ホンダがF1界でも“ちょうどいい”を実行!日本GPへ向けジワリ進化中(2/2)
- 筆者: 山口 正己
- カメラマン:本田技研工業/メルセデス・ベンツ
今年は実質的な目標を掲げそれを着実に実行
ホンダは今年の目標を“Q3進出”に決めていた。予選は3回に分けて行なわれ、それぞれ、22台から16台に絞られるQ1、16台から10台が残るQ2と進み、最後の10台が走るQ3は、たかだか10番手以内に入ればいいじゃないかと思うかもしれないがが、そこはF1、なかなか簡単にはいかない難関だ。
まず、最強メルセデスがいて、フェラーリとレッドブルが続く。各チーム2台なので、ここまでですでに6台。その後に、ウィリアムズ、フォースインディア、トロロッソがくればすでに12番手まで埋まっている。ホンダ復帰初年度の去年、マクラーレン・ホンダのシーズン順位は9位、つまり、前に16台がいる位置だった。
今年の目標がQ3進出というのはもの足りないかもしれないが、実に合理的で実現性の高いチャレンジングなものであることがわかるだろう。去年は、“もうすぐウィリアムズやフェラーリを抜くとか、シーズン終盤にはメルセデスに追いつくとか大風呂敷を広げていたが、今年は実質的な目標を掲げた。ホンダは“ちょうどいい”目標を決め、そして着実にそれを実行している。
予選に注目して7月24日のハンガリーGPまでの11戦を振り返ると、まず、開幕戦では11番手と12番手。実際には、11番手タイムだったウィリアムズの1台がギヤボックス交換でペナルティを受けていたから、マクラーレン・ホンダの実力は12番手と13番手だった。それでも“目標”にもう少しで手が届く所にいることを感じさせてくれた。
トップ3に続く4番手の位置をキープできるか
そして、その調子を持続して、5月の第5戦スペインGPで、フェルナンド・アロンソが10番手で初めてQ3進出の目標を達成。そこからアロンソは“Q3の常連”になり、第9戦のオーストリアGPでは、不安定な雨の中でジェンソン・バトンがなんと5番手タイムを記録した。
さらに、第11戦ハンガリーで初めてマクラーレン・ホンダが2台ともQ3に進んだ。マクラーレン・ホンダは、高速度撮影した桜が開花するように、ジワジワと予選ポジションをあげてシーズンを進めている。
ここから先、トップ3に続く4番手の“定位置”をキープするためには、パワーユニットの進化が待たれるところだ。
テーマは残っているが、マクラーレン・ホンダの状況は、スイートスポットに当たったイメージになった。次のドイツGPが終わると、1カ月の夏休みに入る。夏休みの間、チームのEメールまでが監視され、一切の活動が禁止されている。しかし、夏休みに上昇気運で入れると、休み明けがスムーズにいくというのがF1界の言い伝え。
10月9日の日本GPに向けて、マクラーレン・ホンダはジワリといい感じでシーズンを折り返した。
[Text:山口正己]
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