ボルボの未来を決定付ける新たなマイルストーン／ボルボ 新型「XC90 T6 AWD」試乗レポート(5/5)

エアサスペンションの乗り味は好みが分かれるところ

エアサスに関しては好みが分かれると思う。

加減速に対するクルマ自体の挙動をフラットに保つのは得意なのだが、轍などの細かい急峻な入力に対してはやや繊細。また、フワフワしたようなエアサス独特の動きももちろん出るので、「クルマを運転すること」をがっつり楽しみたいという諸兄にはメカサスのほうをおすすめしたい。

大振りなボディながら取り回し性は良好

ともあれ、これだけの車格を持つXC90で一番感激したのは、完全にストレスフリーなままどこまでも懐深く加速していきそうな高速走行でも、キャビンがフラットなままクリアしていけるコーナリングでもなく、駐車場やUターンなど、超低速域での取り回しの見事なことだった。

タイヤのキレ角にかなりの幅を持たせてあり、車体サイズからは意外なほどにぐるんぐるん回れてしまう。もちろん360度モニターやバックモニター、オフセットアラートがその取り回しをさらに使いやすいものにしている。

初期モデルにしてこの完成度！

ときに輸入車は、モデル末期のほうがコナレてていい、なんて言葉をよく聞く。確かにそれも一理ある。しかし新型XC90は「え、これがほんとに初期モデルなんですか」と聞き直したくなるくらいに高い完成度を誇る。

ここからは憶測だが、実は本国での導入は約1年前。遅れてやってきた日本モデルは、ある程度成熟をしたモデルと言えなくもないのではないか。明確なブラッシュアップがあったと公表されているわけではないが、待った分、本国の皆さんがオイシイ感じに慣らしてくださったなんて、気分の悪いことではない。あ、つい黒い考え方をしてしまった。そちも悪よのう。

とにかく今後のボルボ全体の行く末までもが無条件で楽しみになるような、優れた一台だった。

[レポート：今井優杏／Photo：和田清志・ボルボ・カー・ジャパン]

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VOLVO ALL NEW XC90 T6 AWD Inscription[4WD／エアサスペンション装着車]　主要諸元

全長x全幅x全高：4950x1960x1760mm／ホイールベース：2985mm／車両重量：2100kg／駆動方式：電子制御AWDシステム(四輪駆動)／エンジン種類：「Drive-E」直列4気筒 ターボチャージャー・スーパーチャージャー付 DOHC 16バルブ ガソリン直噴エンジン／総排気量：1968cc／最高出力：320ps(235kW)/5700rpm／最大トルク：40.8kg-m(400N･m)/2200-5400rpm／トランスミッション：ギアトロニック 電子制御8速オートマチックトランスミッション／燃料消費率：11.4km/L[JC08モード燃費](非エアサス車は11.7km/L)／タイヤサイズ：275/45R20／メーカー希望小売価格：9,090,000円[消費税込]

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