【年末スペシャル編】2012年1月1日より導入、首都高速・阪神高速の距離別料金制はいいのか悪いのか!?(3/3)

【年末スペシャル編】2012年1月1日より導入、首都高速・阪神高速の距離別料金制はいいのか悪いのか!?
首都高を疾走するGT-R! 「距離制移行」を告知する横断幕[首都高料金所にて] 首都高の入口 NEXCO東日本の高速道路からの接続部に位置する首都高料金所[湾岸市川料金所] 2011年12月末までは普通車の料金は700円(東京線) 渋滞がなければ、首都高ももう少し快適な移動が楽しめるのだが・・・ 朝の渋滞が始まった首都高速の風景 圏央道・外環道の建設計画 画像ギャラリーはこちら

こんなところにも民主党政権の弊害があった!

渋滞がなければ、首都高ももう少し快適な移動が楽しめるのだが・・・

首都高中央環状線C2には、構造的な欠陥により3カ所のボトルネックが存在する。

1.「小菅―堀切間」、2.「板橋―熊野町間」、そして3.「大橋JCT」だ。これらを先頭にした渋滞は、今やC1を先頭にしたものよりひどいくらいだ。

1.と2.は、今回ようやく拡幅工事の認可が下り、2019年度の完成目指して工事が始まることになったが、実はこの工事、すぐにも取りかかれる状況にありながら、民主党が政権を取ったことで「コンクリートから人へ」の掛け声の元、2年間凍結されていたのである!

それでいて、この割引制度。お話にならないとはこのことだ。

私は長年、首都高や建設省および国交省を取材していて、現場の職員はもちろん、官僚も問題点を理解していることを実感している。彼らがこんな、意味のない料金制度を進んで導入するわけがない。これは、現場をまったく知らない民主党の政治家さんたちが、国交省に押し付けた料金制度である。

政権が変わったことで、我々国民は、世の中を良くするのはそう簡単ではない、ということを実感した。「ムダを削ればなんでもできる」はウソだし、官僚は必ずしも“悪”ではない。

官僚主義より始末が悪いのは、現場を知らない政治家たちの、人気取り目的の「政治主導」ではなかろうか? そしてもうひとつの大きな害は、政治家同様に現場に無知な、大マスコミの粗探しと世論誘導だ。

結局、大した意味も見出せない今回の距離別料金制導入

首都高の入口

ともかく、今回の距離別料金制導入には、特に意味はない。利用者はこれまでとまったく同じように利用するだろう。

中距離は、700円から100~200円値上げになるケースがある。短距離は、700円から100~200円安くなるケースがある。ここまでは、現状よりは多少公平性が増す。

ただし、長距離は大幅に安くなるので、長く使えば使うほどトクになり、かえって不公平になる。そして、渋滞緩和などの全体的なメリットは特にない。

これでは首都高は何も変わらない。

たとえ世論が反発しても、それはユーザーが問題点を理解していないからにすぎない。そこをきちんと説明し、首都高にはもっと完全な距離別料金制を導入して、他の環状高速と連携しつつ、渋滞を緩和すべきなのだ。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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