佐藤琢磨、悲願のインディ500初優勝!喜びの“ミルク一気飲み”
5月28日、日本人ドライバーの佐藤琢磨選手がインディ500で悲願の初優勝を果たし、日本人ドライバー初の快挙を成し遂げた。
▽琢磨選手のコメント
「勝ちました!!世界最高のレースで勝ちました!信じられないほどの感激です。チームには感謝してもしきれないほどです。ファンタスティックです。厳しいレースでした。そして、エリオ・カストロネベスは本当にフェアに戦ってくれました。だからアウトサイドからパスを仕掛けることができました。すばらしいバトルになっていました。ファンの皆さんも楽しんでくれたと思います。12歳のころから、こういった大きなレースで勝つことを夢見てきました。これまで私をサポートしてきてくれた方々には感謝しても感謝しきれません。最後の3ラップを迎えるまで、だれが勝つか全く分からないレースになっていました。私とエリオとはサイドバイサイドで残り3ラップに突入しました。そこからは、もうアタックするしかなかったです。完全にアクセルを全開に保ったままの戦いです。それを成功させ、彼を突き放すことができました。最高のレースになりました」
インディカー・シリーズの中で最も価値のある勝利、参戦するドライバー誰しもが1番勝ちたいのが「インディ500」。F1の「モナコグランプリ」、WECの「ル・マン24」と並んで世界3大レースと呼ばれている。
4番グリッドからスタートした琢磨選手は、ラスト5周でトップに躍り出るとそのまま逃げ切る形でチェッカーを受けた。ゴール直後、小さく右手でガッツポーズをしている姿が印象的だった。
F1を足掛け7シーズン戦ったあとの2010年に、アメリカの最高峰オープンホイールチャンピオンシップであるインディカー・シリーズにフル参戦を始めた琢磨選手は、2013年4月にロングビーチで日本人として初めて、インディカーレースで勝利を挙げた。そして今回、世界で最も長い歴史を誇り、世界で最も多くの観客を集めて開催されるレースを、日本人として初めて制し、伝統に則ってビクトリーレーンでミルクを飲んだ。実はインディ500勝者の「ミルクの一気飲み」は恒例行事。勝ったものだけが許される栄光なのだ。
◆レースレポート
雨の心配もされた中でスタートしたインディ500の決勝レースだったが、200周のゴールまで凄まじいバトルが続き、幸いにも雨による中断はなかった。しかし、接近戦が続いたがゆえに頻発するアクシデントで、一度の赤旗を含めて合計11度ものフルコースコーションが出された。
琢磨選手は予選4番手で2列目グリッドのイン側からスタートし、レース序盤はトップグループを保っていたが、82周目のピットストップで時間をロスしたために大きくポジションダウン。89周目には17番手に下がるも、冷静な戦いぶりを保って着々と一つずつポジションを回復。そうして、122周目には6番手までばん回し、そこからはトップを視野に入れた戦いを展開していった。
レースが残り50周となったとき、琢磨選手は10番手につけており、イエロー中の168周目に行ったピットストップのあとには、5番手にポジションをアップさせた。172周目に4番手となった琢磨選手は、175周目に一つ順位を下げたが、すぐに挽回し、179周目にはターン1でアウトから一挙に2台、豪快にオーバーテイク。このアタックが決定的だった。
その後はインディ500を3度制覇しているエリオ・カストロネベス選手(シボレー)と6周にわたるし烈な一騎打ちに。そして琢磨選手は、追いすがりアタックを仕掛けてくるカストロネベス選手を振りきり、チェッカーフラッグを受けた。
また、ルーキーのエド・ジョーンズ選手(Dale Coyne Racing)が予選11番手から3位でフィニッシュ。アクシデントでまき散らされた破片にぶつかるなど、2度もマシンにダメージを受けながらも、見事にマシンをゴールまで運びトップ3でゴールした。
◆インディ初挑戦のアロンソはトップを走行するもリタイヤに終わる
ホンダドライバーたちはほかにも、マックス・チルトン選手(Chip Ganassi Racing)は最多の50周をリードして4位。トニー・カナーン選手(Chip Ganassi Racing)が5位でゴールした。
メカニカルトラブルにより、2014年ウイナーのライアン・ハンターレイ選手(Andretti Autosport)、2度のF1ワールドチャンピオンに輝いているフェルナンド・アロンソ選手(McLaren-Honda-Andretti)がリタイアを喫した。アロンソ選手は初挑戦のインディでありながら、28周をリードするすばらしい走りを披露した。
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