ダイハツ 新型トール 対談企画 ~コンパクトカーに拘るダイハツが提唱するハイトワゴンのあり方とは?~(3/3)
- 筆者:
- カメラマン:オートックワン編集部/小林岳夫
単純にポップなカラーをのせたというよりは、素材・肌の状態がちゃんとある感じ
(オートックワン):では、「トール」の一番評価したいところはどこですか?また、通常モデルとカスタム好みはどちらですか?
(藤島):沢山ありすぎて、どこから挙げて良いのか分からない車ですよね。
デザイン面では、カスタム系はキラキラしていて、押し出し感がありますね。私はすっきりしている方が好みなので乗るなら標準モデルかな。
水平基調のシュっとしたデザインが好きですね。あと、明るいカラーがすごく綺麗です。
ボディの抑揚がすごくはっきりしているので、単純に今までみたいに小さいクルマにポップなカラーをのせたというよりは、かなり綺麗に映る。素材・肌の状態がちゃんとある感じがしてそこが良く見えるのでしょうね。それが標準モデルとポップなカラーがすごく相性良くて、私は良いなと思いました。
(渡辺):「トール」は売れ筋の顔ですよね。売れ筋はカスタムでしょう。クロームメッキで、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」のような顔しているのは、良いところ突いているなと。
(藤島):あと、「トール」はパノラマモニターが付いていますよね。これは良いですね。こういうものがあればぶつけにくいだろうし、便利ですよね。自分が見えない部分をこういうものに補ってもらえる安全ていう意味では、すごく画期的ですね。
最初は小さい車にここまでいるのかと思われていた時代もありましたが、実際出てみると、みなさんすごく有り難がって乗っていますよね。
予算はギリギリが200万円で、理想は180万円
(オートックワン):なるほど。では続いて価格面です。今の日本の一般的な台所事情と「トール」の価格帯は、マッチしているそうなのです。以前人気のあったミニバンは高くなってしまったということもあって。世のお父さんたちに聞くと、今、子供が小さく、バギー等を乗せるのでミニバンを買うけれど、いずれは、奥さんと2人、もしくはもう2人くらい乗れれば良いような車を購入したいという方が増えているそうです。そこで、今後はこのクラスの車が日本では増えるのではと言われているのですが、その辺はどのようにお考えですか?
(渡辺):これまで、ファミリーカーの価格は200万円が上限と考えている人が多かった。そんな中、今おっしゃった様にミニバンの価格が上がっていき、上限に考える金額が250万円辺りになった。
けれど所得に関しては、1995~6年ぐらいがピークで、そこから下がっていき2000年ぐらいは横ばい。むしろその200万円が上限と言われていた頃に比べると収入が減っています。
そうすると、やはり200万円くらいと考えている人は多いと思います。220万円でももう高いと。ギリギリが200万円で、理想は180万円。
となると、安全装備が充実してきた昨今、この「トール」が正に当てはまります。大体180万円くらいで、カーナビ等色々着けたりすると200万円くらいという考え。
そういった面を考慮すると、この車がマッチしているということはあるでしょうね。
本当は皆さん小さい車を買いたかったのではないか
(オートックワン):では、そんなユーザーニーズに沿ったコンパクトカーですが、最近は本当に増えてきていると実感されていますか?渡辺さんは都内にお住みですがいかがですか?
ダイハツには、軽自動車とコンパクトカーで常に日本人に寄り添うメーカーであってほしい
(オートックワン):では、堅調に伸びてきているコンパクトカーですが、昨年ダイハツはトヨタの完全子会社化となりました。トヨタとすればどういったところに魅力を感じての背景でしょうか?
(渡辺):藤島さんがおっしゃった、女性の方が感覚で良し悪しを見る点、「ヴィッツ」なんてまさにそうだと思います。とにかくすべてがフツーで突出した利点が見つからない。そんな中で軽自動車が良くなってきて売れ出した。
そこで最近は、その逆転を図って軽自動車のノウハウでコンパクトカーを作っていると明言するようになり、軽自動車の良いところがいっぱい詰まったコンパクトカーが増えてきました。
(藤島):そこは、今後のダイハツのモノづくりに期待ができそうですよね。トヨタの傘下に入るからこそ、自分たちの個性は何だろう?と、モガいているのがすごく伝わってきます。
だから今まで以上にダイハツが培ってきたものを丁寧に商品に入れてくるのではないか?という期待感があります。
(渡辺):傘下に入って、自分たちの立ち位置がはっきりしたっていうのはあるでしょうね。 ダイハツは新興国にも展開していますが、コンパクトカーや軽自動車で、そういった人々や日本人に寄り添うメーカーであってほしいと思います。
(藤島):そうですね。車の最先端を語るには色々な考え方があると思います。
当然ハイブリッドのような仕組みを使う先端もあれば、いくらでもお金をつぎ込んで高級なもの、高い材料で軽く作るというのもある。
でもダイハツがやっている事って、シンプルに作って部品点数を減らして、樹脂なんかも使いながら成型の自由度をボディに持たせたり、といった、そういう意味での先を行く技術がたくさんあると思うんです。
それがコストであったり、もっと楽しいデザインであったり、そういうところにもっともっと繋がって、軽自動車だけでなく、こういうコンパクトカーについても面白いクルマが出てくると嬉しいなと思うんです。
ただやっぱり面白いクルマって、動力性能とかそういうものが欠かせない部分でもあるので、今ある強みのユーティリティとか、小さいクルマの技術を使ってできる実用性だけじゃなくて、何かそこにパフォーマンスというものを組み込めばもっと面白くなるのではないかなと思いますね。
ダイハツは「コペン」もやっていますから。あの「コペン」だって、樹脂のパーツ成型もチャレンジだったわけですよ。その様に色々なところにある材料をどう組み合わせていくのかというのを今後、我々自動車ジャーナリストは注目していかないといけませんね。
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