米国EVシンポジウムに見る自動車業界の「本音」/桃田健史(3/3)

米国EVシンポジウムに見る自動車業界の「本音」/桃田健史
FEV社 LA近郊トーランスのガソリンスタンド SAEシンポジウムの受付 SAEシンポジウム カナダTM4社のインバーター SAEシンポジウムにて展示されていたエコカー 米レミーモーター社の電動モーター+ギアボックス シボレー ボルトの電池セル 韓国LG化学社が公開した電池モジュールの模型 Mercedes-Benz SLS AMG E-CELL BMW MINI e 画像ギャラリーはこちら

技術的には確実に成長傾向にあるものの

~米リサーチ会社~

ユーザーが買いたくなるガソリン車との価格差は、ハイブリッド車は+1,000ドル(約8万3,000円)。プラグインハイブリッド車は+3,000ドル(約24万9,000円)。

~米政府系研究所~

電気自動車やハイブリッド車の購入において、ガソリン車との価格差の『元をとった』と思う年数は、2~4年。しかも、燃費は36MPG(マイル・パー・ガロン/リッター換算で15.2km)が最低条件。

~ダイムラー~

Mercedes-Benz SLS AMG E-CELL

2012年にEクラスのハイブリッド車、2013年にSLS AMG E-Cell(搭載電池は韓国SKイノベーション社製)、2014年にはSクラスのプラグインハイブリッド車を発売予定。

~フォード~

アメリカ人の平均的な1日あたりの走行距離は25マイル(約40キロ)以下で、全体の50%。40マイル(約64キロ)以下は、全体の2/3。

2012年発売のプラグインハイブリッド車「C-Max energi Plug in」は、独マグナE-Cars社が考案したモジュール製造法を採用。ガソリン車との混流生産を効率化。

2004年から発売している同社ハイブリッド車の総数は約12万5,000台。搭載した三洋電機製の電池セルは約3,200万個。

~BMW~

BMW MINI e

「MINI e」の実証試験で、リース契約したユーザーの動向を発表した。ユーザーは電費を気にして走らず、航続距離が短くなったらなったなりに『ゲーム感覚』でエコドライブを楽しむ傾向がある。

~GM~

世界初のハイブリッド車構想は、1898年の「ロナー・ポルシェ・ハイブリッド」。1910年8月23日に特許申請が認可されている。ビュイック「ラクロス」「リーガル」にマイルドハイブリッドの「e-Assist」を採用。今後、同システムの多モデル化を考慮している。

2010年、アメリカの自動車年間販売台数は1,200万台弱。そのうちハイブリッド車のシェアは3%弱だ。

フォード「フュージョンハイブリッド」、キャデラック「エスカレードハイブリッド」など計28モデルもあるにも関わらず、ハイブリッド車の販売総数のザックリ半分は「プリウス」だ。そして、米国のハイブリッド市場はここ近年、あまり伸びていない。

技術的には確実に成長傾向にあるハイブリッド車や電気自動車。でも、「いつ」「世界のどの地域で」「どれくらい確実に」普及していくのか。技術屋の目線では予想がつかない。

それが、世界自動車業界の「本音」なのだ。

前へ 1 2 3

この記事の画像ギャラリーはこちら

  すべての画像を見る >

【PR】MOTAおすすめコンテンツ

検索ワード

桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

MOTA編集方針

「車好きのみんなが見ているメルマガ」やSNSもやってます!
カー用品・カスタムパーツ

愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!

  • 一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?

    これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。

  • 一括査定は本当に高く売れるの?

    これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は、申込翌日18時に最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。

人気記事ランキング
最新 週間 月間

新着記事

新着 ニュース 新型車 比較 How To
話題の業界トピックス・注目コンテンツ

おすすめの関連記事

この記事にコメントする

コメントを受け付けました

コメントしたことをツイートする

しばらくしたのちに掲載されます。内容によっては掲載されない場合もあります。
もし、投稿したコメントを削除したい場合は、
該当するコメントの右上に通報ボタンがありますので、
通報よりその旨をお伝えください。

閉じる