米国EVシンポジウムに見る自動車業界の「本音」/桃田健史(2/3)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史
現在予測されている電気自動車の普及率は
今回の参加者は、米欧日韓中印などから約500人。
講演の演目は合計31、パネルディスカッションが2つ、サプライヤー(部品メーカー)の技術説明が6つ。開催中の3日間、朝8時から夕方5時まで、ランチタイムと2回の休憩を挟んで、みっちりのスケジュールだ。開催会場は1箇所なので、参加者は全セッションに参加することが出来る。
さて、こうした技術的な議論を聞いていると、不思議に思うことがある。
それは、市場の将来予測が現時点でも「不確か」だということ。いまから5年後、10年後、20年後、といった時点でのハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、そして電気自動車の普及率の予測が全く立っていないのだ。
より正確に言うと、自動車メーカー/証券会社/シンクタンク/銀行/政府系研究所など各社/各団体の予測がバラバラで、予測値の差があまりにも大きいのだ。
こうした予測の差は、自称レンジ・エクステンデッドEV(事実上のシリーズハイブリッド車)のシボレー「ボルト」、EVの日産「リーフ」が量産開始された現時点で、さらに大きくなっている。
まあ、ハッキリ言えば、「ウチの製品が一番。相手はそのうち、廃れる」と、ビジネスでの競争意識が強くなってきたのだ。
少し前までなら、「次世代自動車=ドリームカー」扱いでOKだった。それが、「目の前の商売」になったものだから、各社のビジネス戦略にハッキリとした差が出てきた。
各社は自分たちに都合の良い統計データをかざして「ウチが次世代車No.1になれる」と言い出したのだ。または、「電気自動車は時期尚早だ」と言い出した。
このような自動車業界実態を理解して頂いたうえで、講演で気になった内容をいくつかご紹介しよう。
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