インド生まれのコンパクトハッチ「スズキ バレーノ」が日本で抱える“問題点”とは【徹底解説】(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
1リッターターボ搭載モデルは燃費と使用燃料が問題に
バレーノのメカニズムでは、まずはエンジンに注目したい。
グレードはXT(上級モデル)とXGの2グレードが設定されているが、XTは新開発の直列3気筒1リッターターボを搭載している。(XGに搭載の直4・1.2リッターは後述)
この1リッターターボは直噴式で、燃料を噴射するインジェクターには6つの噴射穴を設けて横1列に配置。高圧燃料ポンプで高微粒子化を促進させ、燃焼効率を高めるこの新エンジンは「ブースタージェットエンジン」と呼ばれる。
ブースタージェットエンジンの動力性能は、最高出力が111馬力(5500回転)、最大トルクが16.3kg-m(1500~4000回転)。最大トルクの数値は1.6リッタークラスで、しかも幅広い回転域で発生するから扱いやすい。トランスミッションはトルクコンバーター式の6速ATで、ギヤ比はエスクードに近い数値になる。
ブースタージェットエンジンを搭載した、バレーノ XTのJC08モード燃費は「20km/L」。比較として「フォルクスワーゲン ポロ」の1.2リッターターボは、同程度の動力性能でJC08モード燃費は「22.2km/L」。バレーノ XTは車両重量が950kgと軽く、ポロを180kg下まわっているので、燃費はまだ向上の余地があるだろう。
また、バレーノ XTではアイドリングストップが装着されないことや使用燃料がハイオクになってしまうことも気になるユーザーは多いかもしれない。
エコカー減税などに該当しないのは厳しいか
そして、バレーノ XTを費用面からみてみると、まずエコカー減税に該当しないのは辛いところ。
しかも平成27年度燃費基準を達成していないから、購入時だけでなく買った後の自動車重量税まで増えてしまう。もし、平成27年度燃費基準に該当したのならば、エコカー減税の対象外でも自動車重量税が500kgごとに2500円で計算される。車両重量が950kgのバレーノ XTなら購入時に納める3年分は1万5000円、その後の2年分は1万円となるはずだ。
ところが平成27年度燃費基準に該当しないと、500kgごとの税額が4,100円になってしまう。だから購入時に納める税額は2万4,600円、その後の2年分も1万6,400円と高い。
今の自動車重量税は、エコカー減税対象外の車種でも難解な「二重構造」があり、バレーノ XTでは購入後の税額が1.6倍に増えるのだ。
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