ジープ グランドチェロキーSRT8 試乗レポート/松田秀士(2/2)
- 筆者: 松田 秀士
- カメラマン:オートックワン編集部
車重2425kgのモンスターをわずか5秒で時速100kmの世界へ
さて、さっそく走り出すこととしよう。
驚いたのはアクセルを踏み込んだ瞬間に頭が置き去りにされるような鋭いピックアップだった。
グランドチェロキーSRT8に搭載されるエンジンはV型8気筒OHVで6.1リッターのHEMIエンジン。
HEMIとはその昔のOHVエンジンのシリンダーヘッド形状がクサビ型だったのに対して、さらにバルブ面積を大きくとれる半球形にしたことで大幅に出力アップを成し遂げたテクノロジーに対してクライスラーが付けたエンジンブランド名だ。
そのスペックは426psの最大出力を6000rpmで、569Nmの最大トルクを4600rpmで発生する。
これにオフロードで鍛えたフルタイム4WD+5速ATとのコラボで車重2425kgのモンスターをわずか5秒で時速100kmの世界へとワープさせる。
“待ってろカイエン!”どころか“見たかカイエン!”なのだ。
ここでOHVエンジンについてすこし。OHVは旧世代の古いエンジン、という解釈がまかりとおってはいないだろうか?
OHVエンジンだってきちんと進化している。その証がこの高性能なHEMIエンジンでもあるのだが、OHVにはOHCやDOHCにはないメリットがもともとあることをご存じか?
OHVのカムシャフトはシリンダーの下側に取り付けられていて、プッシュロッドと呼ばれる棒の上下運動によってバルブを開閉させている。
このためシリンダーヘッド周りがカムシャフトを上部に置くOHCやDOHCに比べてコンパクトにできるのだ。つまり低重心化でき、歩行者傷害軽減ボディーなどのフロントエンジンカバー周りのデザインの自由度が上がる。
さらに部品点数、特に回転部分のパーツが少ないのでフリクション(抵抗)ロスが少なく効率が良いのだ。
説明がくどくなってしまったが、0→100km/h5秒の加速感は本当にすごい。そして、エクゾーストノートがアメリカンV8にしかない独特の乾いた咆哮。そんなに巻き舌使うなよ、と言いたくなるほど痺れる。
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