【解説】軽ワゴンNo.1の燃費「32.4km/L」を達成!スズキ 新型ワゴンR“S(スーパー)エネチャージ”新型車解説/渡辺陽一郎(2/2)

【解説】軽ワゴンNo.1の燃費「32.4km/L」を達成!スズキ 新型ワゴンR“S(スーパー)エネチャージ”新型車解説/渡辺陽一郎
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軽自動車初「後退時左右確認サポート機能」を搭載

スズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/エンジンルーム

エンジン本体は従来型と同じだが、アルトエコで採用された燃焼効率の向上、摩擦抵抗の低減、CVT(無段変速AT)の最適化などが行われ、さまざまな技術の積み重ねによって「32.4km/L」の燃費を達成した。

動力性能自体に変更はなく、最高出力は「52ps(6,000rpm)」、最大トルクは「6.4kg-m(4,000rpm)」だ。

スズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/後退時左右確認サポート機能のイメージ画像
スズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/自動俯瞰機能 表示例1スズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/自動俯瞰機能 表示例2

低燃費化以外の変更点としては、ワゴンRスティングレーにメーカーオプションとして設定されるカーナビのバックモニターに、移動物の検知機能を組み込んだ。

バックモニターの視野内部に左右方向へ動く物体があると、モニター内の表示やブザーで注意をうながす。駐車スペースから後退しながら出庫する時など、歩行者や自転車の接近を知らせるから安全性が高まる。

バックモニターにも工夫を施し、後退しながら車庫入れを行って停車位置に近づくと、モニターを真上から見た画像に切り替える。従来以上に駐車位置を把握しやすくなった。

ヒーターの性能を高めたことも特徴だ。エンジンの始動直後には、CVTクーラーに冷却水が流れるのを遮断し、水温を早期に上昇させてヒーターの利きを高める。FAを除く全グレードに運転席のシートヒーターを装着し、4WDでは助手席にも備えている。

このほかターボを装着したエンジンを搭載する「ワゴンRスティングレー T」には、車間距離制御のないベーシックなクルーズコントロールも採用した。

内外装もアレンジされ、すべてのグレードにわたってフロントマスクは存在感を強め、内装の質感も向上させた。

スズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/インパネスズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/メータースズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/フロントシートスズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/リアシートスズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/ラゲッジアレンジ2

お買い得グレードは、最良燃費で装備も充実している「FZ」!

スズキ 新型ワゴンR Sエネチャージ/フロントフェイス

マイナーチェンジを受けたワゴンRのグレード構成は、標準ボディがFA/FX/FZの3種類で、ワゴンRスティングレーにはXとターボのTを用意している。標準ボディでは、現行型でカットされた最廉価グレードのFA(107万8,920円/2WD・CVT)が復活。従来の売れ筋だったFXリミテッドは、FZ(137万2680円/2WD・CVT)に変更されている。

そしてJC08モード燃費が「32.4km/L」になったのは、標準ボディのFZとスティングレーXのみ。FXは従来と同じエネチャージで「30km/L」を踏襲し、FAにはエネチャージやアイドリングストップが付かないので「26km/L」に下がる。ターボのスティングレーTは従来と同じ「27km/L」だ(燃費数値はすべて2WD)。

そこで最も買い得な標準ボディの新型FZと従来のFXリミテッド・レーダーブレーキサポート装着車の価格を比べると、FZが4万4280円高い。ただし装備も上級化して、前述の運転席シートヒーター(従来型は4WDのみに装着)、ステアリングオーディオスイッチ、フロントバンパーのLEDイルミネーションを加えている。これらは少なくとも2万5,000円には価格換算されるので、燃費向上に要した価格上昇は2万円弱だろう。

実用燃費がJC08モードの85%、レギュラーガソリンの価格が1リッター当たり170円とすれば、1km当たりの燃料代は、従来型のFXリミテッド(あるいは新型FX)が6.7円、燃費を向上させた新型FZが6.2円になる。約2万円の実質価格差は4万km前後で取り戻せる計算が成り立つ。

しかも前述のように静粛性なども向上したから、FZに切り替わったメリットは大きい。

それにしても「燃費競争はどこまで行くのか?」と改めて思う。新型ワゴンRの燃費向上にアルトエコの技術が使われたことから分かる通り、スズキ車が変更を受けるたびに、既存車種に使われる最先端の低燃費技術が投入される。

階段を登るように、燃費性能が向上していく。となれば新型ワゴンRの低燃費技術がアルトエコにも採用されるだろう。

今回のワゴンRは「30km/L」が「32.4km/L」になったから、燃費向上率は108%だ。「35km/L」のアルトエコは「37.8km/L」になり、ミライースの「35.2km/L」を追い抜く(アクアの「37km/L」も抜いてしまう)。もちろん、ミライースも負けてはおらず「38km/L」を達成。やがて「40km/L」になるのか・・。

燃費性能を過度に追求すると乗り心地や走行安定性が悪化することもあり、何よりも大切なのは機能のバランスだ。とはいえ今の軽自動車が展開する燃費競争は、ユーザーにとって驚嘆を伴う一種の劇場型アミューズメントになりつつある。良し悪しは別にして、競争は興味を引きつけて売れ行きにも結び付く。

これからは小型&普通車が相当に奮起しないと、軽自動車の新車販売比率が50%に達しても不思議ではない。ただし行き過ぎると増税を招くなどの不都合が生じる。

軽自動車の機能と同様、クルマの売れ行きもバランスが大切だ。小型&普通車を開発する皆さんには、もっともっと頑張っていただきたい。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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