初期型オーナーが思わず嘆く進化ぶり! メルセデス・ベンツ Aクラス マイチェンモデル 試乗レポート(2/5)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:茂呂幸正・島村栄二
「メルセデス・ベンツ」ブランドの若返りを狙い、意図的に「若い」味付けがされた初期モデル
そもそも、それまでのころんと丸く、まるでスマートをちょっとだけ大きくしたみたいなコンセプトだったAクラスがゴロっとイメチェンし、現在の精悍な姿に生まれ変わったのは3年前のことだ。Aクラスはいわば、第一の刺客だった。アウディにはるか販売台数を譲ってきたメルセデス・ベンツが、ブランドの若返りと顧客の獲得を賭けて市場に導入してきたのが、Aクラスを筆頭に、Aクラスをベースにラインナップを増やしたモデルたち(Aクラス、Bクラス、CLA、CLAシューティングブレーク、GLA)。
それまでのコンサバティブ過ぎるブランドイメージを覆し、若々しいメルセデス・ベンツをアピールすべく市場に導入されたのがAクラスだったのだから、意図的なほどに「若い」味付けをされていたのは、その背景を鑑みるに仕方のないことだった。
アシは過度なくらいに硬く締まっているし、同社として1.6リッターのダウンサイジングターボをコンパクトスポーツに導入する一発目のモデルだったということもあり、パフォーマンスというよりは燃費にコンシャスだった。初期のアクセルの踏み込みに対してはやや燃費に振りすぎていたために、カスっとした踏み心地だったのだ。
かと思えばターボが効き始めると急激にトルクがぶわっと膨らんで、うん、言うなればやや扱いにはコツが必要でもあった。つまり、わりと未完な感じだったのである。
Aクラス登場当時の2012年は、まだまだダウンサイジングターボ黎明期だったが・・・
そう、新型Aクラスが発売された当時は、まさに欧州勢がイッキにコンパクトカーに力を入れ、ダウンサイジングターボ黎明期とも言えるこのテのエンジンをガンガン導入してきた頃だった。同年度にはかの7代目「フォルクスワーゲン ゴルフ」が発売されている。
これまでのエンジンよりも小さな排気量で、しかもエンジン自体も小さく、もちろんCO2排出量や燃費にも優れている、ということをアピールするために、この時代に出されたダウンサインジングエンジン+過給機のコンビは意図的に燃費方向に振られたものが多かったように記憶している。そしてそれを「まあ、このテのモデルは燃費方向だから」とこちら側もなんとなく納得していたきらいがある。
[Aクラス登場後の数年で、プレミアムコンパクト市場はさらに進化を遂げていた!・・・次ページへ続く]
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