燃費が悪いのは本当!? ジムニーの実燃費と"異常に売れ続ける"理由とは
- 筆者: ブラックビーン
スズキ ジムニーの購入検討時に気になるのは維持費に直結する燃費性能ですよね。Web検索時に「ジムニー 燃費 悪い」といった予測検索が出るため、燃費が気になる方も多いはず。
この記事では、ジムニーのカタログ燃費とユーザー投稿による実燃費をまとめました。
さらに、燃費に影響を与える要因やライバル車との燃費比較、燃費が悪くてもジムニーが売れている理由も解説します。
スズキ ジムニーとは? 主な特徴
2018年7月にフルモデルチェンジされた現行モデルのスズキ ジムニーは、悪路走破性と軽自動車ならではの取り回しの良さから、本格的なオフロード4WDとして高い人気を誇ります。
「プロの道具」をデザインコンセプトにした飾らないスタイリングは、車両の姿勢や状況を把握しやすいスクエアなボディに、丸型ヘッドランプやスロットグリルといった歴代ジムニーの伝統的なデザインアイコンを随所に採用しています。
また、「新開発ラダーフレーム」「FRレイアウト」「副変速機付パートタイム4WD」「3リンクリジッドアクスル式サスペンション」というジムニー伝統の車体構成を継承しつつ、専用チューニングのターボエンジンや、走破性能を高める電子制御のブレーキLSDトラクションコントロールを全車に標準装備。
これにより、オフロードだけでなく、日常の足としても快適な走行性能を実現しています。
さらに、スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を標準装備するなど、安全装備も充実しています。
スズキ ジムニーのWLTCモード燃費(カタログ燃費)
ジムニーのWLTCモード燃費は、14.3〜16.6km/Lとなっています。
WLTCモード燃費は、市街地、郊外、高速道路という3つの走行モードを組み合わせた、より実走行に近いとされる国際的な燃費測定基準です。
これは従来のJC08モード燃費よりも実燃費との乖離が少ないとされており、一般的には「カタログ燃費」とも呼ばれています。
なお、この燃費数値はミッション方式によってのみ変動し、グレードの違いによる影響はありません。
ミッションごとのWLTCモード燃費は以下の通りです。
グレード | パワートレイン/駆動方式 | ミッション | WLTCモード燃費 |
---|---|---|---|
全グレード | ガソリン3気筒ターボ | 5MT | 16.6km/L |
4AT | 14.3km/L |
ミッションの種類解説と燃費の違い
スズキ ジムニーには、「4速オートマチックトランスミッション(4AT)」と「5速マニュアルトランスミッション(5MT)」の2種類のミッションが設定されています。どちらのミッションも、グレードに関わらず自由に選択可能です。
ここでは、それぞれのミッションの特徴と、燃費の違いについて解説します。
4速オートマチックトランスミッション(4AT)
本格的なオフロード性能を持つジムニーですが、街中での利用を考えると4AT車の方が扱いやすい場面も多くあります。特に、普段マニュアル車に乗らない方にとっては、憧れのジムニーを選ぶハードルがぐっと低くなります。
燃費については、2021年10月の仕様変更により、2WD走行での停車時に作動するアイドリングストップシステムが搭載され、WLTCモード燃費が13.2km/Lから14.3km/Lに向上しました。
5速マニュアルミッション(5MT)
ジムニーのように趣味性の高い4WD車は、マニュアルトランスミッション車の人気が高い傾向にあります。そしてジムニーにおいては4AT車よりも5MT車の方が燃費は優れています。
さらに、2022年7月の一部仕様変更では、4AT車に続き5MT車にもアイドリングストップシステムが採用され、燃費は16.2km/Lから16.6km/Lへと向上しました。
5MT車のアイドリングストップシステムは、シフト位置をニュートラル(N)に戻し、クラッチペダルから足を離すことでエンジンが自動停止する仕組みです。これにより、燃料消費率の向上が実現しています。
記事内で紹介しているWLTCモード燃費は、これらの改良後の数値となっています。しかし、中古車の購入を検討する際には、この一部仕様変更を境にアイドリングストップシステムの有無が分かれるため、注意が必要です。
パワーユニットは1種類のみ
ジムニーのパワーユニットは全車共通で、最高出力64馬力(47kW)、最大トルク96N・mを発生する専用チューニングされたガソリン3気筒ターボ仕様。
特徴となるターボチャージャーは小型・低慣性のタービンを採用して、アクセルペダルの踏み込みに対するリニアな立ち上がりを実現。
そして低速で高い駆動力を発揮するトランスミッションとあわせて、滑りやすい悪路や岩場でも安定した駆動力を確保します。
駆動方式は1種類のみ
ジムニーの駆動方式は4WDのみです。初代から一貫して、前輪と後輪を直結するパートタイム4WDを採用しています。パートタイム4WDは路面状況などに応じて2WDと4WDを手動で切り替えて走行できます。
切り替えはトランスファー(副変速機)レバーで行い、2H(2WD)、4H(4WD高速)、4L(4WD低速)のモードから選択できます。
特に4Lは、急な登坂路や悪路の走破性を高めるために、通常の約2倍の駆動力を発揮します。
スズキ ジムニーの実燃費
続いて、実際の走行条件下で測定されたジムニーの実燃費データをご紹介します。
ユーザーから投稿された実際の燃費データを収集・集計し、公開しているウェブサイト「e燃費」に掲載されているデータによると、ジムニーの実燃費は以下の通りです。
グレード | パワーユニット | ミッション | WLTCモード燃費 | 実燃費(平均) |
---|---|---|---|---|
全グレード | ガソリン3気筒ターボ | 5MT | 16.6km/L | 14.99km/L |
4AT | 14.3km/L | 13.34km/L |
※WLTCモード燃費、実燃費は2025年6月時点のもの。実燃費は運転条件によって異なるため参考程度としてください
上記のデータから、ジムニーの燃費はカタログに記載されている「WLTCモード燃費」と実際に走行した際の「実燃費」とで、それほど大きな差がないことがわかります。
グレードによる燃費の差はほぼなし
通常、車のグレードによって装備が異なると、車両重量が変化し、それが燃費に影響を与えることがあります。一般的に、車重が重いほど燃費は悪くなりがちです。
しかし、ジムニーの場合、グレードごとの車両重量の差がないため、実際の燃費においても大きな違いは出にくいと考えられます。
カタログ燃費と実燃費のちがい
カタログ燃費は、国が定めた特定の条件下(例えば、平坦な道を一定の速度で走行するなど)で測定された数値です。
一方、実燃費は道路状況や運転の仕方、エアコンの使用状況、乗車人数や荷物の量など、様々な要因によって変動します。
これらの要因により、一般的に実燃費はカタログ燃費よりも少し低い傾向にあります。ジムニーもこの傾向に当てはまりますが、その差は小さいと言えるでしょう。
ライバルとの燃費比較! ジムニーの燃費が悪い理由とは?
ジムニーのライバル車としてよく比較される、軽・小型SUVであるダイハツ タフト、スズキ ハスラー、スズキ ジムニーシエラのWLTCモード燃費(カタログ燃費)を比較してみましょう。
車種 | ミッション | 2WD | 4WD |
---|---|---|---|
ジムニー | 5MT | - | 16.6km/L |
4AT | 14.3km/L | ||
ジムニーシエラ | 5MT | - | 15.4km/L |
4AT | 14.3km/L | ||
タフト | CVT | 21.3~21.4km/L | 21.1km/L |
ハスラー | CVT | 22.6~25.0km/L | 20.8~23.4km/L |
ジムニーの燃費はなぜ悪い?
ジムニーのガソリン車は、他の軽自動車やコンパクトカーと比べて燃費が少し悪いと感じるかもしれません。これにはいくつかの理由があります。
理由1:燃費に有利なCVTを採用していない
最近の多くの軽自動車やコンパクトカーに採用されている「CVT(無段変速機)」は、なめらかな加速と高い燃費性能が特徴です。しかし、ジムニーのトランスミッションは「5MT」と「4AT」のみ。CVTのような、燃費を向上させるための最新技術が搭載されていないことが、燃費性能に影響しています。
参考:CVTとAT、何が違う?
ATは複数の歯車(ギア)を切り替えて速度を調整するのに対し、CVTはギアを使わず、滑車とベルト(またはチェーン)で無段階に速度を調整します。これによりCVTは加速が非常になめらかで、エンジンを常に効率の良い回転数で保ちやすいため、燃費が良くなる傾向にあります。
理由2:悪路走破性を重視したエンジンとギヤ比
ジムニーは、街乗りだけでなく、険しい道でも力強く走れるように設計されています。そのため、エンジンやギヤ比(タイヤに伝える力の調整)は、燃費よりも「悪路での力強さ」を重視してチューニングされています。
具体的には、低速で大きな力を発揮できるように作られているため、一般的な道路を走る上では、燃費効率が犠牲になりがちです。これが、国の定める燃費基準である「WLTCモード燃費」が低くなる主な理由です。
ライバルの燃費解説:ダイハツ タフト
ダイハツ タフトのWLTCモード燃費は21.1~21.4km/Lです。
タフトはジムニーと比較して、CVT(無段変速機)を採用するなど、より乗用車に近い性格を持っており、燃費もジムニーを大きく上回っています。
また、2WDと4WDの燃費にほとんど差がないのも特徴です。これは、ジムニーのようなパートタイム4WDではなく、小型で軽量な4WDを採用しているためです。
ライバルの燃費解説:スズキ ハスラー
スズキ ハスラーのWLTCモード燃費は20.8〜25.0km/Lです。
同じスズキのモデルであるジムニーと比較すると、ハスラーはトールワゴンをベースとしているため、燃費性能もスズキ ワゴンRとほぼ同等の数値となっています。
ノーマルエンジン仕様、ターボエンジン仕様ともにマイルドハイブリッドシステムを採用しており、これによりジムニーに燃費で大きな差をつけています。
ライバルの燃費解説:スズキ ジムニーシエラ
スズキ ジムニーシエラのWLTCモード燃費は14.3〜15.4km/Lです。
ジムニーシエラは1.5L(1500cc)の自然吸気エンジンを搭載するのに対し、ジムニーは660ccターボエンジンを搭載しています。排気量は異なりますが、4ATに関しては両モデルのWLTCモード燃費が14.3km/Lと同一です。
一方で、MT車では燃費に違いが生じます。 ジムニーの5MT車のWLTCモード燃費が16.6km/Lであるのに対し、ジムニーシエラの5MT車は15.4km/Lです。
この違いの主な根拠は、ジムニーシエラのより大きな1.5Lエンジンと重い車両重量、そしてそれぞれのエンジンに合わせた最適なギア比設定が燃費に影響すると考えられます。
高速道路を多用する場合には、ジムニーシエラのほうが燃費が良くなる可能性もあるでしょう。
ライバル比較結論:悪路走破性を優先しているため、燃費は悪い
このように、1.5Lエンジンを搭載するジムニーシエラよりは5MTの燃費は良いものの、一般的な軽自動車と比較すると、ジムニーのガソリン車の燃費は「悪い部類」に入ると言えるでしょう。
これは、ジムニーが追求する唯一無二の悪路走破性という個性の裏返しでもあるのです。
燃費は悪いがジムニーが売れて続けている理由とは
燃費は決して良くないジムニーですが、それを補って余りある多くの魅力を持っています。ここでは、ジムニーが売れている理由を3つのポイントでご紹介しましょう。
売れる理由1:本格的な悪路走破性
ジムニーが売れる理由の1つ目は、軽自動車ながらクラスを超えた本格的な悪路走破性能を持っている点です。
単にアウトドアをイメージさせるデザインだけでなく、「新開発ラダーフレーム」「FRレイアウト」「副変速機付パートタイム4WD」「3リンクリジッドアクスル式サスペンション」といった本格的な機構を備えていることが、その実力を裏付けています。
売れる理由2:先進の安全性能
2つ目の理由は、趣味性の高い車種でありながら、安全装備が充実していることです。スズキの予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」を標準装備しているため、オフロードでもオンロードでも安心して運転できます。
具体的には、単眼カメラと赤外線レーザーレーダー方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」をはじめ、以下の機能が採用されています(グレードにより、標準装備またはメーカーオプション設定)。
・誤発進抑制機能(4速ATのみ)
・車線逸脱警報機能
・ふらつき警報機能
・ハイビームアシスト
・先行車発進お知らせ機能
・標識認識機能
さらに、エアバッグは運転席・助手席に加えて、フロントシートサイドとカーテンエアバッグが加わり、合計6つとなっているため、万が一の事故の際でも安心です。
売れる理由3:街中でも映えるスクエアボディ
3つ目の理由は、スクエアなボディデザインと、初代から受け継がれる丸型ヘッドランプ、そして5スロットグリルという王道のジムニーデザインが多くの人に受け入れられているからです。
かつては男性ファンが多い印象でしたが、近年ではその無骨なデザインが「かわいい」と評価され、女性にも人気が広がっています。
まとめ
ジムニーは、半世紀にわたるこだわりと技術を受け継ぎながら、現行モデルでは本格的な4WD車としての性能をさらに進化させています。
ジムニーの燃費は、カタログ燃費と実燃費で大きな差はありません。しかし、同じ軽自動車のライバルと比較すると、WLTCモード燃費は低いと言わざるを得ません。
これは、ジムニーが燃費性能よりも、丈夫なボディと足回り、そして専用チューニングされたエンジンによって、悪路でも安心して走行できるクルマであることを優先しているためです。
したがって、燃費を重視する方にはおすすめできませんが、それでも見た目が気に入った人や、自然の中で思いっきり運転を楽しむアクティブなライフスタイルの人にこそおすすめしたい一台です。
購入を検討する際は、ぜひ試乗でその運転感覚や乗り心地を十分に確認してみてください。
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