新型LCは脱“高級なトヨタ車”!?レクサスの新しいラグジュアリークーペを徹底解説!

新型LCは脱“高級なトヨタ車”!?レクサスの新しいラグジュアリークーペを徹底解説!
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デザインコンセプトLF-LCの量産化モデルとして誕生したレクサスの新しいラグジュアリークーペ

レクサス コンセプトモデルLF-LC
レクサス SCレクサス LFA

メルセデス・ベンツにはSL、BMWには6シリーズと言ったように、世界のプレミアムブランドには必ずと言っていいほど“ラグジュアリークーペ”が存在する。

過去にレクサスには「レクサスの宝石」と言われSCがラインナップされていたが、2010年に生産が終了。クーペと言う意味では2010年に4.8LのV型10気筒(V10)エンジン搭載のスーパースポーツ LFAが発売されたものの、限定500台…。レクサス自身もエモーショナル系のトップを担うクーペの必要性を感じていたと言う。

それを後押ししたのが2011年8月のアメリカ・ペブルビーチでの出来事だった。ここで新型GSのお披露目が行なわれたが、その夜の懇談の場で、「レクサスについて本音を聞きたい」と言う開発者の声に対して、多くのメディアは「レクサスはつまらない」と。

その回答が2012年デトロイトショーでお披露目されたクーペのコンセプトモデルLF-LCだった。その後、世界のディーラーから「市販化はいつなのか?」と言うリクエストが数多く届いたそうだ。しかし、LF-LCは市販計画の全くない純粋なデザインコンセプトのため、既存のルールやアイテムでは実現不可能と言う判断だった。

新型LC500

普通なら諦めるが、レクサスは一大決心を行なった。このクルマを量産化するために、従来にない高い目標を掲げ、新技術の採用はもちろん開発の仕組みまで変えようと。そんな経緯で生まれたのが、今回紹介する新時代のトップ・オブ・レクサス LC500/500hだ。LCは「ラグジュアリークーペ」の略だが、実は「レクサスチャレンジ」の意味も込められているのだ。

開発責任者の佐藤恒治氏は「レクサスをよりエモーショナルなブランドにするためには、通常の進化ではなく飛躍的な進化をする必要がありました。そこでLCは『ダイナミックなデザイン』と『レクサスらしい乗り味』を武器にしようと考えました」と語る。

新開発プラットフォーム「GA-L」の採用により実現したプロポーション

新型LC500h新型LC500

エクステリアはLF-LCと寸法もパッケージングも全く異なるが、パッと見た印象やイメージはシッカリと受け継がれている。個人的にはLFAのイメージが残るLF-LCよりも独自性がアップしていると思う。

ワイド&ローのスタンスやボディと一体化されたスピンドルグリル、四隅のタイヤを強調する抑揚あるフェンダー、艶やかな曲面とシャープなラインで構成されたパネルなどにより、スポーティとエレガントが上手にバランスされたプロポーションである。

これには新開発のプラットフォーム「GA-L(グローバル・プラットフォーム・ラグジュアリー)」がなければ実現できなかったそうだ。実は開発時には既存のプラットフォーム、既存のルールでデザインを行なったモデルを製作したようだが、それはLF-LCとは似ても似つかないモデルだったと言う。

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インテリアは細部に渡りクラフトマンシップが光る

新型LC500h

インテリアはGSからスタートした水平基調で上下分割式のレイアウトを採用するが、コクピット感覚の強い運転席側と視覚的な広がりを感じるおもてなしの助手席側と空間作りを上手に分けたデザインだ。

グレードによっては開放感を高めるガラスパノラマルーフも設定。ラグジュアリークーペらしく各部の仕立てはクラフトマンシップによる繊細で高品質。また、握る位置に合わせて断面形状を緻密に変化させたステアリングやペダルの配置、ホールド性や着座位置の圧力分散まで追求したシートなどを低めたドライビングポジションにも徹底してこだわったそうだ。

新型LC500h
新型LC500h新型LC500h

オーディオにもこだわっており、ハンドリング性能と同じく原点回帰がテーマで、補正を掛けない素の状態での音のクオリティを高めるために、スピーカーやアンプの基本性能はもちろん、搭載位置を厳密に配置するために、車体の骨格までこだわったそうだ。標準装備もレクサス LCプレミアムサウンドシステム(12スピーカー)に加え、オプション設定されるマークレビンソンリファレンスサラウンドサウンドシステム(13スピーカー)は、「ステレオリスニングルームを車内で再現」をコンセプトに次世代システムを採用することで正確なサウンドステージを再現しているそうだ。

またタッチパッド式リモートタッチや10.3インチワイドディスプレイなど、マルチメディアも充実している。

ちなみに乗車定員は4名だが、後席はさすがにプラス2と言ったスペースとなっている。

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基本的なことに徹底的にこだわり基礎体力を飛躍的にアップさせた上で味付けを実施

新型LC500新型LC500h

走りのキーワードは「より鋭く/より優雅」。クルマはシャープに動くけど、どんな状態でもドライバーのコントロール下で自然に優雅に動いてくれることに注力したそうだ。

その実現のために開発されたのが、新開発のプラットフォーム「GA-L」だ。

フロントミドシップレイアウトでエンジンなどの重量物を車両近くに配置し、CFRPやアルミ素材の積極的な採用で重心高を下げると共に慣性モーメントを下げるなど、基本的なことに徹底的にこだわり基礎体力を飛躍的にアップさせた上で味付けを実施。

車体のねじれ剛性は従来比60%アップ、サスペンションの横力に対する剛性は従来比35%アップと言うが、今回はそれだけでなく走行中のボディへの力の入力や変形特性にも着目。つまりレクサスの考える「強靭でしなやか」な車体に仕上がっている。これには従来モデルでやってきた事をより深くミクロの部分までコントロールできるような技術も役だっているそうだ。

新型LC500新型LC500h

サスペンションは新開発となる4輪マルチリンク式。特にフロントは細かな動きまでコントロールできるダブルジョイント式上下4本アーム構造を採用。更にアーム類を低く配置することで、21インチタイヤや低いフード高の実現にも大きく寄与している。リアはジオメトリーの最適化やフリクション低減により、安定性と乗り心地を両立。

ブレーキはフロントに対向6ポッドアルミモノブロックキャリパー+20インチスパイラルフィン式Vディスクが奢られる。タイヤは全車ランフラットでフロント245/45RF20、リア275/40RF20、ホイールは全車鍛造だが、Lパッケージにはノイズリダクション型をオプションで用意している。

更に最もスポーティなSパッケージはタイヤが1インチアップのフロント245/40ZRF21、リア275/35ZRF21、トルセンLSD、アクティブリアウイングに加え、ギア比可変ステアリング(VGRS+電動パワーステアリング)+ダイナミックリアステアリング(DRS)を統合制御する「LDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング・システム)」を採用。トルセンLSDと組みあわせ旋回中の加速性能アップや、ブレーキ制御と強調したアクティブステアリング制御などにより、クルマを操る楽しさと安定性をより高次元でバランスさせている。

ガソリンとハイブリッドの2種類のパワートレインを設定

新型LC500新型LC500h

パワートレインは2タイプを設定。ガソリンエンジンは5L-V8の「2UR-GSE」を搭載。デュアルエアクリーナーの採用により477ps/540NmとRC F/GS Fよりもトルクがアップしている。また、エンジンサウンドはLFAのサウンドテイストを踏襲するチューニングが施され、吸気系はサウンドジェネレーター、排気系はバルブシステム付きマフラーを採用。

トランスミッションは新開発「ダイレクトシフト10速AT」を搭載。ATの滑らかさに加えてクラストップの変速スピード(Dレンジ:約0.2秒、Mレンジ:約0.1秒)、リズミカルな変速を可能にするギア比、ダイレクト感あるレスポンス、優れた燃費性能(約100km/hのエンジン回転数1350rpm以下)などを実現している。

ハイブリッドエンジンは高回転化(6000→6600rpm)されたV6-3.5Lの「8GR-FXS(299ps/355Nm)」とモーター(180ps/300Nm)を組みあわせるレクサスハイブリッドシステムに変速機構を組みわせた世界初の「マルチステージハイブリッドシステム」を採用。基本システムはTHS-IIと同じだが、エンジンからの出力を遊星歯車を使った動力分割機構に加えて4速ATを組み合わせることで10段変速制御を実現。これによりパワフルな走り(V8-5.0Lハイブリッド車を上回る駆動力)と省燃費(JC08モード15.8km/L)の両立に加え、ハイブリッドのゴムバンドフィールではなくガソリン車のようなレスポンスよくリニアなフィールに仕上がっているそうだ。

充実の安全性能・予防安全・走行支援アイテムを用意

新型LC500

安全性能はGA-Lプラットフォームによる世界トップレベルの衝突安全性能に加えて、歩行者頭部の障害軽減に寄与する4点式ポップアップフードを搭載。更にプリクラッシュセーフティシステム(歩行者検知機能付き衝突回避支援タイプ)、レーンキーピングアシスト(LKS)、オートマチックハイビーム(AHB)、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)の4つの予防安全システムをパッケージ化した「レクサス・セーフティ・システム・プラス」を設定。他にも様々な予防安全、走行支援アイテムを用意している。

脱“高級なトヨタ車”

新型LC500hと新型LC500新型LC500

生産は元町工場に新たに作られたLC専用ラインファイナルアッセンブリラインで、レクサス技能認定を受けた「匠集団」が組み立てを行なう。ラインの最後には「検査の匠」の手で静的/動的検査が行なわれレクサス品質を確認、ラインオフされる。

価格はLC500が13,000,000~14,000,000円、LC500hが13,500,000~14,500,000円と高価ではあるものの、価格見合ったプロダクトに仕上がっていることは間違いないだろう。

1989年にレクサスブランドが生まれてから28年、2005年に日本展開がスタートしてから12年が経過する。プロダクトは年々進化していったものの、その一方で「高級なトヨタ車」から抜けだせない部分もあったのも事実だ。これに対して佐藤氏は「これまではやりたくてもやれなかった事もたくさんありました。しかしこのクルマは違います。レクサスのエモーショナルな走りを象徴する一台だと確信しています」と自信を見せる。

レクサス自身が5代目LSと共に「第3世代」と語るLC500/LC500h、どのようなモデルに仕上がっているのか? ステアリングを握る日が楽しみである。

[レポート:山本シンヤ/Photo:和田清志]

レクサス LC500 主要諸元

全長x全幅x全高:4770x1920x1345mm/ホイールベース:2870mm/乗車定員:4名/車両重量:1940kg[LC500 L package / S packageは1960kg]/駆動方式:後輪駆動/エンジン種類:V型8気筒DOHC/総排気量:4968cc/エンジン最高出力:477ps(351kW)/7100rpm/エンジン最大トルク:55.1kgf-m(540N・m)/4800rpm/使用燃料:無鉛プレミアムガソリン/トランスミッション:電子制御10速オートマチック/燃料消費率:7.8km/L[JC08モード燃費]/サスペンション:マルチリンク(スタビライザー式)[前後共に]/メーカー希望小売価格:13,000,000~14,000,000円[消費税込]

レクサス LC500h 主要諸元

全長x全幅x全高:4770x1920x1345mm/ホイールベース:2870mm/乗車定員:4名/車両重量:2000kg[LC500h L package / S packageは2020kg]/駆動方式:後輪駆動/エンジン種類:V型6気筒DOHC/総排気量:3456cc/エンジン最高出力:299ps(220kW)/6600rpm/エンジン最大トルク:36.3kgf-m(356N・m)/5100rpm/使用燃料:無鉛プレミアムガソリン/モーター種類:交流同期電動機/モーター最高出力:180ps(132kW)/モーター最大トルク:30.6kgf-m(300N・m)/駆動用主電池:リチウムイオン電池/トランスミッション:電気式無段変速機/燃料消費率:15.8km/L[JC08モード燃費]/サスペンション:マルチリンク(スタビライザー式)[前後共に]/メーカー希望小売価格:13,500,000~14,500,000円[消費税込]

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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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