ホンダらしさ全開! ホンダeは超がつくほど小回りバツグン&走りは超新鮮なデキ(2/2)

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EVらしい爆発的加速は0! 力強さではなく気持ち良さがウリ

では、実際に乗るとどうか? 今回試乗したモデルは上級のアドバンスだ。第一印象はいい意味で「EVらしくないな」である。

モーターは内燃機関と違って「応答遅れ」はゼロ、アクセルを踏んだ瞬間から必要な駆動力が得られる……という意味ではEVの特徴は感じるが、他社製のEVのように踏んだ瞬間から「凄いでしょ!!」というようなエンターテイメント的な力強さではない。

あくまでもドライバーのペダル操作に合わせて必要なだけ力強さが増していく印象だが、後ろからグッと押されるRRの感覚は実感できる。

もちろん3リッターV6エンジン並みと謳われているトルクは数値以上の力強さを感じたが、これは航続距離を割り切ったことでバッテリー搭載による重要増も抑えてられているのが効いていると思う。

シニアチーフエンジニアを務めた一瀬氏は「EVはエコなのでECONモードは付けなかった」と語るが、個人的にはノーマル/スポーツだけでなく、もう少し穏やかな特性のモード(タウンモード!?)があってもいいように感じた。

クルマの動きは新鮮さバツグン

フットワークはいい意味では普通だ。直進時はコンパクトハッチであることを忘れるくらい重厚で路面にピターっと張り付くように真っ直ぐ走るが、そこからステアリングを切り込んでいくと、まるでギヤの精度が増したかのような高い応答性でキビキビとクルマのノーズをインに向けるハンドリングマシンに変貌する。

ただ、サスペンションはムダな動きは抑えるが決して引き締めすぎていない……と言う絶妙な味付けで、穏やかなのに一体感が高い、しなやかな動きなのにロール(車体の傾き)は少ないと言う不思議な感覚である。

つまり、従来のロールを抑えたわかりやすいスポーティさではなく、ロールを活かし綺麗に動かす……という新時代のスポーティというイメージ。これはモーターの特性(=振動が少ない)を活かしたマウント方法や、基本素性の良さ(前後重量配分50:50/低重心)を活かすことで、サスペンションを必要以上に固めなくても、理想の走りが実現できたのだろう。

転回やUターンが超ラクに

ホイールベース2530mmで最小回転半径4.3mの取り回しの良さは感動レベル。可変ギアレシオのステアリング(VGS)で大きく切る際にはクイックになるので操作は普通だが、Uターンや車高入れ時は慣れるまでは曲がり過ぎだと感じるレベルで、感覚としては後輪を軸に曲がっている印象だ。その時のフロントタイヤはドリフト競技マシンのような切れ角で驚く。これもRRのメリットのひとつだ。

乗り心地は若干ピッチング(前後の動き)を感じるものの、突き上げを含む路面からの入力を車体に伝えることなく、上手に吸収してくれるので非常に快適だ。ハンドリングと快適性のバランスという意味では、3/4代目オデッセイ・アブソルートや6/7代目アコード・ユーロRに似ているように感じた。

ブレーキが超自然! フツーのクルマと同じフィール

ブレーキは回生協調を採用するが、タッチもフィールも通常のブレーキと勘違いするくらい自然である。シングルペダルコントルール(いわゆるワンペダルドライブ)も用意され、パドルシフトを使って回生レベルを3段階で調整可能だが、最大(約0.18G)でも日産のそれより滑らかかつ自然な制動Gだと感じた。

割切り作戦成功? 結果超面白いクルマに

そろそろ結論に行こう。ホンダeは1台ですべてをカバーするオールラウンダーではないので誰でも勧められるモデルではない。

が、いい意味での「割り切り」がクルマとしての魅力を高めたモデルだ。そういう意味では、マーケティングや販売の要望から生まれたモデルではなく、「こんなクルマはどうだ!!」と言う提案型の商品で、久々にホンダらしい一台だと感じた。

恐らく好き嫌いは確実に出ると思うが、欲しい人にとってはズバッと突き刺さる一台だろう。

開発を担当したシニアチーフエンジニアの一瀬氏は「電動化が避けて通れない時代ですが、多くのモデルは『バッテリーに合わせて車体を選ぶ』『バッテリーに合わせてコンセプトを決める』モデルが多いなか、ホンダeは『本当にユーザーに必要なEVは何か?』と言う提案になります。航続距離を200km+αと割り切ることで、従来の延長線上ではない新しい価値を盛り込むことができました」と語る。

つまり、ホンダeは内燃機関モデルからの「置き換え」ではなく「棲み分け」と言う考え方のモデルなのだ。

【筆者:山本 シンヤ】

ホンダ/Honda e
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山本 シンヤ
筆者山本 シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し。「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“解りやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。西部警察は子供時代にリアルでTV放送を見て以来大ファンに。現在も暇があれば再放送を入念にチェックしており、当時の番組事情の分析も行なう。プラモデルやミニカー、資料の収集はもちろん、すでにコンプリートBOXも入手済み。現在は木暮課長が着るような派手な裏地のスーツとベストの購入を検討中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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