ホンダ U3-X 体験レポート
- 筆者: オートックワン 編集部
- カメラマン:オートックワン編集部
気軽に使える一輪モビリティ「ホンダ U3-X」を体験!
ホンダがまたまた面白いマシンを見せてくれた。
U3-Xというこの摩訶不思議なプロダクトは、円を2つ繋ぎ合わせたようなシンプルでやさしい曲線構成が特徴の、次世代パーソナルモビリティ。
実は先日の東京モーターショー2009で、すでにお披露目されていたので、ご存知の方もいることだろう。
ホンダは1986年にロボット開発をスタート。これまで二足歩行ロボットのASIMOをはじめ、歩行アシストロボットの開発など、ここ近年、そんなパーソナルモビリティやロボット開発に余念がない。
今回のU3-Xも毎度の如く、同様のインパクトは充分に備わっており、報道陣向けお披露目会に出席した人達は、みな興味津々といった様子だった。
では一体どのようなモノなのかと説明すると、一言で言えば、自動一輪車と言えばよいだろうか。
カーボン製軽量モノコックボディで形成されるU3-Xは、下の大きな円の中に車輪が入っており、上の円からお尻(尻骨)を支えるシートがガルウィング状にせり出てくる。
要は、一輪車のように座りながら自分でバランスを取って乗るというものだ。しかしこの乗り物の凄いところは、一輪車に乗れない人でも、意図も簡単に乗れてしまう点だ。
つまり、自分である程度バランスを取るのは自転車でも同じだが、それ以前にこのU3-X自体が、既にバランスをとるスグレモノだということ。
その証拠に電源ONの状態であれば、人間が手で支えていなくても勝手にバランスを保って直立するのだ。もちろん自転車のようにスタンドで支えて立っているわけではない。
実はこの不思議なメカニズムの肝は、車輪に隠されている。車輪と言っても極一般的なただの車輪ではない。これはホンダが開発した「全方位駆動車輪機構」Honda Omni Traction Drive System“HOT Drive System”という大径車輪の円周に沿って小径車輪を横置きで繋ぎ合わせた車輪を指す。
実はそれ自体、まだ開発段階であることから、車輪の詳細な撮影は残念ながら許可が下りなかった。しかし説明用の3D映像によると、まるで車輪は蛇腹の様なイメージで、前後方向へ移動するときは大径車輪自体が動き、横へ移動するときは小径車輪が左右に回転するというもの。
そう、この車輪こそが停止時には常時前後左右に微回転しながらバランスをとり直立しているのだ。
ちなみに斜めはというと、大径車輪が前後方向に動きながら、同時に小径車輪も左右に動いて斜めに移動することできる。
では、その行きたい方向へのコントロールはどう行えば良いのかというと、行きたい方向へ、ほんの少し体重移動をすることにより、U3-Xに搭載されている傾斜センサーがそれを判断。筆者も試乗したが、まるで感情が備わる生き物かと思えてしまうほど、僅かな体重移動で的確に動いてくれるのだ。
現在明らかにされているスペックは以下の通り。
・ボディサイズ:全長315×全幅160×全高650mm(未使用時)
・ボディ重量:約10kg。
駆動方式:電動式全方位車輪機構
バッテリー形式:リチウムイオン
走行可能時間:1時間
フル充電時間:1時間30分
最高速度:6km/h
体重制限数:約100kg
なんとも奇妙奇天烈なこの乗り物、現時点では屋内使用のみを想定しているが、試乗した人たちからは口を揃えて「ぜひ市販を!」の声が相次いだ。
しかしあくまで研究段階であるため、実用にはまだ問題点が山積だ。
例えば、道交法という硬い問題点はさておき、歩道への段差クリアの問題や、車輪への砂ホコリの巻き込み、耐水性、さらには持ち運びなどでの重量の軽量化など、すぐ手軽に使うにはもう少し時間とお金が必要だろう。
こういった、大の大人でもワクワクするような夢溢れる乗り物は、いつ見ても新鮮だ。毎回ドラえもんの四次元ポケットのように面白アイデアを出してくれるホンダの心意気には、改めて日本の技術力のすごさを実感させてくれる。
う~ん、心から敬意を表したい。
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