日産 スカイラインクーペ プロトタイプ 試乗レポート(2/2)

日産 スカイラインクーペ プロトタイプ 試乗レポート
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エレガントな中に秘められたパフォーマンス

エンジン

新開発VQ37VHRエンジン(VはV-VELの略)は3.7リットルの排気量を持ち、セダンのVQ35HR(3.5リットル)から200cc排気量アップされている。出力は約330馬力を発生しているが、それでも可変バルブリフトの効果でポンピングロスが減り、燃費は逆に向上している。まさに一石二鳥のメカニズムだ。

この日産初の可変バルブリフトはシンプルなカムを組み合わせたもので優れもの。効果の大きな吸気バルブに使われている。本来のカムの上にメカを搭載するのでヘッドが高くなるかと思ったが、実際にはほとんど変わらない。もちろんモーター駆動の可変バルブタイミングと組み合わせて高効率を誇る。この可変バルブリフトは低燃費技術として効果が高く、各社、開発している技術だ。一例を挙げればBMWのバルブトロニック、トヨタのバルブマチック、ホンダのV-TECなどがそれである。

走行

さてVQ37VHRは大排気量とは思えないほど軽やかに回る。もともとVQエンジン系は軽快な回転フィールが特徴だが、セダンのVQ35HRではそれに力強さが加わった。そしてクーペのVQ37VHRは滑らかでレスポンスに優れている。軽く回るので、マッチョなエンジンフィールを好むユーザーには物足りないかもしれないが、決してこのエンジンの実力を軽く見てはいけない。ドライバーが感じる以上にスカイラインクーペは速いのだ。パワーがあると思っていたセダンのVQ35HRに比較しても明らかに実力は上で、出力の向上はもちろんだが、特にレスポンスがシャープなのが素晴らしい!タイムを取ったわけではないが中間加速のシャープさはファインチューニングを施された素性の良いエンジンのそれで、さらに低速トルクの立ち上がりが早く、フラットなトルクがこのクルマに高い実用性を与えている。それほど回さなくても十分に鋭い加速が出来るので、燃費も当然良いだろう。

またセダンではアクセルの反応がシャープ過ぎる傾向があり、ゆっくり走るのに神経を使ったが、クーペではちょっとエレガントなスタートを身につけてスカイラインらしいマナーを手に入れた。もちろんその気になれば抜群の能力を発揮するのは言うまでもない。

マニュアルトランスミッション設定は日産のこだわり

シフト
パドルシフトタイヤ

さて、セダンではATだけだったトランスミッションは6速マニュアルもラインアップされた。国内ではマニュアルの需要はほとんどないと思われるが、速度のコントロールにドライバーの意思を積極的に入れることが出来るマニュアルトランスミッションを用意したことに日産のこだわりを感じる。このMTはクラッチミート時に軽く駆動系の振動があるが、総じて軽く操作でき、気持ちのこもったMTに仕上がっている。 5速ATはパドルシフト付で、変速はなかなか早い。もちろんDレンジで走行条件にあった変速をチョイスするイージードライブも楽しめるが、パドルを使って積極的にマニュアル感覚でシフトするのも気分が乗る。減速時はブリッピングをして回転をあわせることもするのでシフトショックはほとんどない。

このパワーを受け止めるブレーキはフロントにアルミ対向4ポッドを使い、ローター径も355mm(リア350mm)と大径化して、制動力だけでなくコントロール性も重視している。実際にコントロール性も制動力も満足の行くものだった。クルマの質を上げるのはこんな目に見えないが重要なところにこだわるかでも変わってくる。

シャシーではフロント/ダブルウィッシュボーン、リア/マルチリンクのサスペンション形式も2,850mmのホイールベースもセダンと共通。もちろんクーペに合わせたチューニングがされており、たとえて言えば乗り心地の上下動では突き上げがあって硬いが、気持ちの良い硬さに感じられ不快感はほとんどない。収束がクーペらしく節度があるのだ。最初の入力はバネで受け、その後はダンパーで抑えるまともなセッティングがまともに行われている。

走行

このサスペンションチューニングはスカイラインの4WASのセッテイングとも微妙にバランスしている。セダンではロールの動きと4WASの動きが不自然に感じることがあり、扱いにくいところもあったが、クーペではセダンでの不満点をかなり解消している。固められたサスペンションと4WASのリアサスペンションが同相に動くところがバランスして、ワインディングロードを軽快に適度な速度で駆け抜けたときは操舵量が少なく、気持ちよく軽快に走れる。

しかし、速度上げるとこれまでとは別のスキルをドライバーに要求する。ステアリングの操舵タイミングを変えないとうまくラインに乗ってくれない。また回りこんでいるコーナーではアンダーステアが強めに顔をだす。このあたりのドライビング感覚とのすり合わせをどうつけるか注目だ。今後の課題だろう。とは言え、これだけパフォーマンスの高いクルマとなると暴れたがる駆動輪を押さえ込みたくなるのは当然だろう。

さてスカイラインクーペはエレガントだがさりげないパフォーマンスを発揮する日本のクーペ。そして次はいよいよモンスターの登場か?

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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