計画から10年、ようやく首都高C2板橋~熊野町間が4車線化へ【週刊 クルマ事件簿】

やっとまともになった首都高C2板橋~熊野町間

去る2018年3月18日、首都高C2板橋~熊野町間(約1キロ)の拡幅が完成し、内回り・外回りともに3車線から4車線へと広がった。

この区間は、C2(中央環状線)と5号線が重複している。2車線と2車線がいったん合流して、1キロ先で分流する形だ。2+2=4。誰がどう考えても4車線は必要だ、つまり、今回の拡幅によって、この区間の設計はついにマトモになった。

実は、交通容量としては、2+2=4車線でも足りない。なぜならこの区間では、C2と5号線とが分合流することによる「織り込み交通」が発生するからだ。織り込み交通による車線変更は、交通容量を減少させる。

よって、4車線への拡幅後も、渋滞は半分程度(推定)に減りはしたが、解消とまでは行っていない。

4車線でも足りないのに、いったいなぜ3車線で設計されたのか? バカなのだろうか!?

理由は、設計が古すぎたことにある。

眠れる龍

この区間が開通したのは1977年。その時C2はまったく未開通で、問題の板橋~熊野町間は、単に5号線の一部だった。ただ、C2の構想は1960年代にすでにあり、現在のように、板橋~熊野町間で5号線と重複する構想になっていた。

そこで、70年代の5号線延伸部(北池袋~高島平間)の建設時、この区間だけ片側3車線分の幅が用意され、その後25年間、C2王子線の開通時(2002年)まで、1車線分は使われずに眠っていた。眠れる龍とでも言おうか。

さらに言えば、この区間の基本設計が決まったのは50年以上前。その頃首都高にはまだ渋滞はなかった(!)。

C2新宿線が開通し、この区間が激しいボトルネック(渋滞ポイント)になったのは2007年から。基本構想がまとまった約40年後である。浦島太郎にもなろうと言うものだ。

完成まで10年を要した

それにしても、途中でなんとかならなかったのか? と思うだろう。私も思った。

公団および建設省(当時。現在は国土交通省)も、途中で、「このままでは必ず渋滞する」とわかっていたはずだ。しかし、役人が一度決めたことを覆すことはまずない。

18年前(2000年)の取材時、彼らは予想交通量を低く見積もることで、「この区間を先頭にする渋滞は起きません」と言い張った。

私「いや、これでは絶対に渋滞します。今からなんとかならないんですか」

首都高速道路公団(当時。現在は民営化されて首都高速道路株式会社)「橋脚を片側3車線の幅で造ってしまっているので、技術的に不可能です」

その後間もなく、猪瀬直樹氏の指摘をきっかけに首都高を含む道路四公団に対する批判が沸き起こったこともあり、彼らも拡幅を真剣に検討し始めた。

しかし、いったん造ってしまった橋脚を、クルマを流しながら造り替えるのは困難ということもあり、ようやく拡幅が都市計画決定されたのが2008年。そこから完成まで10年を要した、というわけなのである。

[レポート:清水草一/出展:首都高速道路株式会社]

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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