【解説】軽ワゴンNo.1の燃費「32.4km/L」を達成!スズキ 新型ワゴンR“S(スーパー)エネチャージ”新型車解説/渡辺陽一郎(1/2)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:小林岳夫
あのCMでもお馴染みのエネチャージが「Sエネチャージ」へと進化!
「どこまで行くのですかぁ?」と思わず声を掛けたくなるのが、軽自動車の燃費競争だ。今では全高が1,600mmを超えて車両重量が800kg以上の車種でも、JC08モード燃費が25km/Lを上まわるのは当たり前になった。
そして、遂にスズキ ワゴンRの燃費が「32.4km/L」に達した。2014年8月25日のマイナーチェンジで、低燃費技術をさらにテコ入れしたからだ。中核にある技術は「Sエネチャージ」。従来の「エネチャージ」、つまり電装品に電力を供給する発電を減速時に行い、リチウムイオン電池に蓄える機能を進化させたのだ。
一番の注目点は、オルタネーター(発電機)とスターターモーターをISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)に変更したことだ。
注目の「ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)」とは?
このISGは、発電とアイドリングストップ後のエンジン再始動に加え、加速時のモーターアシストまで行う。
エンジンの駆動力をモーターが支援するのは時速15~85kmの範囲で、最大で約6秒間。モーターの最高出力は1.6kW(2.2馬力)だから駆動力としてはきわめて小さいが、エンジンの負担を減らすことが可能になる。
ISGの働きは、日産 セレナの「S-ハイブリッド」に似ている。S-ハイブリッドも「エコモーター」がエンジン駆動をサポートして、減速時の発電、スターターモーターの機能を兼ねている。
このメカニズムのことを考えるたびに、オジサン世代の筆者は、30年以上も前に教習所で習ったことを思い出す。踏み切りなどでエンジンが故障した時は、マニュアルトランスミッションのギヤを1速に入れてクラッチを繋ぎ、セルモーターを回す。するとグウグウとセルモーターが唸り、エンジンが止まっていてもクルマがゆっくりと前に進む。
「セルモーターには、クルマを徐行させる程度の力はあるんだ」と思った。今にして思えば、原始的な「ハイブリッド走行」だったのかも知れない。
ISGのメリットはいろいろあり、エネチャージに使われるオルタネーターに比べて発電能力を30%向上させた。前述のモーター駆動を使うことで、アクセル開度が小さい時には、エンジン出力を10%低減できる。再始動時のノイズを40%低減させるなど、快適性も高めた。
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