発売当日に受注枠が消滅! 新型ランクルFJが買えない事情と、それでも早く手に入れる方法
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:佐藤 正巳/トヨタ自動車/KINTO
トヨタの本格悪路向けコンパクトSUV、新型ランドクルーザーFJ(ランクルFJ)が発売されましたが、当日に初期受注枠が埋まり、早くも販売店では受注停止となる異例の事態が起きています。
この記事では、カーライフ・ジャーナリストの渡辺 陽一郎さんが、混乱する販売店の声を取材。
今後の受注再開時期や納期の目安、さらには今すぐ乗るための具体的な手段を解説します。
また、450万100円という価格設定は同じトヨタのSUVであるランドクルーザー70やRAV4と比較して買い得度はどうなのか、徹底検証します。
「発売日に受注終了」の異常事態! 販売現場で何が起きているのか
待望の悪路向けSUV、トヨタ 新型ランドクルーザーFJが2026年5月に発売されました。人気の高いランドクルーザーシリーズの中では、ボディがもっとも小さく、優れた悪路走破力と運転のしやすさを両立させています。国内市場に適した商品で、2025年10月に世界初公開されて以来、購入を希望するユーザーが増えていました。
店舗によって対応がバラバラ! 受注枠は発売当日に消滅
まずお伝えしたいのが販売状況です。発売日の2026年5月14日に、販売会社の異なる複数の販売店に問い合わせると、対応がそれぞれ違いました。
もっとも多く聞かれたのが以下の返答です。
「発売直後の受注枠は、すでに埋まりました。新型ランドクルーザーFJは、1店舗当たりの受注枠が限られ、しかも半年前に公開されていますから、購入希望のお客様が多かったです。そのために受注開始の直後にメーカーに発注したところ、当店の割り当て台数が埋まりました。本日(2026年5月14日)に発注できたお客様の納車が完了するのは、2026年の9月から10月です。受注の再開時期は未定です」。
割り当て不足とボディカラーの制約に販売員も顧客も困惑
新型ランドクルーザーFJは、購入希望者に対して受注できる台数が圧倒的に少ないです。そのために販売店からはいろいろな意見が聞かれました。
「新型ランドクルーザーFJの販売では困っています。長年にわたり弊社の商品を購入していた大切なお客様に行き渡りません。数人のお客様からは、長年の付き合いがあり、半年前から買いたいとお願いしているのに、なぜ契約できないのかと叱られました。人気車なのに、割り当て台数はセールスマン1名当たり1台程度で、とても足りません。しかもボディカラーの制約もあります。ブラックとホワイトは比較的多いですが、ブルーやブロンズ(茶色)は限られ、お客様の希望に応じにくいです」。
販売店ではどのような対策を立てているのでしょうか。
ある店舗では以下の話が聞かれました。
「新型ランドクルーザーFJでは、販売できるお客様を選ぶ必要があります。そこで今まで弊社からクルマを購入していただいたお客様に限定しています。発売当初の現時点では、新規のお客様は購入できません。またお付き合いのあるお客様でも、発売日の2026年5月14日に購入の意思を示された方は無理です。以前から購入希望だったお客様に限られます」。
このほか発売日の時点では「販売方法を検討中」という店舗もありました。
「今のトヨタの人気車では、メーカーが販売会社に対して一定の受注台数を割り振り、そこから各店舗が受注できる台数を決めます。現時点(2026年5月14日)では、各店舗の割り当て台数と受注できるお客様を選ぶ方法が未定です。それでもメーカーが新型ランドクルーザーFJを発売したと正式発表したので、問い合わせが多く入っています。しかしメーカーへの発注は行えておらず、販売店のスタッフも、お客様も困っています」。
この店舗は翌日になるとメーカーへの発注をしていましたが「受注はすでに終了しています。新型ランドクルーザーFJはタイ製の輸入車なので、今後の見通しも立ちにくいです」と返答されました。
なぜこの混乱は防げなかったのか
ちなみにランドクルーザーシリーズの70/250/300も、需要に対して供給が追い付かず、受注を停止させることが多いです。特にランドクルーザー300は長期間にわたり止まっています。
この経緯を踏まえると、世界初公開から約半年後にコンパクトな新型ランドクルーザーFJを発売すれば、受注が殺到することは想像できました。
トヨタが世界トップの生産規模を誇るメーカーである以上、需要に合った生産台数を確保するのが当然ですが、それが無理なら、せめて販売方法は明確にすべきでした。
例えば初期段階で購入できるのは、以前から販売店と取り引きのあるユーザーで、一定期間に応募した中から抽選で決めるという具合です。
このルールを明確にしておけば「販売店のスタッフも、お客様も困っています」という状態になるのを防げたでしょう。
次は8月が再開の目安? 納期を短縮してランクルFJを手にする方法
それなら新型ランドクルーザーFJに乗りたい場合、どうすれば良いのでしょうか。
定額制カーリース「KINTO」という選択肢
ひとつの方法として、定額制カーリースの「KINTO」があります。あくまでもリースなので、契約期間満了時には車両を返却する必要があります。所有権を手に入れる購入とは違いますが、最長で7年間にわたり新型ランドクルーザーFJを使えます。
KINTOでは、契約期間のほかに走行距離の制限、車内喫煙の禁止などが課せられます。
本来なら、所有権を手に入れて自由に使える購入を可能にした上で、リースを行うべきです。受注停止中のリースは本末転倒です。それでも現時点で新型ランドクルーザーFJを使いたいなら、KINTOの利用も検討しましょう。
新型ランドクルーザーFJのKINTOによる利用料金は、初期費用フリープランで7年契約した場合、ボーナス加算のない均等払いだと月額リース料金は6万5890円です。
この中には、年齢など各種の条件を付帯しない車両保険を加えた任意保険料も含まれます。条件を付帯しない任意保険料は、月額2万5000円前後に達することもあるため、新型ランドクルーザーFJのリース料金が月額6万5890円でも割高ではありません。
またKINTOは35歳以下の若年層を対象にした「U35はじめてのクルマおためしキャンペーン」も実施しています。
利用開始から6ヶ月目、12ヶ月目に解約しても、解約金を請求されません。若いユーザーに、気軽にKINTOを使ってもらうためのキャンペーンです。新型ランドクルーザーFJは、この対象に入っています。
受注再開に備えて今からできること
今後の新型ランドクルーザーFJの販売予想ですが、2026年5月14日に受注した車両の納車が完了するのは、前述のとおり2026年10月ごろです。そうなると受注の再開時期は、納車のメドが立った8月ごろでしょう。
ただし8月に販売店に出向いても遅いので、あらかじめ購入の意思があることを販売スタッフに伝えておきましょう。そうすれば受注が再開した時に教えてもらえます。
販売店を選ぶ時は、その店舗に、新型ランドクルーザーFJを買いたいユーザーが多いか少ないかも尋ねると良いです。「大勢います」と返答されたら、順番待ちの列も長いので、購入できる可能性が下がります。
逆に「ウチの店舗はあまりいません」と返答されたら、順番待ちの列も短いです。
チャンスが来たら即決が鉄則
今までの納期が長いトヨタ車を見ると、納車を待っている間に、不意に数台の受注枠が生じることもあります。
この時に、愛車の車検を取った直後や、ボディカラーが好みに合わないといった理由で購入を見送ると、その後、買えない期間が長引くこともあります。新型ランドクルーザーFJのような購入しにくい車種は、販売店から話が来たら、即座に買うことが大切です。
450万円の価格は強気な設定! ランドクルーザー70やRAV4との比較で分かった買い得度
新型ランドクルーザーFJの価格設定が、果たして中身に見合っているのかを他のランドクルーザーシリーズや同価格帯のSUVと比較、検証します。
新型ランドクルーザーFJ単体で見ると割高!
新型ランドクルーザーFJの価格は450万100円です。
ボディサイズは全長が4575mm、全幅は1855mmと比較的コンパクトで、エンジンは直列4気筒2.7Lです。
この点を考えると、450万100円の価格は割高です。衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、18インチアルミホイール、12.3インチのディスプレイオーディオなどは標準装着されますが、価格は395万円くらいに抑えるべきでしょう。
性能と価格で比べるとランドクルーザー70が勝る
新型ランドクルーザーFJの価格を400万円以下に設定した方が良い根拠として、ランドクルーザー70の価格もあります。
ランドクルーザー70は全長が4890mm、全幅は1870mmで、エンジンは直列4気筒2.8Lクリーンディーゼルターボです。最高出力は204馬力、最大トルクは51kg-mなので、新型ランドクルーザーFJの163馬力、25.1kg-mに比べて大幅にパワフルです。
ランドクルーザー70の安全/快適装備は、新型ランドクルーザーFJに比べてシンプルですが、価格も480万円です。買い得度を比べると、約30万円の上乗せなら、ランドクルーザー70が勝っています。
快適性・燃費ではRAV4が上回る
トヨタ RAV4「アドベンチャー」の価格は、新型ランドクルーザーFJとほぼ同じ450万円です。
RAV4の4WDは、前輪駆動をベースにした後輪をモーターで駆動する方式なので、新型ランドクルーザーFJよりも悪路走破力は低いです。
その代わりRAV4は直列4気筒2.5Lエンジンを使ったハイブリッドを搭載するので、新型ランドクルーザーFJに比べると、動力性能が高く燃費も優れ、車内も広いです。安全装備も充実して、12.9インチのディスプレイオーディオも標準装着されます。
以上のように、一般ユーザーに向けた選択肢としてはRAV4が勝ります。パートタイム式4WDを搭載する悪路向けSUV同士の比較でも、ランドクルーザー70が割安です。
新型ランドクルーザーFJとライバル2車種の価格、諸元比較
新型ランドクルーザーFJとランドクルーザー70、RAV4の価格と諸元をそれぞれ一覧表でまとめました。
価格比較表
| 車種名 | グレード | エンジン | 価格(税込) |
|---|---|---|---|
ランクルFJ | 標準 | 2.7Lガソリン | 450万100円 |
ランクル70 | 標準 | 2.8Lディーゼル | 480万円 |
RAV4 | アドベンチャー | 2.5Lハイブリッド | 450万3000円 |
諸元表
| 項目 | ランクルFJ | ランクル70 | RAV4 |
|---|---|---|---|
全長(mm) | 4575 | 4890 | 4610 |
全幅(mm) | 1855 | 1870 | 1865 |
全高(mm) | 1830 | 1920 | 1690 |
エンジン | 2.7L 直4ガソリン | 2.8L 直4ディーゼルターボ | 2.5L 直4+ハイブリッド |
最高出力(馬力) | 163 | 204 | 222(システム合計) |
最大トルク(kg-m) | 25.1 | 51.0 | 22.5(+モーター) |
ホイールベース(mm) | 2580 | 2730 | 2690 |
最低地上高(mm) | 250 | 200 | 200 |
駆動方式 | パートタイム4WD | パートタイム4WD | E-Four(電気式4WD) |
「国産最高水準」の走破力! ただし舗装路や後席の使い勝手には要注意
新型ランドクルーザーFJは本格的な悪路向けSUVとしての実力はとても優れていますが、特に4WDシステムや居住空間については、一般的なSUVとは大きく異なる点に注意が必要です。
パートタイム4WDの弱点は舗装路で使えないこと
新型ランドクルーザーFJの4WDはいわゆるパートタイム式で、カーブを曲がる時に前後輪の回転数を調節するセンターデフなどを装着していません。
そのために4WDの状態で舗装路のカーブを曲がると、ブレーキが作動したような状態になり、4WDシステムを破損する危険もあります。
4輪を駆動できるのは、滑りやすい雪道や未舗装路に限られ、通常は後輪駆動の2WDで走行します。舗装路で4WDの安定性は得られません。
短いホイールベースが生む悪路の強さと後席の狭さ
新型ランドクルーザーFJが推奨される用途は、本格的な悪路走行です。
ホイールベース(前輪と後輪の間隔)は2580mmと短く、最低地上高(路面とボディのもっとも低い部分との間隔)には250mmの余裕があり、悪路のデコボコを乗り越えやすいです。
国産SUVの中でも、新型ランドクルーザーFJの悪路走破力は最高水準です。
街中でファッションとして乗る方法もありますが、悪路を走らないと、新型ランドクルーザーFJの一番のメリットを発揮できません。
またホイールベースが短いために、後席の足元空間も狭く、床が高いから乗降性も良くないです。
舗装路で使えない4WDも含めて、良くも悪くも個性の強いクルマなので、試乗をしっかりと行って買いたいです。
つまり新型ランドクルーザーFJは、時間をかけて、気長に購入するクルマです。
【筆者:渡辺 陽一郎 カメラマン:佐藤 正巳/トヨタ自動車/KINTO】
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