鹿児島県
霧島
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数寄の宿 野鶴亭 静謐な日本庭園を囲む 数寄屋造りの非日常空間

鹿児島県の北側、霧島の地にある鹿児島屈指の温泉地のひとつ・日当山(ひなたやま)温泉。「野鶴亭(やかくてい)」は、この温泉街を代表する老舗旅館だ。そこは、鹿児島空港からもJR隼人駅からも車で15分以内という市街地。住宅街の中を進むと突然、大きな門構えの旅館が現れる。その門をくぐると、一瞬にして異空間に連れて行かれたかのような非日常の世界へ。匠の技が映える数寄屋造りと整えられた日本庭園の中に癒されるひとときが、幕を開ける。

部屋繊細な日本の様式美を感じさせる5棟の別邸

約3千坪の敷地内には本館と別邸があり、 全客室の内部は和の風情漂う数寄屋造りだ。専属の数寄屋大工が手掛けたもので、日本建築の伝統が守られた造形美が随所に光る。
とくに自慢は、離れ別邸5棟だ。それぞれ広さも形状も異なる造りになっていて、その棟専用の丁寧に手入れされた日本庭園と露天風呂が備えられている。例えば「無二庵」と名付けられた棟は、本間の他に水屋や茶室が設けられているのが特徴的。「閑閑庵」には月見台、「秋成庵」には書院と、どの棟も個性あるしつらえで、侘び寂びを感じさせる静謐な空間を演出している。ふすまの取手に白薩摩焼き使うなど、細かな装飾に鹿児島らしさを加味しているのも見逃せない。
別邸の中でとくにおすすめは、いちばん広い「秋成庵」だ。他の棟は本間から庭を望めるが、こちらは本間・次の間それぞれから異なる表情の庭を愛でることができる。春は桃、秋には柿が実る、静かに移ろう四季をじっくりと堪能してほしい。

日本庭園苔むした庭に映し出される、日本の四季

野鶴亭で最も目を見張るべきは、敷地の中央に鎮座する日本庭園。それを囲むように館が建っている。「整えられた庭園は、数寄屋造りと並ぶ当館の大きな特徴です」と代表の森さんは語る。
ロビーに足を踏み入れると、まずラウンジの大きな窓から望む緑の木々と美しい苔をまとった庭の美しさに驚く。取材した11月はちょうどもみじが色づいて、緑と紅の絶妙なコントラストを見せていた。ラウンジではお茶やコーヒーが飲めるので、到着したらまずはソファに腰掛けてゆっくりと庭を眺めたい。
春は梅に桜、そして桃。夏は力づよい緑、秋は赤黄に色づく紅葉、冬は凛とした椿…。木々や花が演出する庭の色彩美はもちろん、苔にも注目してほしい。庭師の緻密な計算のもと、何種類もの苔が絨毯のように庭を覆う。雨の日のしっとりとした風情がとくにすばらしいと評判で、あえて6~7月の梅雨時期に来るという人も多いそうだ。

料理食材の宝庫・鹿児島の旬を表現する懐石料理

四季の移ろいは、野鶴亭の食事でも感じられることができる。鹿児島の海・川・山の豊かな食材の中から選びぬかれた、その時期最もおいしいものが、懐石料理として提供される。器は湯呑み至るまで薩摩焼を採用。四季折々の料理に合わせて使用される「白薩摩」「黒薩摩」が、鹿児島の味わいをさらに引き立ててくれる。
なお、離れ別邸に宿泊の場合は、食事はすべて部屋で提供される。プライベートな空間で鹿児島の旬と四季の景色を同時に味わえるのは嬉しい限りだ。
献立は月替りで、春は竹の子などの春野菜、そこから夏にかけては鱧(はも) 、秋は松茸、冬はふぐや蟹などが、色鮮やかに並ぶ。他にも鹿児島産の首折れ鯖やかんぱち、霧島サーモンや天降川(あもりがわ)の鮎、志布志のうなぎなど周辺地域の豊富な食材がふんだんに盛り込まれている。
これだけでも贅沢だが、野鶴亭の懐石は「鹿児島黒牛」「黒さつま鶏」「かごしま黒豚」といった鹿児島の肉をメインに料理が構成されている。このあと、詳しく紹介していく。

黒毛和牛自社飼育の極上の和牛が、多くのリピーターを呼ぶ

野鶴亭の懐石のメインを飾る「肉」。中でも自慢は黒毛和牛だ。野鶴亭のグループ会社では、自社農場で約6,000頭の黒毛和牛を飼育。その中から厳選された主にA5等級の牛肉が日々届けられ、しゃぶしゃぶ、すき焼きとして提供されるのだ。宿泊客からの料理の感想で最もよく聞かれるのは、やはり「お肉がおいしい」という声。「脂が旨い」という言葉も多いそうだ。フロントでは牛肉の通販の受付もしているので、家庭でもその良質な肉を楽しめる。
「鹿児島黒牛」は、和牛のオリンピック「第11回 全国和牛能力共進会」で総合優勝(団体賞)の栄誉に浴した。牛肉のレベルが高い鹿児島でも、同社の和牛は一級品。県の品評会でグランドチャンピオンを獲得した実績もある。「牛が食べたいから野鶴亭に泊まる」「牛を食べて常連になった」という人もいるのだとか。「自社で愛情を込めて大事に育てた牛のお肉を、ぜひ多くの方に味わってみてほしいと思います」と森さんは微笑む。

温泉西郷隆盛も愛した 鹿児島最古の温泉をかけ流しで贅沢に

野鶴亭が建つ日当山温泉は、800年の歴史を持つ鹿児島県最古の温泉地。西郷隆盛が明治政府を辞したあと体を休めに何度も訪れた場所として知られる。豊富な湯量を誇り、かつては湯治場として県内外の人々が傷を癒しに訪れ、現在も地域の人々に愛される名湯である。
野鶴亭は敷地内に2本の源泉を有し、全館に源泉かけ流しで湯が注がれる。源泉は70度弱あるが加水せずにかけ流しながら温度調節されている。泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。弱アルカリ性でとろみのある湯だ。「美人の湯」とも言われ、入浴後は化粧水がいらないと喜ばれているそうだ。
大浴場は、釘をできるだけ使わずに杉の材木で造った建物の中にある。露天風呂も内風呂も、大きな薩摩石でつくられた岩風呂になっている。広々とした露天風呂では、開放的な気分で季節の移ろいを肌で感じられることだろう。

日本古来の伝統技術や四季のある自然文化を、数寄屋造りと日本庭園を通して、旅館という形で表現している野鶴亭。その名には「鶴が羽を休めるように。人が心を休める」 という思いが込められている。「名は体を表す」とはこのことだ。野鶴亭は、訪れた人にゆっくり休んでもらうことに最も重きを置いた、静かで奥ゆかしい空間である。ここはまさに、大人が日頃の喧騒から離れて心を鎮める場所としてふさわしい。

キーパーソン

代表取締役 森 義斉(もり・よしなり)
数寄の宿 野鶴亭

代表を務める森さんは鹿児島県出身。学生時代は土木建築を学んでいたが、大学3年生の時、実家が営む会社が野鶴亭の運営を引き継いだことを機に観光業に進む決意をした。大学卒業後、箱根の旅館で約3年の経験を積み、その後25歳で野鶴亭へ入社。2年の現場経験を経て27歳で代表取締役に就任し、現在に至る。培われてきた宿の歴史と、日本文化の良さを大切に守りながら、時代の流れとともに移り変わる旅行者のニーズに応じて成長していける宿を目指しているという森さん。今後の課題は、純和風の風情を守りながらも、海外からの旅行者や時代の変化に対応したスタイルをどのようにして取り入れるかだという。

「野鶴亭でのその一回の宿泊が、一生に一回の旅行になる人もいるかもしれません。その旅の中で、お客様が何を求めているかを先回りして汲み取り、信頼関係を築くことが『おもてなし』だと思っています。滞在中の限られた時間の中で、お一人おひとりに合わせたおもてなしをご提供したいと思っています。また、野鶴亭が『旅慣れた人が最後に行き着く場所』になったら嬉しいです。世界中あらゆる土地を旅した審美眼を持った方でも、日本の様式美・機能美を感じ取り、その良さに回帰してもらえる場所にしたいと思います。そのための空間づくりにも力を注いでいきます」

お知らせ

衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
1.館内全ての吹き上げ作業にアルコール消毒剤を使用しております。
2.スタッフは十分な手指の消毒、うがいを徹底し常時マスクの着用を実施しております。
3.夕食、朝食ともに客室はしっかりと間隔をあけた食事処での提供をさせていただいております。
4.懐石料理は通常一品ずつ提供しておりますが、3密を避けるために提供回数を同時に数品の料理提供を実施しております。
5.朝食はお客様の組数に応じて、時間毎の組数の制限をさせていただきます。
調理場及び食事提供に関わる場所、物も十分な消毒を行い使用しております。
6.レストランに入られる時にも手指の消毒をお願いし、徹底しております。
7.お食事は間隔をしっかりと開け、真正面を避けてご準備致しております。
8.備え付けの物に関しては定期的な消毒を 行っております。
9.チェックイン時のウェルカムドリンクは混雑を避けるためにお部屋にて提供しています。
10.フロントにアクリル板を設置しております。
更新日:2021年01月26日

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