三菱ふそう、小型トラック用「新型パワートレーン」を開発

三菱ふそう 新型パワートレーン

三菱ふそうトラック・バス(以下:MFTBC)は、「環境性能」、「経済性能」、「走行性能」の3つを高いレベルで実現するため、小型トラック用「新型パワートレーン」を開発した。

今回の「新型パワートレーン」は、軽量、高効率で、低燃費を特長とする排気量3リットルの「4P10」型ディーゼルエンジン、小型トラック用として国内で初めて搭載する「BlueTec®システム」(再生制御式DPF+尿素SCR)と、そして商用車で世界初となるデュアルクラッチ式トランスミッション「DUONIC」(デュオニック)の3つで構成される。これらシステムの組合せにより、車両全体として8-10%の燃費低減効果を実現した。

MFTBCは、2006年からこの新型パワートレーンの開発を開始し、この程開発を完了した。なお、MFTBCはダイムラートラック部門の中で小型トラックの開発・生産を全面的に主導しており、「新型パワートレーン」は、次期小型トラック「キャンター」に搭載する。

「BlueTec®システム」は、環境性能と燃費性能に優れた技術として、欧米のみならず日本国内でも、大型・中型トラック・バス等で既に採用されているが、同システムを、小型セグメントにも初めて採用することで、三菱ふそうの大・中・小型すべてのラインナップに「BlueTec®システム」を搭載する。

「新型パワートレーン」の主な特長

● 日本の平成22年(ポスト新長期)排出ガス規制および欧米の各種排出ガス規制に適合予定

● 新型の「4P10」型エンジンで、軽量、高効率、低燃費を実現

● 小型トラック国内初「BlueTec®システム」を採用し、低燃費、クリーンな排出ガスを実現

● 商用車向けで世界初のデュアルクラッチ式トランスミッションを採用し、高い動力性能を実現

新開発小型エンジン「4P10」

新開発の「4P10」型エンジンは、排気量3リットル、直列4気筒のインタークーラー付VGターボディーゼルエンジンで、DOHC4バルブ構造を採用。フラットなトルク特性と高回転化により、ドライバビリティが大幅に向上させた。また、従来エンジンに対し大幅な軽量化を達成。さらに、国内市場に合った最適なチューニング、そして「BlueTec®システム」との組合せにより、低燃費とクリーンな排出ガスを実現している。

このエンジンは、MFTBCとイタリアのフィアット・パワートレーン・テクノロジー(FPT)社が共同開発したもので、両社の厳しい品質基準、耐久性能、燃費基準などをクリアしたことにより、MFTBCの独自型式である「4P10」という型式を付与しています。なお、国内に先立って既に2009年8月から欧州向けキャンターにこの「4P10」型エンジンを搭載している。この「4P10」型のベースとして基本構造を共有するFPT社の「F1C」型エンジンは、欧州の商用車に数多く搭載されており、高い信頼性と実績のあるエンジンとなっている。

(1)主な特長

日米欧の最新排出ガス規制への適合を予定

このエンジンは高い燃焼効率を実現し、「BlueTec®システム」と相まってNOx、PMを大幅に低減する。既に、欧州のEUROⅤ規制に適合しており、日本の平成22年排出ガス規制(ポスト新長期規制)のみならず、米国のEPA10規制にも適合を予定している。

コモンレール式燃料噴射装置にピエゾ方式を採用

コモンレール式燃料噴射装置には、噴射反応速度に優れ、従来のソレノイド式に比べ小型で車両への搭載性が向上した「ピエゾ方式」を採用。これにより、噴射圧力の高圧化と、緻密な燃料噴射制御が可能となり、最適な燃焼効率を通じた低燃費とクリーンな排出ガスを実現している。

VG式ターボを採用

高効率なVGターボを採用。フラットなトルク曲線を維持つつ、高回転域でのパワーを確保。さらに発進、停止の多い環境でのドライバビリティを向上させるとともに、クリーンな排出ガスと低燃費を両立している。

高効率EGRクーラーを採用

EGR(排気再循環システム)には、高効率のEGRクーラーを採用し、NOxの低減効果を高めている。また、連続制御式EGRバルブと一体のモジュール構造とすることにより、更なる省スペース化を実現している。

オイルフィルターには、環境に配慮したグリーンフィルターを採用

オイルフィルターには、廃棄物を減らすことを目的に、アウターケースは再利用し、エレメントのみを交換する新しい構造のフィルターを「4P10」型から採用した。

BlueTec®システムを国内向け小型トラックで初採用

MFTBCでは、4月に発売を開始した、大型トラック「スーパーグレート」を皮切りに、中型トラック「ファイター」、大型観光バス「エアロクィーン」・「エアロエース」、大型路線バス「エアロスター」に、再生制御DPFと尿素SCRを組み合わせた「BlueTec®システム」を順次採用している。 このたび、この「BlueTec®システム」を国内の小型トラックに初めて採用することを決定。 この「BlueTec®システム」は、高い燃焼効率を実現する「4P10」型エンジンと組み合わせることにより、低燃費とクリーンな排出ガスを実現する。

現在日本国内では、MFTBCのみならず、メルセデスベンツの乗用車にも「BlueTec®システム」は採用されており、環境に優しい排気後処理システムとして認知されている。

(1)主な特長

BlueTec®システム(DPF+尿素SCR)

球環境を保全するため、二律背反の関係にあるPM、NOxの低減と低燃費を両立する技術として「BlueTec®システム」(DPF+尿素SCR)を小型トラックに国内で初めて採用。 このシステムは「再生制御式DPF」でPMを捕集、燃焼除去し、残ったNOxを「尿素SCR」で無害な窒素と水に分解する。 この「BlueTec®システム」(DPF+尿素SCR)を搭載することで、エンジン本体は、高い燃焼効率を目指すことに注力し、エンジンから排出されるPM、NOxは後処理装置で効率的に浄化。PM、NOx低減と燃費の向上、さらには低燃費によるCO2削減が実現する。

再生制御式DPFについて

「BlueTec®システム」には、PMを除去する再生制御式DPFを装着している。連続再生機能と、PMの堆積量に応じた、フィルターの自動再生が行われる。また、手動再生の頻度を極力抑え、実用性に配慮している。

AdBlue®および燃料消費率

尿素水(AdBlue)の消費量は燃料の消費100に対し、わずか1~2.5と少量。 (車両の仕様、積載量、走行条件などにより、この消費率は変動します。) 尿素水タンクの容量は、12リットルで、2tクラス車で平均的に約4,000km~10,000kmに1度のAdBlue補給が目安となるが、「4P10」型エンジンと「BlueTec®システム」、そして後述する「DUONIC」とを組み合せることにより、燃費はAdBlueの消費量を差し引いても現在のパワートレーンと比べて、8-10%※向上する。 (※社内試験値、車両の仕様、走行条件により異なる)

AdBlue®

「BlueTec®システム」に使用されるAdBlueは、NOx還元剤「高品位尿素水溶液」のことであり、ドイツ自動車工業会(VDA)の登録商標。原料である尿素は化粧品にも広く採用されており、安全な化学製品。

商用車世界初の新開発デュアルクラッチ式トランスミッション「DUONIC」

MFTBCでは、30年以上にわたり、2ペダル式自動トランスミッションの開発を行ってきた。 この度、その開発の集大成として、伝達効率を極限にまで高めた6速デュアルクラッチ式トランスミッション「DUONIC」(デュオニック)を商用車向けとしては世界で初めて開発。

 「DUONIC」は、デュアルクラッチがもたらす、ダイレクトな加速感と滑らかな走りを実現するとともに、新開発の「4P10」型エンジンとの組み合せにより、燃費の低減にも大幅に貢献し。 なお、「DUONIC」は、設計から制御プログラムの構築に至るまで、MFTBCが独自に行ったもので、その生産・組立もMFTBCで行われる。

(1)主な特長

デュアルクラッチによるダイレクトな加速感と滑らかな走りを実現 

「DUONIC」は、従来の機械式自動トランスミッションの基本構造に加え、商用車で世界初となるデュアルクラッチを新たに採用。変速ショックを最小限に抑えるとともに、変速時のトルク抜け(一時的な駆動力の低下)を解消、滑らかなシフト感を実現した。 フラットトルクで、高回転型の新型エンジン「4P10」と、この「DUONIC」との組み合わせにより、そのエンジン特性をいかんなく発揮することが可能になった。

優れた伝達効率により高い燃費性能を実現

「DUONIC」の変速制御には、MFTBCが長年培ってきたファジィ制御を採用し、車両の負荷、車速、アクセル開度などを総合的に判断した上で、ドライバーの意思により近い変速となるよう最適な制御を行う。伝達ロスの少ない機械式トランスミッションの特性と最適な変速プログラムによる適切なギヤを選択によって、理想的な省燃費とパワフルでゆとりのある走りを両立。 また、変速時にトルク抜けがないという特長を活かし、ECOモードによる早めのシフトアップを可能とし、渋滞時での燃費悪化を抑える。

クラッチ交換不要の湿式デュアルクラッチを採用

「DUONIC」では、定期的なクラッチ交換が不要な湿式クラッチを採用。クラッチディスクの磨耗による交換がなくなることで、整備コストの低減につながる。

クリープ機能を追加し、乗用車同様のイージードライブを実現

湿式クラッチを採用したことにより、トルコン式ATと同様のクリープ機能を追加。微速走行時の速度コントロールや坂道発進も容易となり、乗用車同様のイージードライブを実現している。

パーキング機構を新規追加

乗用車で普及しているトルコン式ATと同様に、トランスミッションにパーキング機構を追加。トランスミッション内部のギヤをロックすることで、車両を確実に固定し、安全性を高めている。

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる