プリウスの1.5倍も売れてる人気車の大変貌に北米が衝撃!新型カムリ日本でも成功なるか(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
トヨタ新型カムリがレーシングカーで登場!?
ズドドドドドドォ!!地響きする、V8サウンド。バァブェン、バァブェン、バァブェン!
アクセルを大きく煽って、ショー会場の天井を突き抜けんばかりの爆音。
北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)2017での、トヨタ記者会見の壇上に登場したのは、2017年モンスターエナジーNASCARカップに出場する、トヨタ新型「カムリ」のレーシングマシンだ。
昨シーズンまでは、スプリントカップシリーズと呼ばれていた、全米最大級のレーシングシリーズに、エナジードリンク「モンスターエナジー」の冠スポンサーがついた。
新シリーズは2月26日の「デイトナ500」で開幕。そこに出場する、トヨタのファクトリーチームのひとつ、ジョーギブスレーシングからカイル・ブッシュとデニー・ハムリンがデトロイトショーでの新型「カムリ」発表に駆け付けたのだ。
両ドライバーはプレゼンターの豊田章男社長とジョークを交えた会話を披露し、会場内は一気に明るい雰囲気になった。
こうした、トップクラスのモータースポーツと「カムリ」との密接な関係。日本人にとっては、なんだかピンとこないはずだ。
日本での「カムリ」は、300~400万円の高級ハイブリッド車。ゆったりと暮らす中高年向けのクルマ、というイメージが強い。そのため「カムリ」で本格的なレース、という発想には結びつかないと思う。
アメリカの「カムリ」は、「安全パイ」だったのだが…
実は、こうした「カムリ」に対する、ユーザーからのコンサバなイメージはアメリカでも同じである。
アメリカでの新車販売の50%強は、ライトトラック。これは、ピックアップトラックとSUV、さらにはクロスオーバーを含めたカテゴリーだ。残りの50%弱の中で、最も販売量が多いボリュームゾーンが、C/Dセグメントだ。Cセグメントは中小型車で、Dセグメントは中型車を意味し、近年はこれらをまとめてC/Dセグメントと呼ぶ。C/Dセグメントのほとんどが、4ドアセダンで、その中心にいるのが「カムリ」だ。
「カムリ」は、2016年の北米トヨタ総販売台数244万9639台のうち、38万8618台を売り上げている。北米での全メーカーで、乗用車部門の15年連続販売台数No1を達成した。
日本での2016年乗用車販売台数トップは、「プリウス」だが、その1.5倍も売れてスーパー人気車なのだ。
日本では、「カムリ」がアメリカで、これほど大量に売れていることを知らない人が大勢いるだろう。
そして、こう思うだろう。「なぜ、カムリがそんなに売れるンだ?」
その答えは「安全パイだから」である。
・トヨタ車だったら、壊れないはず
・C/Dセグメントとしては標準的な価格
・リセールバリュー(中古で売る時の価格)も高い
・家族の誰もが「特に文句を言わない」上質な見た目と乗り心地
といった、「カムリ」を買っておけば、まず「間違いない」という「安全パイ」的な発想が強いのだ。
つまり、日本で日本人が抱いている「カムリ」に対する商品イメージと、大きな差はないのだ。そうしたコンサバな「安全パイ」のイメージを払拭するため「カムリ」をNASCARの主力モデルに選び、「安全パイ」の殻を破ろうとしてきた。
とはいえ、やはり「カムリ」はアメリカでの「安全パイ」であり、アメリカ人はそれで満足してきたと、私は思っていた。
ところが、今回の新型「カムリ」は、そうした「カムリの常識」を根底から覆してしまったのだ!
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