NX/Q5/XC60を徹底比較 ~2リッターターボ搭載のミドルサイズSUV 対決~(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂 幸正
斬新にデザインされたインパネはスポーティークーペのような雰囲気
レクサスNXの内装は、外観と同じくシャープなデザインだ。最上部に装着されるエアコンのスイッチは手前に張り出し、その下側のドライブモードセレクトは奥まった部分に付いている。やや繁雑な印象も受けるが、操作性は悪くない。メーターも適度なサイズで、視認性は良い。
質感もレクサス車とあって満足できる。メッキパーツを含めて、細部までていねいに造り込んだ。前席の中央に備わるセンターコンソールの張り出しは大きめで、適度な囲まれ感が伴う。
前席はサイズに余裕を持たせ、座面は膝の裏側までしっかりとサポートする。背もたれの高さも十分にあり、肩まわりの支え方も申し分ない。
後席は座面の沈み方が少なめだ。もう少し柔軟性を持たせると良いだろう。座面の奥行はタップリしていて、大腿部を確実に支える。
身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半。タップリ余裕があるので、後席に座る乗員の足が前席の下に収まりにくいもののリラックスできる。頭上にも握りコブシ1つ分程度の余裕があり、4名でゆったりと乗車できる余裕を持たせた。
内装のデザインはクーペ風というか、スポーティー感覚を表現しているが、居住空間は後席を含めて広い。ファミリーカーとしても使える。
装備では、衝突の回避を支援するプリクラッシュセーフティシステムなどをオプション設定した。歩行者や自転車は見分けられないが、2車線道路などで並走する車両を知らせる機能は備わる。
前後席ともに居住性が優れ、リラックスできる雰囲気に仕上げた
Q5の内装は、外観と同様、アウディの特徴を明確に表現している。インパネ周辺の造り込みは、細部までていねいだ。ソフトパッドも豊富に使っている。
インパネのデザインはオーソドックスだが、誰が見ても質感の高さを理解しやすい。スイッチ類の操作性、メーターの視認性が良いことも、このデザインのメリットだろう。
エアコンやカーナビのスイッチは、手探りの操作がしやすい。ATレバーも前後にストレートに動かすタイプだから、古いクルマから代替えしても違和感を抱きにくい。
前席はサイズに余裕があり、座り心地は適度に柔軟だ。体を包むような座り心地で、サポート性が良いから着座姿勢も乱れにくい。
後席は体の沈み方は少ないが、ボリューム感は相応にある。床と座面の間隔に余裕を持たせ、腰の落ち込む座り方になりにくい。
身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座った同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ分。後席の乗員の足が前席の下に収まりやすく、ゆったりと快適に座れる。頭上にも握りコブシ1つ分の余裕があり、ファミリーでも使える快適なSUVに仕上げた。
スポーティーとか、豪華という雰囲気ではなく、リラックスできる印象がある。このあたりも外観のデザイン、さらにいえば4WDのクワトロシステムが生み出す運転感覚にも似ている。
安全装備では、並走する車両を検知して、気付かずに車線変更を開始すると警報を発する機能などが備わる。
伝統と新鮮味を感じさせ、安全装備の充実度を大幅に高めた
XC60の内装は、外観と同じように伝統的な馴染みやすさと新鮮味を調和させた。ATレバーなどは扱いやすく、エアコンのパネルも手探りの操作がしやすい。
その一方でメーターは新鮮。エレガンス/エコ/パフォーマンスの切り替えが可能で、パフォーマンスではエンジン回転を示すタコメーターが大きく表示される。峠道や高速道路といった走るシーンに応じて、メーターの表示を変えると気分も盛り上がる。
前席の座り心地には、ボリュームを持たせた。体の沈み方が大きめで、スッポリと包み込まれる感覚だ。背もたれの両側もサポートを利かせた。
後席もしっかりと造り込まれ、座面の柔軟性にも不満はない。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ分になる。床と座面の間隔が十分にあり、後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすいから、快適性も向上した。頭上にも余裕があり、握りコブシ1つ半が収まる。多人数の乗車にも適する。
基本的には居住性の優れたファミリー向けのSUVだが、メーターの表示などにはスポーティーな雰囲気も盛り込んだ。幅広いユーザーが満足できるように工夫している。
装備では安全面に注目したい。前方はミリ波レーダー/赤外線レーザー/デジタルカメラが監視して、車両だけでなく歩行者や自転車も検知する。事故の危険が生じると警報を発し、ドライバーが回避操作をしない時は自動的に緊急ブレーキも作動させる。死角に入る並走車両を検知して警報したり、後退しながら車庫から出る時など、側方から近づく車両を知らせる機能も採用した。安全装備の充実度は高く、なおかつそれらが標準装着になっている。
内装・装備の総評
3車種ともに内装のデザインは外観とイメージを調和させている。レクサス NXは金属的な感じで、好みは分かれると思うが、スポーティーな仕上がりだ。
アウディ Q5は、セダンのA4などに通じるデザイン。スイッチやメーターの配置はオーソドックスで馴染みやすく、細部までていねいに仕上げた。上質なリラックス感覚が漂う。
ボルボ XC60は、オーソドックスな感覚と新鮮味を融合させている。インパネの基本デザインは実用指向だが、メーターの表示などに遊び心を感じる。
居住性については、3車種ともに特徴があるが、いずれの車種も4名乗車が可能だ。内外装のデザインが個性的で、後席を含めて快適に座れるのは、ミドルサイズSUVに共通する持ち味だろう。
そしてオフロードSUVと違って床が低めに抑えられ、着座位置は適度だから、セダンやワゴンと比較しても乗り降りがしやすい。
装備については、今は安全面に関心が集まっている。機能は車種によって異なり、最も先進的なのはボルボ XC60だ。ミリ波レーダーとカメラを組み合わせて、歩行者や自転車も検知する。この機能はスバルのアイサイトに似ているが、XC60は側方や後方に向けたセンサーも備える。車種による機能の違いを把握して選びたい。
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