【試乗】スズキ 新型 アルト[37.0km/L(ガソリン車No.1低燃費)] 速攻試乗レポート/今井優杏(4/4)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:島村栄二
最新「Sエネチャージ」ではなく、あえて「素」のエネチャージを採用
というわけで、次は大本命(えへへ)のエネチャージ付きCVTモデルである。試乗したのは「X」グレード[FF]。
エネチャージはもう熟成されている技術だし、この完成度の高さと加速の気持ちよさは今更言及せんでもエエやろというくらい私的には信頼性が高い。すでに同社にはエネチャージの進化版、事実上ハイブリッドとも呼べるSエネチャージというものが存在するが、今回は減速時にバッテリーに貯めた電力をウインカーやオーディオなど電装品に使用する、素のエネチャージが搭載された。もちろんその理由は販売価格と軽量化である。
さらにアルトというクルマがベーシックな実用車という性格上、技術は入れるがトゥーマッチにならないようなバランスをも考え、エネチャージに留めたという。
正直、充分加速は鋭い。このシンプルな機構でアルトには過不足は感じないのだ。軽量化したボディに素性の良いエンジン、動力を電装品に取られることなく走りにすべて注ぎ込むことの出来るエネチャージ。シンプル・イズ・ベストなんである。
新プラットフォームのマイルドなアシのいなしに感激
両モデルともに感激したのはアシのマイルドさ。エコタイヤを装着していてもクルマがバタついておらず、路面の荒れとか穴などちいさなギャップをしなやかにいなしていくときのサスペンションの動き方がとてもフレキシブル。よく動いて適度に吸収し、インフォメーションは伝えるけれどもショックは必要以上に伝えない、とても上品なアタリだ。大きなギャップに入ったときの底付き感のなさは感動的なほどだった。
コーナリングではぎゅ~っと肩を抱き寄せられるように優しくクルマがロールし、まるでかつてのフランス車のように粘る、柔らかい旋回を楽しむことが出来る。
新プラットフォームに合わせてサスペンションも新設計されたので、今後のスズキのクルマのアシはこんな感じの味付けに変わって行く方向だという。
正直、この変更は大いに歓迎されるだろうと感じた。突き上げもないから、後部座席からの苦情も少なくなるだろう。世界的にアシは硬い方向からロールを生かす方向にシフトして来ているのは間違いない。それは乗っていて心地いいからだとしみじみこのアルトでおもった。
辛口派にはアルトワークス復刻版「アルト TURBO RS」も、あると。
実は先日の東京オートサロンで一般公開された通り、このアルトにはターボを搭載した高性能版「アルト TURBO RS」の販売(2015年3月予定)がすでに発表されている。
世のクルマ好きの皆さんはそちらを虎視眈々と狙っていると思うが、優しい乗り味のNAもかなり癒されるから、ぜひ試してみて欲しい。
[レポート:今井優杏]
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スズキ 新型 アルト「X」[2WD・ミディアムグレー2トーンバックドア仕様車] 主要諸元
全長x全幅x全高:3395x1475x1500mm/ホイールベース:2460mm/車両重量:650kg/乗車定員:4名/駆動方式:前輪駆動(FF)/エンジン種類:直列3気筒 DOHC 12V ガソリンエンジン/総排気量:658cc/最高出力:52ps(38kW)/6500rpm/最大トルク:6.4kg-m(63N・m)/4000rpm/トランスミッション:副変速機構付CVT(自動無段変速機)/タイヤサイズ:165/55R15 75V/燃料消費率:37.0km/L[JC08モード燃費]/メーカー希望小売価格:1,150,200円[消費税込み]
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