次の100年の歴史が紡がれる場所・アストンマーティンが東京・青山に新販売拠点をオープン/英国本社直轄のブランドセンターも開設予定(2/2)
- 筆者: 中込 健太郎
- カメラマン:アストンマーティン・オートックワン編集部
日本を良く知るパーマーCEOだからこその、セールスだけではない日本への期待
シェイクスピアの生まれた街、イギリスのストラットフォード・アポン・エイボンで生まれたアンディ・パーマー氏は、もともと日産CFOを経て現職になった経緯を持つ。また古くはブリティッシュ・レイランドとホンダの提携時代から自動車を通して日英のリレーションを経験してきた経歴も。さらに夫人も日本人という知日派である。このセレモニーでの挨拶でもまず「このような形で日本に帰ってくることができて嬉しい」と話した。
そのパーマー氏は「日本にとっても英国車は大変密な存在ではないでしょうか。しかし日本から見ると、もしかすると英国車は古いというイメージがあるかもしれません。アストンマーティンは最後のブリティッシュネスを大切にしていかなければならないと思います。即ち英国車として、美しいものであり続けなければならないということです。しかし私も日本から教えられたことは『前を見よ』ということです。日本にはプレミアムカーはあるものの、真のラグジュアリーカーはありません。ゲイドンで手作りをしてきたアストンマーティンは、きっと日本の皆さんにとっても響くブランドになるのではないか」と語った。
>>The House of Aston Martin Aoyama(アストンマーテイン青山ハウス)へひと足お先に訪問[画像33枚]
世界初展開のグローバルブランドセンター「The House of Aston Martin Aoyama」
そんなパーマー氏率いるアストンマーティンは、英国以外で初の展開となるグローバルブランドセンター「The House of Aston Martin Aoyama(アストンマーテイン青山ハウス)」を開設、11月21日より営業開始する予定だ。
アストンマーティン東京に併設されるこの施設はアストンマーティンの歴史、哲学などを紹介するスペース。お客様やアストンマーティンのファンの方のための、アート、文化、ショッピング、ラグジュアリー、エレガンスの拠点となる場所だという。また、ここでは「Aston Martin Art of Living」という、アストンマーティンの高品質でラグジュアリーな世界観を持つ、クルマに留まらない様々な製品やサービスを通じてアストンマーティンの思想を体験することができる。
この日もオープン前のアストンマーティン青山ハウスの室内には15/98ツアラー、DB2やDB6ヴォランテ、ヴァンテージなど珠玉のクラシックアストンマーティンが来場者の目をくぎ付けにしていた。
そのほかクレイモデルの削り出しもデモンストレーションで紹介された。アストンマーティンの微妙なフォルムが人間の手で削り出されたものであり、クレイモデラーの高い美意識とセンス、何よりも卓越した技あってのものだということがよくわかった。
こうした取り組みは、もちろん日本国内にラグジュアリーカーメーカーがなく、市場としては世界第二位の規模を持つ日本の重要性を評価した結果であることは間違いないが、決して盲目的な溺愛ではなく冷静に、しかし愛情と敬意に満ちたパーマー氏の日本に対する想いが込められているような気がした。日本人として光栄に感じた。
今までのやり方を貫く。ポリシーは崩さない。
今までのやり方を貫く。ポリシーは崩さない。
言葉にすれば簡単だが、これを世紀を超えて継続すること自体優しいことではないだろう。そしてただ単に「従前のやり方」を繰り返すことではない。伝統とはそういうことではないだろうか。立ち止まった瞬間にすべては過去の遺物と化してしまう。それを知り尽くしているからこそ、アストンマーティンの次の100年の攻めの姿勢を青山で見せた・・・そんなセレモニーだった。
ひたすらに値段が高ければいいのかといえば決してそうでもなく、相手を低めて罵るような居丈高な雰囲気も品格に欠ける。
美しく、丁寧。決して合理主義で判断していない仕上がりに多くの観衆の羨望の的になる存在。そしてそれを手にしようと思えば、結果としては限られる。もちろん経済的にも要求されるものは高いが、それ以上にその価値をしっかりと評価できるかどうかの審美眼こそが問題なのではないだろうか。そういうことが明確なアストンマーティンが、日本の美意識とさらに響きあえたら。そう願わずにはいられなかった。
[レポート:中込 健太郎/Photo:アストンマーティン・オートックワン編集部]
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