MX-30 EVモデルはまるでガソリン車! EV特有の直線的な加速が注目されるクルマづくりに一石投じるマツダの目論見とは?(1/3)
- 筆者: 青山 尚暉
- カメラマン:森山 良雄
世界的にクルマの電動化が急務となった今、マツダも史上初の電気自動車MX-30 EVモデルを発売。既存の電気自動車はモーター加速を全面に押し出したパワフルさが注目されているが、マツダはあえてその逆! 内燃機関モデルに近い仕上がりとなっているという。果たしてマツダ初の電気自動車の出来栄えはいかに!? 電気になっても“マツダらしさ”は残っているのだろうか。
EVを主眼に開発! そのため室内は広々
マツダ初の量産ピュアEVとなる、MX-30 EVモデルに試乗した。
まずはこのクルマの成り立ちから説明すれば、先に欧州でEVモデルのみが発売されている。つまり、MX-30そのものが、EV前提に開発された観音開きドアを備えるクロスオーバーモデルであり、日本市場では買いやすいマイルドハイブリッドモデルを用意し、先行発売されたということになる。
その意味は大きい。ピュアEVありきのクルマだけに、バッテリーを積んでも、室内、ラゲッジスペースが途端に狭くなるといったネガはないのである。
実際、室内空間、ラゲッジスペースともに、内燃機関車のマイルドハイブリッドモデルと変わらないスペースが確保されているのだ。
あえて小さなバッテリーを搭載! 普段使いに特化
電力を動力源とするe-SKYACTIVと呼ばれるパワーユニットを積むマツダ MX-30 EVモデルを語る上で、最重要項目となりうるのが、航続距離だ。
マツダが掲げる2050年カーボンニュートラル実現に向けて、バッテリーの生産から始まるライフサイクルにおけるCO2の排出量をより少なくするために決められたバッテリー容量、総電力量は35,5kWhと控えめで(シティコミューターEVのホンダeと同じ)、一充電航続距離はWLTC総合モードで256kmとなる(ホンダeは同259~283km)。
そう、ロングレンジを狙わず、日常的な使い勝手に適するバッテリー容量、一充電航続距離に的を絞ったのである。
ちなみに急速、普通充電用のふたつの充電口は右リヤフェンダーに備わり、充電時間は急速充電で80%充電=40分、家庭でも可能な200V普通充電で5時間(6kW)、12時間(3kW)となっている。
マツダらしさ満載! 既存車と同じ運転感覚は嬉しい
マツダらしいのは、モーターペダルと呼ぶアクセルペダルの踏み方に呼応するEVサウンドだ。EVはエンジンサウンドがないが、しかしマツダは車速感を実感、コントロールしやすいように、あえて(モーター)サウンドを造り込み(聞かせ)、人馬一体、クルマとの一体感を高めているという。
右パドルに注目! スピード調整が超しやすい
また、パドルシフトの考え方もほかとは異なる。左パドルはガソリン車の減速方向に準じた、回生減速度を強め、車速の上昇を抑え、カーブの手前、下り坂などでの一定速度の走行をしやすくしてくれる効果がある。山道での、ガソリン車で言えばシフトダウン効果、走りやすさに直結する。
一方、注目してほしい右パドルは、回生減速度を低下させ、速度を維持しやすく、一定速度での巡航のしやすさをサポートしてくれる効果を狙っている(注目すべき理由は後述)。
重たいバッテリー搭載するも前後バランスはピカイチ
ところで、MX-30 EVモデルのボンネットを開けてみると、なるほど、そこにエンジンはない(当たり前だ)。モーターと小型インバーター&補器があるのみで、スカスカである。
ここで前後重量配分が気になるマニアもいるはずだが、エンジンがなかろうと、モーター、インバーターはけっこうな重量物であり、加えて約300kgとなるバッテリーが車体中央床下に積まれているため、前後重量配分は56:44に収まっている。
充電コードの収納場所は要改善
充電コードはラゲッジスペースの右端にバッグに収められ、フックで固定されているのだが(床下には入らない)、それがラゲッジの幅方向のスペースを犠牲にしているのがちょっと残念。
アウディe-tronのように、ボンネット内にトレーを設け、収める方法もあるのでは、と開発陣に質問したところ、充電口の位置(アウディe-tronはフロントフェンダー)、水気、汚れの問題から、熟慮した結果、ラゲッジスペースに置いたということだった。
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