サーブ 新型9-5 海外試乗レポート(2/3)
- 筆者: 西川 淳
コンセプトカー「エアロX」の影響を受けたエクステリア
新型 9-5は、コンセプトカー「エアロX」から多くのモチーフを拝借している。
エアロX譲りの造形が最もよく現れているのは、フロントからサイドウィンドウにかけて、ぐるりと繋がったグラフィックスだ。ミラーも、併せて2トーンにするという徹底ぶりである。
サーブといえば飛行機。だが、なるほどそれっぽい出で立ちである。
もちろん、顔つきにもエアロXの雰囲気がよく現れている。斜め後ろから見たスタイリングも特徴的だ。ルーフからなだらかに下るエンドピラー、そしてユニークなリアセクションにかけてのスタイルは、サーブ900の再解釈と思えなくもない。
灯火類にLEDを多用するなど、最新トレンドにも意欲的に取り組んだ。
試乗したのは最上級グレードの2.8Tエアロだったが、鋭い目つきに大きなエアダクトのついたフロントバンパーで、けっこういかつい顔つき。
実はもう少し大人しい顔つきもあって、そちらはリニア/ベクターというサブネームで呼ばれている。全体的にシンプルでクリアな造形とした。
これは、スカンジナビアンデザインが主張する“フクザツな方がひと目につくというわけではない”という考え方に基づくものだ。
航空機メーカー由来のサーブとしては、飛行機の胴体のような雰囲気、と言いたいところだろう。
インテリアも「サーブらしく」一新
逆L字型のダッシュボードを見て、一瞬、インテリアは従来モデルのままか・・・やっぱり予算不足?と思ってしまったが、そうではなかった。
サーブは、サーブらしく内装をフルモデルチェンジしたまでのことであった。
メーターの指針は明るい緑色となり、サーブ特有のセンターコンソールイグニッションはスターターボタンに取って代わられているが、それ以外、特に気負ったデザインもなく、そのぶん新鮮みには欠けるけれども、サーブを乗り継ぐユーザーには落ち着く場所になるだろう。
何しろ、冒頭にも述べた程度の台数しか作られておらず、しかも最上級モデルである。まずはサーブファンに納得してもらえるクルマに仕立てました、と言われても納得するほかない。
旧型に比べると室内、特に後席が確実に広くなっている。レッグルームが大幅に広くなって、大型サルーンとしての役割もこなせるようになった。
サーブは、アウディのポジションを狙うプレミアムブランドとして、旧同門オペルあたりとの差別化をハッキリと行っている。5ドアではなく純粋な4ドアサルーンだが、トランクスペースには、U字型のカーゴレールなどワゴン並のファシリティがあって面白い。
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