純和風の雰囲気と心温まるおもてなしが好評な「昔心の宿金みどり」の別館として、2019年8月にオープン。洗練された「レストラン 惠」に、全7室の客室と至福の温泉が一体となった、オーベルジュ宿である。『草津温泉 炯(けい)』がたたずむのは、温泉ファンに惜しまれつつ閉館した「高砂館」の跡地。「想いを引き継ぐ」ために、客室や貸切温泉、ラウンジなどさまざまな場所に残る高砂館の面影も、ぜひ感じていただきたい。
目次
料理「レストラン 惠」ならではの技法で 選りすぐりの素材を調理
夕食と朝食は、モダンな「レストラン惠」で味わうことができる。「贅沢したい!というお客様の心を満たすために、最善の調理法で料理を作り上げます」と語るのは、県内外の旅館で腕を磨いてきた敏腕シェフ・村田経博さん。ベースである和食の調理法にフレンチの技法を取り入れ、イタリアンや中華のエッセンスも加えた会席料理を提供している。「旅館の料理」という固定観念にとらわれず、一品ずつ順番にサーブ。温かい物は温かいうちに、冷たい料理は冷たいまま、熱いものはグツグツした状態でテーブルへ運ばれるため、いつもできたてを味わえる。
夕食は、全国から選び抜いた旬の食材に合わせ、メニューや調理法をその都度変えている。「群馬の朝ご飯」がテーマの朝食は、浅間山の麓で採れた卵や下仁田こんにゃく、北軽井沢のヨーグルト、嬬恋村の黒豆納豆をはじめ、県内産の食材をふんだんに使用。「せっかく草津を訪れたからには、地元で採れる素材の魅力も堪能してください(村田さん)」。
温泉地蔵源泉と万代鉱源泉を3つの貸切風呂で満喫
草津に数ある宿泊施設のうち、利用できるのは4軒のみという希少な「地蔵源泉」。そして、美肌をもたらす酸性度が高い無色透明な「万代鉱源泉」。「炯」では、この2種類の温泉を楽しめる。入浴もプライベートな空間で満喫してもらうために、あえて大浴場を設けず、地蔵源泉を引いた「AWASE」と「HIKARI」、万代鉱源泉を引いた「RYOKU」という、3つの貸切風呂を設えた。AWASEは、湯治客の多い高砂館でも親しまれた草津の伝統的な入浴法・合わせ湯を、「炯」のスタイルで再現。侘び寂びがテーマのHIKARIは茶室をイメージしており、温泉に囲まれながら、お湯とじっくり向き合いリフレッシュできる。唯一の露天風呂・RYOKUは、豊かな自然を肌で感じられ、浴槽ではお湯が底から湧き出してくる。水鏡に映り込む緑と水面が一体化し、インフィニティプールを思わせる雰囲気を演出しているところが魅力だ。
「高砂館」の面影ルーツである高砂館から引き継ぐおもてなしの想い
草津最大の湧出量を誇る万代鉱源泉を引いた露天風呂付きの「TAKASAGO」は、ラグジュアリーな特別室。お部屋の中には、多くの湯治客をとりこにしていた旅館「高砂館」が大切にしていた、おもてなしへの想いが散りばめられている。お部屋に足を踏み入れると、高砂館の一部だった木材で作ったオブジェが出迎えてくれる。鴨居の木材や天井のデザインも同館のもの。懐かしさが込み上げるファンも多いことだろう。
引き継いだ想いは、スタイリッシュなラウンジにも込められいる。温かみのある椅子やソファは高砂館から譲り受けた素材をリメイクしたもの。テーブルは同館にあった階段の手すりを切って組み合わせてあり、特徴的なデザインに仕上げられている。ラウンジでフリードリンクを楽しみながら、大正時代から約120年の歴史を築いた高砂館に思いを馳せてはいかがだろうか。
部屋居心地の良さを重視した客室は、全室が異なるデザインに
和と洋が調和した客室は「TAKASAGO」を含めて全7室。どの客室も70㎡以上と広さにゆとりを持たせ、居心地の良さを高めている。
「どこに座ってもくつろげる空間づくりにも力を入れました。視線の先には、心揺さぶるオブジェや癒しの坪庭をレイアウトし、目でも楽しめるよう工夫を凝らしています」と話すのは、代表の大島和也さん。別荘を思わせるメゾネット「C02」や、灯りに包まれた寝室が印象的な「B01」をはじめ、全室デザインが異なり、お部屋選びも楽しみだ。ヴィヴィッドな赤いソファを配置した「A02」は、カジュアルな雰囲気。「B02」では、ニューヨークのアーティストが手掛けた吊るし飾りが目を惹く。また、隠れ書斎のある「A01」とメゾネットの「C01」には、露天風呂を完備。それぞれ万代鉱源泉、地蔵源泉を引き込んでいる。非日常のプライベート空間でゆったり温まりながら、リラクゼーションを存分に満喫できるだろう。
眺望四季を彩るレストランの庭は、昼と夜で別世界に
多数の宿が軒を連ねる温泉街の一画というロケーションではあるが、すぐそばに自然があり、旅の疲れを和らげてくれる。天井の高さまでガラス張りの開放的な「レストラン惠」では、庭で四季折々に色づく緑や花々の眺めを満喫できる。桜にツツジ、アジサイにシャクナゲ、紅葉、そして雪景色など季節の彩りが、贅を尽くした料理を味わう喜びや楽しさを引き立ててくれるだろう。夕食時には庭がライトアップされ、朝食時とは異なる幻想的な風景を望めるのが魅力だ。
客室の窓の向こうにある坪庭は、各部屋のコンセプトに合わせてデザイン。リラックスタイムの心を解きほぐしてくれる。風情豊かな緑を見つめながら、幸福感に浸れることだろう。
ルーツである高砂館の想いや草津の伝統を踏襲しつつ、独自のスタイルを融合させた「草津温泉 炯」。レストラン惠、温泉、宿泊施設が一体となったオーベルジュとして、草津温泉に新たな息吹をもたらし、温泉宿での斬新な楽しみ方を提案し続けていくことだろう。
「惠」はレストランとして独立した営業も行っているため、食事のみを楽しみたい時もぜひ予約して訪れたい。
キーパーソン
1977年生まれ、群馬県草津町出身。ハワイの大学を経て、同州のローカルホテルスクールを卒業。帰国後は、旅館業について学ぶために静岡県内の旅館に入社した。帰郷後に一旦、家業である旅館「昔心の宿金みどり」を運営する株式会社金みどりに一般社員として入社した後、同社再建のためにマネージメント会社を設立。約5年後に株式会社金みどりを吸収合併し、代表取締役に就任した。2019年8月には、木造4階建ての旅館「高砂館」の跡地に「レストラン 惠」を擁する『草津温泉 炯』をオープンさせた。
「本館の『昔心の宿金みどり』では“お客様に寄り添った温かいおもてなし”を重視。一方の『草津温泉 炯』では異なる空気感を楽しんでもらうために、ホテルのサービスのようにお客様と適度な距離を保って接客しています。旅館のように密なコミュニケーションやホスピタリティあふれる対応をお望みの方もいると思いますが、当館で『つかず離れず』の接客スタイルを心がけているのは、お客様に貴重なプライベートタイムを心地良く過ごしていただくための配慮でもあります。もちろん、スタッフに要望をおっしゃっていただいた時は親身に対応します。スタッフにしてほしいことや困っていることなどがあれば、遠慮せずお気軽にお声がけください」
お知らせ
衛生管理(新型コロナウイルス感染予防対策)について
【草津温泉 炯より衛生管理について】
当施設では三密を避け、感染を防ぐために、以下の内容を実施しております。
・館内では定期的に消毒また換気をおこなっております。
・スタッフに関しましては、消毒・検温・マスクの着用をおこなっております。
・お客様には、到着時に消毒と検温をお願いしております。
(※もしお客様で37.5°以上の体温があった場合、ご宿泊頂けない場合がございます。予めご了承下さいませ。)
・レストランでは、ソーシャルディスタンスを保ちご提供しております。
お客様におかれましては、ご理解、ご協力を賜りますよう何卒お願い申し上げます。
更新日:2021年2月8日