スズキ SX4 S-CROSS 試乗レポート／渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者： 渡辺 陽一郎
- カメラマン：阿部昌也／茂呂幸正
快適な乗り心地で、走りの良さを感じるクルマ
4WDにはオールグリップという切り替え機能を採用した。エンジン回転を高めに保って横滑り防止装置の作動を抑えるスポーツ、穏やかに走らせるスノー、前後輪を直結状態に近づける悪路向けのロック、そしてオートという4つのモードを選べる。
通常はオートにセットして、そのほかのモードは、走行状態や路面のコンディションに応じて使い分けるのが良いだろう。
そして乗り心地が快適だ。路上のデコボコを上手に吸収して、柔軟で優しい印象に仕上げた。大きめの段差では、少し角のあるショックが気になるが、通常の走行では満足度が高い。日本の道路環境にも合っている。
ただし後席に座ると、ややクルマ酔いを誘発するような印象があった。足まわりが若干ソフトで、しかも前席のサイズが大きく、側方も見にくいため、閉鎖感が伴うからだろう。それでも人によって受け取り方が違う範囲には収まる。
SX4 S-CROSSは、SUVの中では雰囲気が地味だ。エンジンも平凡で、衝突回避の支援機能は用意されない。価格は2WDが204万1200円、4WDが225万7200円になる。ディスチャージヘッドランプや17インチアルミホイールを標準装着するから妥当な価格ではあるが、買い得とまではいえない。
なので一般的には選ばれにくく、1年間の販売目標も600台にとどまるが、ベーシックな欧州車に多い「普通に使った時に走りの良さを感じるクルマ」に仕上げた。
これは国内仕様のスズキ車とは違う海外向けの乗り味に思えるが、根底では「ワゴンR」や「アルト」と繋がっているのだろう。対象となる地域とセッティングが異なるだけで、日常生活に焦点を当たクルマ造りに違いはないからだ。
スズキ SX4 S-CROSS 主要諸元
全長x全幅x全高：4300x1765x1575mm／ホイールベース：2600mm／車両重量：1140kg(FF)/1210kg(4WD)／乗車定員：5名／駆動方式：FF(前2輪駆動)/フルタイム4WD／エンジン種類：水冷4サイクル直列4気筒ガソリンエンジン／総排気量：1586cc／最高出力：117ps(86kW)/6000rpm／最大トルク：15.4kg･m(151N･m)/6000rpm／トランスミッション：CVT／燃料消費率：18.2km/L[JC08モード燃費](FF)/17.2km/L[JC08モード燃費](4WD)／タイヤサイズ：205/50R17 89V／メーカー希望小売価格：2,041,200円[消費税込み](FF)/2,257,200円[消費税込み](4WD)
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1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る
自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。
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