トヨタ エスティマ オーナーズ レビュー(1/4)
- 筆者: オートックワン 編集部
- カメラマン:島村栄二
エスティマオーナー 1 クルマ選びの原点はハチロクです
「ハチロクでクルマに目覚めたんですよ」現在エスティマ2.4Gに乗る福西健司さんは、こう語り始めた。
ハチロクとは言わずと知れたAE86のこと。特定時期に生産販売されたトヨタカローラレビンとスプリンタートレノに与えられた呼称だ。
峠道を舞台にした漫画作品にも登場することから、古い車種であっても巷間の認知度は低くない。軽量な後輪駆動車で価格も高くなかったことから、クルマ好きの若者の間で絶大な人気を博した車種だ。
「クルマが好き、運転が好き」というオウナーの嗜好を強くアピールできることが一番の魅力。そんなクルマから福西さんは日産プリメーラ、同パルサーの4WDターボモデルと車暦を紡いできた。いずれも運転やカスタムを楽しめるクルマだ。しかし、結婚とともに福西さんのクルマに懸ける思いは縮小せざるを得なくなっていった。
パルサーからの買い替え時。ファミリーカーを求めていた福西家は候補を2車種に絞っていた。福西さんは、運転を楽しめて人も荷物も沢山積めるクルマということでステーションワゴンの中から日産ステージア、それもMTモデルを考えていた。いっぽう奥様が後席広々のファミリーカーを望んでいたところで出会ったのが先代のエスティマであった。
ここで夫婦は衝突する。あくまで運転に重きを置きたい福西さんに対して奥様は後席でのんびりとクルージングを楽しみたいという。それまでワンボックスのファミリーカーを嫌っていた福西さんは葛藤の挙げ句、折れた。自分の楽しみである走りをぐっと我慢することに決めた福西さんは、こうしてエスティマに出会うことになる。
こんな経緯で先代エスティマを購入することになった福西さん。だが、いざ手にしてみるとこれはこれで悪くないと思い始めていったそうだ。スポーティなルックスで人気の「AERAS」を選んだところに、クルマ好きである彼のプライドが見て取れる。前車では8人乗りモデルを選んだが、多人数乗車の機会が少なくあまりその恩恵に預かれなかったということもあって、現在所有する3代目エスティマでは7人乗り仕様をチョイス。後席をめいっぱい後ろにスライドできるリラックスキャプテンシートが家族に好評だ。愛娘の莉奈ちゃん(7)もエスティマがお気に入りで、街で同車種をみかけるとすぐに気づくという。
3人家族で7人乗りのクルマを持つのは幾分大きすぎるような気もするが、これには理由がある。近くに住む義妹家族3人と義母を一度に乗せる機会が少なからずあるからだ。そんなときに福西さんの7人乗りエスティマが大活躍をみせるのだ。面白いことに、義妹夫婦もエスティマに乗っており、皆で遠出をするときにはどちらかに乗り合っていくという。
福西さんに愛車の気に入っているポイントを尋ねると、カスタムパーツが豊富なところと答えてくれた。エスティマのパーツは社外品を含めて多数販売されており、自分好みのクルマに仕上げることが可能となっている。福西さんは外装にフロントリップスポイラーを装着。するとサイドとリアが黒く残ってしまうことが分かった。これは出荷時のままだとサイドマッドガードとリアバンパー下部はブラックアウトされていることによる。フロントとの統一性を重んじた彼は一念発起。なんと自らボディと同色に塗装してしまったのだ。「誰にも気づいてもらえないんですけどね」そう笑う福西さんだが、クルマにこだわりを持つ彼らしく、当該個所を丁寧に説明してくれた姿が印象的だった。
かつて走りが好きだった福西さん。父親になった今、新たな方法でクルマを楽しんでいる。
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