VW ティグアンTDI 4モーションで北海道へ |“歴史を感じる鉄道体験”の旅【後編】〜夕張支線や保存車両にオヂサン大騒ぎ〜(4/4)

  • 筆者: 遠藤 イヅル
  • カメラマン:小林 岳夫・オートックワン編集部
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超レアな客車が居酒屋に!? 保存車で楽しむ美瑛の夜

ところが、今日はまだこれで終わらないのが今回の旅のキモです。取ったお宿は北海道を代表する超有名観光地・美瑛なのですが、ここに来た理由は観光ではなく、これまた鉄道目当て。 鉄道ファンではよくあることです(笑)。美瑛で取った宿は「駅の目の前」です。部屋の窓を開けると美瑛駅が見えるというシチュエーション。ここも探し出して選びました。

濃厚だったこの日の最後を飾る「鉄道スポット」は実はまだあるのです。それが、“保存客車を改造した居酒屋”「居酒屋まる」です。最後まで濃厚を押し通しました! しかも車両は極めて貴重な「特ロ(ろ)」の生き残り、元「スロ52 4」→保健車「スヤ52 2」です。

保健車って聞きなれない言葉だと思いますが、診断設備やX線の機械を積み各所を巡回して国鉄職員の健康診断に用いられた車両でした。特ロ、保健車の現存は極めて少なく、とても貴重な車両です。この中で飲み食べできるなんて、考えただけでもワクワクします(涙)。

美瑛駅から1kmほど離れた住宅街に突如現れる「居酒屋まる」の店舗(客車)は、隣接する「ライダーズハウス蜂の宿」が経営しています。

初秋とはいえ日が落ちた北海道の夜は寒く、足早に客車に乗り込みます。デッキのドアを開ければ、そこは車内。シート類はありませんが、スロ52特有の狭い窓と北海道仕様特有の二重窓は健在。この中で飲み放題1000円(安い!)と美味しいおつまみをいただくのは至福でございました。台車も残されているので、車内を歩くと車両が揺れ、TR40B台車の揺れを少しだけ感じることができました。

そういえば「特ロ」ってなんなの?ということですよね。

終戦後日本はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって占領されていたことはご存知の通りですが、彼らが日本国内を移動するためには鉄道を利用していました。戦後の混乱の中で鉄道も復興が進み、1949(昭和24)年には特急列車の運転も復活しています。しかし占領軍のCTS(民間運輸局)は特急に連結される車両、特に2等車(今でいうグリーン車)のサービス水準に大きな不満を持っていました。日本ではそれまで優等客車でも向かい合わせのシートだったため、現在の特急列車で使われているような2人掛けが一方向に並び、回転・リクライニングするシートは存在しなかったのでした。そこでCTSは国鉄にリクライニングシートを備えた客車の製造を命じます。国鉄は未経験の客車開発ながらも1950(昭和25)年に苦心の末「スロ60」を生み出しました。

実は国鉄はこの客車を1等車(イ)の「スイ60」で登場させたかったのですが、CTSは「2等車(ロ)で出すように」と頑なにその要求を受け入れませんでした。しかしこれまでの2等車と比べたら、レベルが大きく上がり格差ができてしまったことは確かでした。そこで国鉄はリクライニングシートを備える2等車を「特別2等車=特ロ」と呼んで区別し、乗客からも特別料金を2等料金とは別途で徴収することになりました(のちに特別2等制度は廃止)。

つまりこの保存客車は、このように戦後の日本の姿までも語ることができる歴史を持っているのです。道端に何気なくある車両にもロマンがあるのですね。

これぞ「ザ・北海道」! 雄大な景色にも良く似合うティグアン

そして翌日。ついに旅の最終日となりました。お昼頃までに千歳市内に行けばいいので、ザ・北海道とも言える美瑛の景色を楽しむドライブをすることにしました。

2日目までの不安定な天気はどこへやら、空は晴れ渡って素晴らしい天気です。ケンとメリーの木やセブンスターの丘など美瑛の有名スポットを巡ってティグアンをその景色に置いてみると、欧州のような美しい光景にドイツ生まれのティグアンは見事なマッチングを見せてくれました。

クルマで大事なのはもちろん乗った時の感覚ですが、ずっと眺め続けるダッシュボードのデザインや、降りてから自分のクルマを見た時に「ああ、ぼく(わたし)のクルマって、なんてかっこいいのだろう」って感激することって、大事なのだと思うのです。

端正なスタイルのフォルクスワーゲン ティグアンは、時代に流されない飽きのこないデザインが魅力です。もしオーナーになったらきっと雄大な景色の中でクルマを見つめ、写真を撮りまくってしまうに違いないです。だって、実際にぼくはこの2泊3日ですっかりティグアンに愛着を感じてしまいましたもの!

鉄ちゃん御用達!? SUVの機動性の良さに改めて感動

ずいぶん長いレポになってしまいました(涙)。でも短い時間の中で“歴史を感じる鉄道体験”の旅はできたのではないかと思います。

鉄道趣味なので全行程鉄道で回りたいのは本望で、鉄道を残すためには乗車することも大事です。ただ今回のような保存車や廃線巡りなどの場合、公共交通機関でのアクセスが悪かったり本数が少ない場合ですと1日で回れる箇所が著しく制限されることがあり、効率が悪くなってしまいますよね。しかも廃線跡を見るためには近づける道路が整備されていないことなども多いのです。

そんな時、ティグアンのようなコンパクトで4WDのSUVの威力は絶大。普段セダンで鉄道保存車巡りをしているぼくには入っていけないような未舗装や旧坂の脇道も難なくこなしますし、視界もいいので長距離もラク。車内はボディサイズからは想像できないくらいに広く、ぼくもリアシートで移動してみましたが快適そのものでした。リアの乗り心地がちょっと跳ねるような荒れた路面では、ドライバーに「4モーション アクティブコントロール」スイッチをオンロードモードの「コンフォート」に切り替えてもらいましょう(「コンフォート」はアクティブシャシーコントロール“DCC”オプション装着車で選択が可能です)。

もちろんカメラやスーツケースなど、旅の荷物もたっぷり積めますよ!

なお千歳空港到着時の全行程で1177kmを走破、平均燃費のメーター表示は17.0km/Lを示していました。カタログ値(JC08モード)では17.2km/Lですので、カタログに極めて近い数字が出たことに。バンバン乗ってもぼくの古いサーブの倍以上走るのですから羨ましい(涙)。

鉄道趣味との高い融合性を見せたティグアン。アクティブに行動するのにはやはりSUVは最高の相棒になることがわかりました。しかも燃費とパワーを両立するディーゼルで、フルタイム4WDのTDI 4モーションということでしたら鬼に金棒です。写真、トレッキング、キャンプ、ウインタースポーツなどあらゆる趣味をより楽しくしてくてること間違いありません。

T編集長もKカメラマンもご満足いただけたようでヨカッタ!

ねえねえT編集長、また「クルマ×鉄道」の旅、しませんかー?

[筆者:遠藤 イヅル/撮影:小林 岳夫・オートックワン編集部]

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遠藤 イヅル
筆者遠藤 イヅル

1971年生まれ。カーデザイン専門学校を卒業後、メーカー系レース部門にデザイナーとして在籍。その後会社員デザイナーとして働き、イラストレーター/ライターへ。とくに、本国では売れたのに日本ではほとんど見ることの出来ない実用車に興奮する。20年で所有した17台のうち、フランス車は11台。おふらんすかぶれ。おまけにディープな鉄ちゃん。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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