日産 ラティオ 新型車速報 ~セダンラインナップ強化で国内市場シェア2位死守!~
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「ティーダ」がモデル消滅した一方で「ラティオ」が生まれ変わったワケとは
今年7月に発表された日産のコンパクトカー、新型「ノート」。その披露の席で日産は、プレミアムハッチバック「ティーダ」のモデル消滅を明らかにした。ノートに上級グレード「メダリスト」を投入することで、これまでティーダが担っていた上級志向のユーザーニーズを吸収するとのことだった。では、セダン版の「ティーダ ラティオ」の行方は・・・?
2012年10月5日(金)、日産はその回答を明らかにした。ティーダ ラティオの後継車として、新たに「LATIO(ラティオ)」を発表したのだ。
ティーダの名が外れたのには、いくつかの理由がある。
神奈川県横浜市の日産グローバル本社ギャラリーで行われた新型ラティオの発表披露会の模様とともに、そのあたりをひも解いていこう。
1.2リッター3気筒エンジンにダウンサイジングし、クラスTOPの低燃費を実現
日産の新型セダン「ラティオ」は、名前こそ引き継いではいるが、プラットフォームから一新された新規車種として設計された。今回から、新型マーチや新型ノートが採用するVプラットフォームをベースとしている。そうした成り立ちをご紹介しつつ、旧型「ティーダ ラティオ」とも比較してみよう。
ボディサイズは全長x全幅x全高が4425x1695x1495mm、ホイールベースは2600mm。先代ティーダ ラティオに比べ全長で5mm、全高で40mm小さく、全幅とホイールベースは変わらない。引き続き5ナンバー規格に収まるボディサイズとした。全高の違いで座席の頭上高は低くなったが、後席のひざ周りなどは従来型とほぼ同等で、Lクラスセダンの「ティアナ」並みの広さを誇る。いっぽう車軸の前後寸法はフロント側で55mm短くなり、逆にリア側は50mm延伸されたことでトランクスペースの容量は23リッターも増量。使い勝手は向上した。
搭載されるエンジンも大きく変わった。ティーダ ラティオが4気筒 1.5リッターだったのに対し、新型はマーチやノートと同様の3気筒 1.2リッターエンジンへとダウンサイジングしたのだ。日産の説明によると、街乗りの領域では、従来のエンジンと発進時や再加速時の性能差はほぼ無いと説明する。いっぽうで車体の剛性を保ちながら従来比で70kgの軽量化を実施したり、新型の副変速機付きCVTを採用するなどして、よりスムーズな走りを支える。なお、ノートに採用されるスーパーチャージャー付きエンジンの設定は無い。
1.2リッターエンジンの採用により、大きく改善したのは燃費だ。新型ラティオは、前述の新型CVTやアイドリングストップ機構を全車に標準化したことなどと相まって、JC08モードで22.6km/Lの燃費をマークし、エコカー減税75%に適合させた。旧型ティーダ ラティオが18.0km/Lで減税なし、ライバルの「トヨタ カローラ アクシオ」の1.3リッターモデルが20.6km/Lで50%減税と、クラスTOPのアドバンテージを誇る。
ティーダは日本以外で(こっそり?)フルモデルチェンジをしていた!
冒頭で「ティーダ」はモデル消滅したと紹介した。しかしこれは日本だけのハナシで、実は中国などの海外市場ではフルモデルチェンジを果たしている。ではそのセダン版はというと、「ブルーバード シルフィ」の後継モデルとして、やはり国際市場では発表済みなのだ。
日産 新型 ラティオ発表会の席で、日産自動車の片桐隆夫副社長は『年末には引き続き「シルフィ」をフルモデルチェンジし、日本市場に投入する。生産は(神奈川県の)追浜工場で行う。』と明らかにした。シルフィはラティオとティアナの間の上位モデルという位置付けとなる。既に発表されている中国の日産サイト(http://nissan.com.cn/)によれば、ボディサイズは全長x全幅x全高が4610×1760×1495mm。日本生産のシルフィもそのままのスペックだとすれば、車幅の関係で日本では3ナンバーとなる。
いっぽう今回発表されたラティオは、ベーシックなコンパクトセダンとしての位置付けとされた。ここに「ティーダ」の名が外れた理由がある。
メキシコ、中国、タイ、インドの各日産工場で生産される新型ラティオは、世界150カ国で販売される。日本仕様はマーチに続き、タイで生産されたモデルが輸入車としてやってくる。北米や欧州などに加え、中国、インド、ブラジル等で発売済みのラティオ。特に成長著しい新興国においては、需要旺盛なエントリーカーとしての役割も果たし、既に50万台を販売している人気のモデルとなっているというから凄い。日産にとってラティオは、極めて重要な国際戦略車なのだ。
世界の中で日本が最後の販売開始となった「ドライ」な事情
しかしそれにしても、ラティオの日本市場への投入が世界でも最後になってしまったことに、ちょっと驚かされる。日本の自動車メーカーながら、その辺りは需要との優先度がドライに関わっているようだ。
というのも、日本でのラティオの月販目標台数は1200台(当初2012年度は合計10000台目標)。同じく世界戦略車のノートが、世界に先駆け日本での販売を開始し、わずか2週間で約2万2千台を受注したニュースが配信される中で、こちらはかなり少ない数値となっている。
ラティオの開発を担当した日産の都築 邦康 チーフ・プロダクト・スペシャリストは『新型ラティオの主なターゲットカスタマー(想定顧客層)は、個人ユーザーでは60代の定番志向の男性』と説明する。保守的なセダン志向のユーザーは、年々高年齢化が進んでいることの表れでもある。実際、コンパクトセダン市場は10年前の20万台規模から6万台規模へと大幅に縮小している。これには、ノートのようなコンパクトハッチバック車や、軽自動車市場の大幅な伸張が影響しているのは間違いないだろう。
なお都築氏によれば、コンパクトセダン市場はいっぽうで不動産関連や医薬品営業などの法人需要も根強く、個人需要との比率は半々にもなるとした。
横滑り防止装置標準化を滑り込みで回避!?
新型ラティオの価格は、商用グレード「B」1,338,100円から、最上級グレード「G」1,698,900円まで。このほか、乗降のサポートを図る「ラティオ 助手席回転シート」仕様も、オーテックジャパンの扱いにより「X」と「G」の各グレードに設定される。
なお全車CVT仕様、FFモデルのみで、4WDの設定は今のところない。
注意したいのは、国土交通省が平成24年10月1日以降に型式認定される新型車に取り付けを義務付けた安全装置の「横滑り防止装置」(VDC)が、ラティオの場合は最上級の「G」グレードにのみ標準装備で、他のモデルについてはオプション設定となっている点だ。型式認定期限前に申請されたことから標準化せずに認可されたようだが、釈然としない部分である。今後発売されるクルマには順次標準装備化されるものであり、ラティオを買うのならしっかりオプションで装備しておきたい。
[※価格は全て消費税込み]
◎ラティオの情報はこちらも併せてチェック!
■日産 新型ラティオ 新型車解説/渡辺陽一郎[2012年10月5日]
[Text&Photo:オートックワン編集部]
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