【年末スペシャル編】2012年1月1日より導入、首都高速・阪神高速の距離別料金制はいいのか悪いのか!?(3/3)
- 筆者: 清水 草一
こんなところにも民主党政権の弊害があった!
首都高中央環状線C2には、構造的な欠陥により3カ所のボトルネックが存在する。
1.「小菅―堀切間」、2.「板橋―熊野町間」、そして3.「大橋JCT」だ。これらを先頭にした渋滞は、今やC1を先頭にしたものよりひどいくらいだ。
1.と2.は、今回ようやく拡幅工事の認可が下り、2019年度の完成目指して工事が始まることになったが、実はこの工事、すぐにも取りかかれる状況にありながら、民主党が政権を取ったことで「コンクリートから人へ」の掛け声の元、2年間凍結されていたのである!
それでいて、この割引制度。お話にならないとはこのことだ。
私は長年、首都高や建設省および国交省を取材していて、現場の職員はもちろん、官僚も問題点を理解していることを実感している。彼らがこんな、意味のない料金制度を進んで導入するわけがない。これは、現場をまったく知らない民主党の政治家さんたちが、国交省に押し付けた料金制度である。
政権が変わったことで、我々国民は、世の中を良くするのはそう簡単ではない、ということを実感した。「ムダを削ればなんでもできる」はウソだし、官僚は必ずしも“悪”ではない。
官僚主義より始末が悪いのは、現場を知らない政治家たちの、人気取り目的の「政治主導」ではなかろうか? そしてもうひとつの大きな害は、政治家同様に現場に無知な、大マスコミの粗探しと世論誘導だ。
結局、大した意味も見出せない今回の距離別料金制導入
ともかく、今回の距離別料金制導入には、特に意味はない。利用者はこれまでとまったく同じように利用するだろう。
中距離は、700円から100~200円値上げになるケースがある。短距離は、700円から100~200円安くなるケースがある。ここまでは、現状よりは多少公平性が増す。
ただし、長距離は大幅に安くなるので、長く使えば使うほどトクになり、かえって不公平になる。そして、渋滞緩和などの全体的なメリットは特にない。
これでは首都高は何も変わらない。
たとえ世論が反発しても、それはユーザーが問題点を理解していないからにすぎない。そこをきちんと説明し、首都高にはもっと完全な距離別料金制を導入して、他の環状高速と連携しつつ、渋滞を緩和すべきなのだ。
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