トヨタ 新型ノアハイブリッド試乗レポート|プリウスを超えた激売れミニバン、人気の秘密は”顔”にあり(2/2)

トヨタ 新型ノアハイブリッド試乗レポート|プリウスを超えた激売れミニバン、人気の秘密は”顔”にあり
トヨタ 新型ノア ボディカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン トヨタ 新型ノア(2017年7月マイナーチェンジ)サイドビュー トヨタ 新型ノア(2017年7月マイナーチェンジ)リアビュー トヨタ 新型ノア(2017年7月マイナーチェンジ)リアビュー トヨタ 新型ノア(2017年7月マイナーチェンジ)フロントビュー トヨタ 新型ノア フロント大型バンパー トヨタ 新型ノア LEDヘッドランプ トヨタ 新型ノア LEDフロントフォグランプ トヨタ 新型ノア フロント大型バンパー/フロントフェンダー/フロントグリル トヨタ 新型ノア ハイブリッドシンボルマーク トヨタ 新型ノア(2017年7月マイナーチェンジ)ボディカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン 画像ギャラリーはこちら

剛性強化や足回りの変更などで快適性が向上

新型ノアハイブリッドの走行安定性だが、全高が1800mmを上まわり、車両重量が1600kgを超える5ナンバーサイズを基本としたミニバンとしてはまずまず満足できるレベルだ。背が高いからといって、ハンドルを切った時にボディが唐突に傾く印象はない。

足まわりの設定は、ファミリーでの利用が中心となるミニバンだから、良く曲がることよりも後輪を中心に接地性を高める安定性に力を入れたセッティングだが、多少スポーティに走っても曲がりにくく感じることはない。

このあたりはハイブリッドSi専用の16インチタイヤ(205/55R16)を装着した効果でもあるだろう。試乗車が装着していた銘柄はブリヂストン トランザT001で、指定空気圧は前後輪ともに240kPaだ。15インチに比べると少しだが車両の向きを変えやすい。

新型になってフロントウィンドウやリアゲートに高剛性ガラス接着剤を使った効果は、スライドドアにシールを装着したことと併せて、主に音や振動の低減に利いている。ボディ前側の微妙な歪みも抑えられた印象で、ハンドルを切った時の反応も、曖昧さがある程度は払拭されて正確性を高めた。

乗り心地はハイブリッドの15インチタイヤ装着車が柔軟なのに対して、16インチのハイブリッドSiは少し硬い。それでもタイヤが路上を細かく跳ねる粗さは従来以上に抑えた。ショックアブソーバーの改良により、足まわりが柔軟に伸縮することも乗り心地に利いている。それでも2/3列目シートの快適性を考えると、Siの16インチタイヤよりも、XやGが装着する15インチの方が快適に感じる。それよりも鈍さのない操舵感や走行安定性を重視するなら16インチのSiが適する。

また、速度域が低い車庫入れなどの時に、ハンドルを小刻みに左右に動かして進路を調節すると、従来型の手応えは摩擦が感じられていまひとつだったが、新型では滑らかになっている。細かい点だが日常的に遭遇するシーンも多く、重要な変更だ。

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低床化で乗り降りもしやすいトヨタ ノアだが、ハイブリッド用電池が足元空間を狭めている面も

トヨタ 新型ノア ハイブリッド インパネ周辺

車内の造りは基本的に以前と同じだが、メーターパネルのレイアウトが少し変わり、メーターを縁取るリングが細くなった。またハイブリッドでは、運転席と助手席の間に新たにセンターコンソールボックスが装着される。前席から後席に車内で移動する時は邪魔になるが、小物の整理には役立つ。

ハイブリッドのXとG(Siを除く)には100V/1500Wの電源コンセントもオプション設定(オプション価格は4万3200円)され、装着した時にはセンターコンソールボックスの内部にユニットが収まる(従ってボックス容量は減る)。コンセントは背面部分、つまり2列目シートの足元に装着した。

車内は、ミドルサイズのミニバンの中では2/3列目シートが広く、大人が多人数で乗車できる空間を確保した。3列目の膝先空間は、ライバルの日産 セレナが設定した3列目にスライド機能を備えた仕様に比べると若干狭いが、窮屈には感じない。ホンダ ステップワゴンの3列目に比べると座り心地が快適だ。

注意したいのは、ハイブリッドの駆動用電池が1列目シートの下側に収まること。そのためにハイブリッドでは、2列目に座る乗員の足が1列目の下に入りにくく、実質的な足元空間が狭くなった。そうなると2列目のスライド位置が後方に下がり、3列目の足元を狭めて多人数乗車時の居住性に影響が生じる。

現行型は低床化を図り、スライドドア部分の床面地上高を360mmに抑えて、乗降性、居住性、低重心に基づく走行安定性などを向上させた。床の高さはステップワゴンと同程度で、セレナに比べると70mmほど低い。

トヨタ 新型ノア ハイブリッド専用オプティトロンメータートヨタ 新型ノア センターコンソールボックス(オープン時)トヨタ 新型ノア ハイブリッド リアシートトヨタ 新型ノア リアシート(3列目)トヨタ 新型ノア  ハイブリッド荷室4

自動ブレーキ「トヨタ セーフティセンスC」は改善の余地あり|ガソリンとハイブリッドはどっちが買い!?

トヨタ 新型ノア ハイブリッドは全般的に満足感も高いが、安全装備と運転支援の機能は改善の余地を残す。

緊急自動ブレーキを作動できるToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)は、セレナやステップワゴンが装着するタイプと違って歩行者を検知できない。また、車間距離を自動制御するクルーズコントロール、車線を読み取って中央を走れるように操舵を支援する機能なども備わらない。この点はライバル車に比べて明らかに遅れている。

さらに新型ノアを選ぶ時には、ハイブリッドとノーマルの2リッターガソリンエンジンの価格差にも気をつけたい。ベーシックなXの場合は、ハイブリッドXの装備がかなり充実していることもあって、ノーマルエンジンのXと比べた時の装備差を補正した実質価格差が約35万円の上乗せに収まる。しかし、Si同士で比べると約43万円だ。ハイブリッドSiはノーマルエンジンのSiに比べて価格の上乗せが大きく、割安なのは標準ボディになる。

実用燃費がJC08モード燃費(カタログ燃費)の85%、レギュラーガソリン価格が1リッター当たり130円で計算すると、1km当たりの走行コストはハイブリッドが6.4円、ノーマルエンジンは9.6円だ。価格差を燃料代の差額で取り戻せるのは、ハイブリッドSiでは13万km、標準ボディのハイブリッドXでも11万kmを走った頃になる。つまり1年間に1万km程度の走行では、損得勘定ではノーマルのガソリン2リッターエンジンを買うほうがいい。

しかしハイブリッドには、前述のような上質な運転感覚がある。100V/1500Wの電源コンセントも装着が可能で、アウトドアでの家電製品の使用や、万が一の災害時にも役立つ。こういった付加価値のとらえ方で、ハイブリッドとノーマルエンジンの選び方も変わると思う。

[レポート:渡辺陽一郎/Photo:小林岳夫]

■トヨタ新型ヴォクシーZS試乗レポート|デビュー4年目のマイナーチェンジでどこが変わった!?[2017/7/20]

トヨタ ノアハイブリッド Si主要スペック

トヨタ 新型ノア(2017年7月マイナーチェンジ)

トヨタ ノア ハイブリッドSi 主要諸元
新車価格3,269,160円
JC08モード燃費23.8km/L
駆動方式2WD
乗車定員7名
全長4,710mm
全幅(車幅)1,735mm
全高(車高)1,825mm
車両重量1,620kg
ホイールベース2,850mm
エンジン種類直列4気筒
排気量1,797cc
エンジン最高出力73kW(99PS)/5,200rpm
エンジン最大トルク142N・m(14.5kgf・m)/4,000rpm
トランスミッション電気式無段変速機
モーター最高出力60kW(82PS)
モーター最大トルク207N・m(21.1kgf・m)

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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