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自動車評論家コラム 2016/5/3 05:54

電気自動車(EV)で日本の自動車メーカーが中国メーカーに負ける日が近い!?(2/2)

Text: 桃田 健史 Photo: 桃田健史
電気自動車(EV)で日本の自動車メーカーが中国メーカーに負ける日が近い!?

中国でついに始まる「NEV」ってなんだ?

北京ショーに出展されたEV車たち北京ショーに出展されたEV車たち

「アメリカと手を組んだ」とは、どういう意味か?それは、アメリカのZEV法の中国版を作ったということだ。

ZEV法とは、ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法。米カリフォルニア州の環境局による大気保全委員会(CARB)が規定する法律だ。カリフォルニア州は南部のロサンゼルス周辺の大気汚染が酷く、その改善策として、世界一厳しい排気ガス規制の一環として、1990年にZEV法を施行した。

ここでは、EVやプラグインハイブリッド車、さらに燃料電池車などの電動車の普及台数を、同州内でガソリン車の販売台数の多い自動車メーカー毎に指定した。

もし、この指定台数を達成できないと、各自動車メーカーのガソリン車の販売台数1台あたり、30万円程度と推測される巨額のペナルティが課せられる。こうした厳しいZEV法は、アメリカの他の州にも影響を与えている。

自動車メーカーにとっては、アメリカは90年代~2000年代にかけて、世界ナンバーワンの自動車販売国。そのなかで、州別売上ランキングナンバーワンがカリフォルニア州だ。

そのため、日系メーカーにとっても、EVや燃料電池車を開発する際、まずは「ZEV法ありき」で開発を進めてきたというのがEV開発の実態だ。そうした世界自動車産業の図式を、中国が参考にしたのだ。

日本メーカーは当面は「プラグインハイブリッド」

北京ショーに出展されたEV車たち北京ショーに出展されたEV車たち

具体的にどうしたかというと、CARBに対する学術的なサポートをしている、カリフォリニア大学デービス校(UCD)に対して、中国の国立自動車研究所(CATARC)と一緒に中国版のZEV法を作って欲しいと、中国政府がアメリカ政府に持ち掛けたのだ。

そうして生まれたのが、NEV法(ニュー・エネルギー・ヴィークル規制法)だ。そのNEV法が2016年に入って、具体的な内容が徐々に明らかになり、自動車メーカー各社は情報収集に躍起になっている。

つまり、EVや燃料電池車などの電動車について、自動車メーカーが気にするのは、世界一の自動車製造・販売国の中国と、第二位のアメリカだ、ということ。この2国のみが、電動車の販売台数に対する厳しいペナルティを課すからだ。

一方、日本の場合、こうした厳しい規定がない。あるのは、経済産業省が自動車産業界と連携してまとめた「次世代戦略2014」のなかで、ざっくりとした「達成目標」を提示しているだけだ。

日本政府としては、自動車産業の自主性に任せるものであって、政府が強制的に指導するのは“いかがなものか”と「逃げ腰」である。そんな弱気の日本を尻目に、中国はアメリカとタッグを組んで、EVの本格普及に乗り出す構えだ。

だが、日系メーカーの一部では「前回の十城千両で痛い目にあったから、少し様子を見たい」という声が聞かれる。 その結果として、日系メーカーは当面は「プラグインハイブリッド車止まり」の事業戦略しか公表していない。

こんな弱腰で、本当に大丈夫なのか?

気がつけば、EV産業界は中国とアメリカに牛耳られてしまうのではないのか?そんな強い危機感を、北京で感じた。

[Text:桃田健史]

筆者: 桃田 健史
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