討会(令和6年1月の報告書)では、欧州の事例を参考に「1mから1.5m」という数値が目安として示されています。「思いやり1.5m運動」を推進してきた愛媛県も、1.5mはあくまで条例の趣旨を具体化するための目安であり、絶対的な安全保証値ではないと説明しています。

大事なのは「何mを確保したか」より「安全な速度と間隔の組み合わせが確保できたか」という点です。法律が求めているのは数値の厳守ではなく、安全の確保です。

「認識しているか否か」で変わる目安距離

目安距離については、自転車がこちら(クルマ)の存在を認識している場合は1m以上、認識していない場合は1.5m以上といった区別が、参考情報として示される場合があります。

自転車の運転者が目視でこちらを確認しているかどうかを、追い越し前に意識しておくとよいでしょう。前方を走っていて、明らかに後ろからの車(こちら)に気づいていない自転車に対しては、より大きな間隔を取るのが安全です。

「間隔・速度・待機」の3択構造が法律上の正解

新ルールは、次の3段階で考えると整理しやすくなります。

状況判断法律上の扱い

十分な間隔が確保できる

そのまま通過

問題なし

十分な間隔が確保できない

徐行して通過

速度を落とさないと違反

間隔も徐行も確保できない

後ろを追従・待機

無理に抜くと違反

例えば、対向車が途切れない狭い道路や、見通しの悪いカーブなどで無理に追い越そうとするのは大変危険です。安全なスペースができるまでは、焦らず後ろを追従しましょう。

自転車側にも新たな義務が課される

今回の改正は、クルマ側だけに義務を課すものではありません。

自転車側にも「クルマに右側を通過される際は、できる限り道路の左側端に寄って通行しなければならない」という義務が新設されます。

違反した自転車側には反則金5000円が設定されています。

ドライバーへのメリット

・自転車が左に寄ってくれれば、追い越しに必要な間隔を確保しやすくなる

ただし、「自転車が左に寄らなかった」という事実は、ドライバーの無理な追い越しを正当化しません。

自転車側の義務履行を待てない状況なら、引き続き後方で待機しましょう。

「この場面、どうする?」自転車追い越し時の判断に迷うケース別対処法

ケース(1)狭い道で対向車がいる場合

1.5mの間隔を確保しようとすると、狭い道ではセンターラインを越えて対向車線にはみ出さざるを得ない場合があります。しかしそこに対向車がいれば、正面衝突という最悪の事態を招きかねません。

この場合の正解は「追い越しをやめて自転車の後ろで待機」の一択です。

対向車が途切れ、かつ十分な間隔が取れると判断できるタイミングまで待つ。それだけです。「後ろで待つ」は弱腰でも非効率でもなく、法律が求める正しい運転行動です。

ケース(2)自転車が道の真ん中を走っていて寄ってくれない場合

前述のとおり、自転車側には左端に寄る義務が新設されます。しかし義務があるからといって、クルマ側が無理に追い越す根拠にはなりません。

クラクションを鳴らして自転車を急かす行為は、道路交通法上「危険を防止するためやむを得ない場合」以外での警音器使用として、別途問題になる可能性があります。

自転車が自然に左へ寄るか、安全に追い越せる幅が生まれるタイミングを静かに待つのが正解です。

ケース(3)後続のクルマが詰まって渋滞してきた場合

後ろが渋滞しているからといって、前の自転車を強引に抜いていい理由にはなりません。交通法規において、前方の安全確保は後方の状況より優先されます。

もし後続のクルマがパッシングやクラクションで急かしてきたとしても、法的義務を果たしているドライバーに落ち度はありません。

後続のクルマのプレッシャーに屈して無理な追い越しをした結果の事故は、当然ながら自分の責任になります。

ケース(4)対向してくる自転車とすれ違う場合

今回新設される第18条第3項の適用対象は「同一の方向に進行している自転車等の右側を通過する場合」です。向こうから来る自転車とのすれ違いには直接適用されません。

ただし、対向自転車とのすれ違い時に安全配慮義務が不要というわけではありません。一般的な安全運転義務(第70条)は引き続き適用されます。

今回の新ルールの対象外というだけで、「何をしても構わない」ではない点を念のため押さえておいてください。

罰則はどうなる? いつから対象になる?

行政処分(反則金+違反点数)

間隔も速度も確保せずに自転車の横を通過した場合、反則行為として以下の罰則が適用されます。

クルマ種反則金違反点数

普通車(四輪)

7000円

2点

大型車(四輪)

9000円

2点

二輪車

6000円

2点

原付

5000円

2点

違反点数の2点は全車種共通です。他の違反と合算されれば、免許停止への道が近づきます。

大型車を運転するドライバーは反則金が最も高い点にも注意が必要です。

刑事罰(より重大な違反)

反則金を納めずに刑事手続きへ移行した場合、または危険度が高いと判断された場合には、刑事罰の対象になります。

× 刑事罰の対象となる重大なケース

間隔・速度のどちらも確保せずに通過した場合:3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金

危険な通過によって事故(自転車の転倒や接触)を起こした場合:「過失運転致死傷罪」などに問われ、7年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金という非常に重い刑罰が科される可能性がある

金額と懲役年数は、これまでに比べると格段に重い罰則です。

経過措置はなし! 2026年4月1日から即適用

今回の改正には経過措置が設けられていません。

つまり、2026年4月1日の施行と同時に、違反行為として取り締まりの対象になります。

「知らなかった」「まだ周知期間中と思っていた」という言い訳は通用しません。施行日以降に自転車の横を通過するすべてのドライバーに、新ルールが適用されます。

自転車への青切符導入で追い越しがしやすくなる? ドライバーへの影響

青切符導入で「ルールを守る自転車」が増える

今回の改正のもう一本の柱が、自転車への青切符(交通反則通告制度)の導入です。

2026年4月1日から、16歳以上の自転車利用者による信号無視や一時不停止などの違反が反則金の対象になります。

これはドライバーにとっても無関係ではありません。自転車が交通ルールを守るようになれば、クルマとの動線が整理され、予測しやすい走行環境になります。

自転車がルールを守ることで得られるメリット

・信号を守る自転車が増えれば、交差点での急な飛び出しリスクが下がる

・一方通行を守る自転車が増えれば、逆走自転車への対応に神経を使う場面が減る

自転車の罰則強化は「自転車側だけが得をする改正」ではなく、道路全体の交通秩序を底上げするものです。

ドライバーにとっても、走りやすくなる側面があります。

「左端に寄る自転車」が標準になる

前述のとおり、追い越される際に左端に寄る義務が自転車に課されます。これに違反すると「被側方通過車義務違反」として反則金5000円が科されるのです。

これが定着すれば、ドライバーが追い越しを判断しやすくなります。とはいえ、自転車側の義務が即座に浸透するわけではありません。

しばらくは「改正前と同じ走り方をしている自転車」も多いはずです。新ルールに慣れるまでの過渡期こそ、ドライバー側が先にルールを熟知しておくことが安全につながります

トラブルを回避! 今日から変えたい4つの運転習慣

運転習慣のチェックリスト

(1)自転車を見たら「抜けるか否か」を意識的に判断する

(2)間隔が取れないときは迷わず「減速か待機」を選ぶ

(3)自転車が左に寄ってきたら「追い越しのサイン」として活用する

(4)ドライブレコーダーを常時録画しておく

自転車を見たら「抜けるか否か」を意識的に判断する

これまでのように「なんとなく膨らんで抜く」という感覚的な追い越しが通用しなくなります。自転車を視認した時点で、「間隔が取れるか」「対向車はいないか」「速度を落とす必要はあるか」を意識的に確認する習慣を持ちましょう。

間隔が取れないときは迷わず「減速か待機」を選ぶ

「少し無理すれば抜けそう」という判断が最も危険です。間隔が不十分な状況での通過は、今後は違反です。迷ったら減速か待機。その判断が積み重なることで、大きな事故を防ぎます。

自転車が左に寄ってきたら「追い越しのサイン」として活用する

自転車がこちらを視認し、左端に寄ってきたとき、それは「追い越してください」という意思表示の一つと解釈できます。

このサインを活用して、安全に追い越せるタイミングを計りましょう。ただし自転車が左に寄っていても、対向車など他の安全確認を怠らないようにしましょう。

ドライブレコーダーを常時録画しておく

万一、自転車側から「幅寄せをされた」「危険な追い越しをされた」といったトラブルが生じた場合、ドライブレコーダーの映像が客観的な証拠になります。

ドライブレコーダーは前方だけでなく後方も録画できるタイプが理想的です。新ルール施行に合わせて、録画設定を確認しておきましょう。

まとめ:自転車の追い越しルール改正で押さえるべき5つのポイント

最後にまとめです。2026年4月1日から、クルマが自転車の横を通過するルールが大きく変わります。

新ルールのポイントまとめ

・自転車との十分な間隔が取れるなら通過してよい。取れないなら徐行。どちらも無理なら待つ

・1.5mは目安。法律が求めるのは数値の厳守より「安全の確保」という総合判断

・違反すれば反則金+違反点数。悪質な場合は刑事罰

・経過措置なし。2026年4月1日から即適用

・自転車側にも左端への寄り義務が新設。双方に義務を課すことで共存を目指す

「これくらいいいだろう」という感覚の追い越しに、今後は法的なリスクが伴います。ルールを正確に理解して、安全で自信を持った運転を続けてください。

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