世界で急速な普及の「ライドシェア」いわゆる白タク、日本では考えられない世界のタクシー事情(2/3)

  • 筆者: 桃田 健史
  • カメラマン:桃田健史/GM/オートックワン編集部
世界で急速な普及の「ライドシェア」いわゆる白タク、日本では考えられない世界のタクシー事情
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日本では考えられない世界のタクシー事情

日本では考えられない世界のタクシー事情

こうして賛否両論ある「白タク合法化」。反対意見については、とても理解しやすい。既存のタクシービジネスが崩壊するとか、もしもの場合のユーザーに対する保険・保証が心配だという点がすぐに思い浮かぶ。

一方、賛成する意見について、日本人は理解しづらいと思う。

筆者はアメリカで過去40年近くに渡り、全米各地のタクシーを利用してきた。そこで感じるのは「なんていい加減なんだ!」ということ。「タクシーは詐欺だ」と言い切る人もいるくらい、アメリカのタクシーは「酷い!」。

まず、車内が汚いクルマが多い。そして、時間通りに来ない。または、いつまで経っても来ない。そんな嫌な経験を山のようにしてきた。

また、「白タク」も多い。例えば、ホテルをチェックアウトし、空港までのタクシーを頼むと、来たのは「白タク」。ホテルのフロントマンがキックバックをもらうためだ。

「白タク」でなくても、ホテル側がお客のいない暇なハイヤーを呼んで、「タクシーより安くしておくから」と言い値商売。ここでも、ホテルのフロントマンはしっかりとキックバックをもらう。

今年3月上旬にも、ボストンのホテルで、暇なハイヤーに言い値で乗ったが、空港について「レシートをください」というと、ドライバーは「え~、ちょっと~、あれ~」とあたふた。クルマを放り出して、近くのタクシーに「領収書貸して?」と聞いて回り、5~6台聞いてやっとレシートをもらってきた。

ハイヤー配車サービス「Uber」アプリ画面(左から)概算料金表示、各種サービス画面、ドライバーへの連絡

こうしたアメリカでの、タクシーやハイヤーのハチャメチャな行為に対して、多くのアメリカ人が不安を持ち、そして怒っているのだ。

アメリカですら、この低レベルなのだから、新興国のタクシー事情はハチャメチャなのが常識だ。タイでも、インドでも、フィリピンでも、走り出してから「渋滞しているから、倍払え」などと価格をつり上げたり、遠回りしたりと、悪徳タクシーが数多い。

タイでは「レシート?そんなもんはない」が当たり前だ。以外とまともなのが、最近の中国の大都市。レシート用のプリンターがだいぶ普及し、遠回りする悪質ドライバーも減った印象だ。

これは、中国でもライドシェアが急速に普及し始めているので、その対抗としてタクシー業者が業界浄化を進めているのではないだろうか。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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