トヨタ、次世代“JPN TAXI”(ジャパンタクシー)を発売|2020東京オリンピックに向け、日本人の“おもてなしの心”をデザイン
- 筆者: 小鮒 康一
- カメラマン:小鮒 康一・トヨタ自動車
“人に優しいタクシー”発売を記念し東京・お台場で出発式を開催
日本の「おもてなしの心」を反映し、さまざまな人に優しいユニバーサルデザインを採用したトヨタの新型タクシー、”JPN TAXI”(ジャパンタクシー)が2017年10月23日に発売され、出発式が東京都江東区青海にあるMEGAWEBにて執り行われた。会場にはトヨタ自動車の豊田章男社長や、全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長、国土交通大臣の石井啓一氏などが顔を揃えたほか、大手タクシー事業者に勤めるドライバーなども招待されており、次世代タクシーへの注目度の高さが伺えた。
タクシー営業所での綿密な調査を経て開発された“乗務員にも優しいタクシー”
出発式で登壇した川鍋会長は「3年ほど前に名古屋からJPNタクシーの開発陣10名ほどが弊社(※川鍋氏はタクシー大手の日本交通株式会社 代表取締役会長)の千住営業所にはるばるお越しになり、タクシーの架装装備を外し机に一つずつ並べて『これは3年後、5年後どうなるでしょうか? 大きくなりますか? 小さくなりますか? 無くなってしまいますか?』と事細かに質問し、徹底的にタクシーについて調べて行ったんです。」というエピソードを披露。
トヨタの開発陣から、あまりに具体的かつ詳細な質問が投げかけられたため、「来年くらいに発売するんですか? と聞いたら『3年後の予定です』と言われて驚いた。」と話してくれた。
その入念かつ綿密なリサーチの甲斐もあり、JPN TAXI(ジャパンタクシー)には運転席周りに日報が入るサイズのポケットやコンソールサイドに設けられた収納など、タクシー利用者だけではなく、乗務員にも優しいタクシーに仕上がっている。
トヨタとUberの関係強化に日本のタクシー業界が猛反発! 亀裂を埋めるべく豊田章男社長がとった秘策とは
また、豊田章男社長とのトークセッションでは、6年前からタクシー業界と協力してJPNタクシーの開発を進めてきたにもかかわらず、昨年5月にライドシェアサービス大手「Uber」との提携を発表し、関係に亀裂が入ったことを赤裸々に告白。これにより、当時の全国ハイヤー・タクシー連合会会長の富田昌孝氏(現名誉会長)は「トヨタのタクシーは二度と買わない」と激怒したそうで、その話を聞いた章男社長は自ら足を運んで経緯を説明して事なきを得たと話す。川鍋会長が手にしている日本交通イエローに塗られたLFAタクシー仕様のミニカーはその時に贈られたもの。当日は章男社長自らそのミニカーにモリゾーステッカーを貼る一幕も見られた。
2020年オリンピック/パラリンピックで東京に「深藍(こいあい)」カラーのタクシーが走る
タクシーと言えば事業者ごとに異なるボディカラーを採用していることでも知られるが、今回のJPNタクシーに関しては、2020年の東京オリンピック/終了まで都内を走る車両は全て「深藍(こいあい)」カラーの車両を走らせることで同意したとのこと。そのため、事業者を見分けるにはフロントドアに入れられた事業者名か行灯を凝視する必要があるだろう。
では、なぜそうなったのかというと、実は東京都は東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の開催にあわせ、環境性能が高く、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインのタクシー車両の普及促進を図るために行う「次世代タクシーの普及促進事業」を行なっており、1台当たり60万円の補助金を出している。そのため、タクシー業界としても東京オリンピック/パラリンピックを盛り上げようということで、ナンバープレートも記念ナンバーを採用しているというワケなのである。また、トヨタでも初めからリアドアに東京オリンピック/パラリンピックのロゴをラッピングした状態でお値段据え置きというお得な(?)「深藍限定車」というものを用意している。
すでに1300台ほどの受注を受けているJPNタクシー。東京モーターショーの開催に合わせて10月28日(土)~11月5日(日)の9日間、東京ビッグサイトおよびMEGAWEBを出発し、湾岸エリアを周遊観光するなどの乗車体験も予定しているそうなので、ぜひ次世代タクシーを体験してみてはいかがだろうか?
[レポート:小鮒康一/Photo:小鮒康一・トヨタ自動車]
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