フォレスター・アウトランダー・CX-5 徹底比較 -個性派ユーザー注目の新型SUVが出揃った!-(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
走破力を高めて野生的な雰囲気を纏ったフォレスター
水平対向エンジンを搭載した個性的なSUV。エンジンはガソリンの2リッターのみだが、ターボも選べる。設計が新しく、ターボはレガシィにも搭載される「DIT」(ダイレクト・インジェクション・ターボ/直噴式のターボ)になる。
駆動方式はスバルらしく4WDに統一。他社のシティ派SUVには、通常は前輪駆動の2WD、あるいは前輪に駆動力の大半を配分した状態で走り、前輪が空転すると後輪にも駆動力を伝えて4WDになるタイプが多い。その点、スバルの場合は常に4WDで走り、コーナリングする時はフォレスターのAT車であれば多板クラッチで前後輪の回転数を調節する。
現行フォレスターでは「Xモード」を新採用。時速40km以下で滑りやすい路面を走る時に、駆動力の伝達効率を高められる。4WDの多板クラッチの締結力を強めて前後輪を直結状態に近づけ、空転が生じたホイールには、即座にブレーキをかけて駆動力の伝達が悪化するのを防ぐ。
時速20km以下で滑りやすい下り坂を走る時は、車両側がアクセルとブレーキを自動的に調節して安定性を維持するヒルディセント制御も備わる。
ボディサイズは、全長が4,595mm、全幅が1,795mm、全高が1,695mm。先代型に比べて35mm長く、15mm幅広く、20mm高まった。それでも全幅は1,800mm以下。今日のSUVでは比較的コンパクトだ。日本の街中でも相応に扱いやすい。
外観はフロントマスクに厚みを持たせ、先代型よりもSUVらしく野生的な印象に仕上げられた。全高を20mmほど高めたことも、視覚的な存在感を強めている。
大幅に変更されたボディスタイルと、外観と内装の両面で上質な雰囲気が感じられる
三菱は1982年に初代パジェロを発売。作業車だった4輪駆動車の流れを変えたが、今の日本市場では売りにくく販売台数も下降した。そこで新たなSUVの主役として2005年に登場したのが初代(先代)アウトランダー。プラットフォームはデリカD:5やギャランフォルティスと共通化され、シティ派SUVに分類される。
2代目の現行型は、プラットフォームを先代型と共通化しながら、内外装やメカニズムを刷新した。
ボディサイズは全長が4,655mm、全幅が1,800mm、全高が1,680mm。先代型に比べると全長が15mm伸びた程度の違いだが、外観は一変。先代型は明確な直線基調で、フロントマスクも鋭角的だったが、現行型は丸みを強めている。
日本のユーザーの視点に立てば、人気を得やすいのは先代型だろう。現行型のフロントマスクは斬新で、ボリューム感を強めたサイドビューは、相対的にタイヤを小さく見せてしまう。その一方で、ボディパネルの微妙な曲線が陰影を生み出し、質感は高い。
エンジンは直列4気筒の2.4リッターと2リッター。前者は4WD、後者は2WDとの組み合わせだ。4WDは多板クラッチを使うタイプ。走行モードはノーマルタイプの4WDには3種類、S-AWC装着車には4種類を用意する。いずれも前後輪の駆動力配分を走行状況に合わせて変更する。
S-AWCは8.4万円でオプション設定され、前輪側にアクティブフロントデフを装着。左右の駆動力配分の可変機能にブレーキ制御も組み合わせ、旋回軌跡の拡大を抑えるなど走行安定性を高める。なお、2013年の初頭には、プラグインハイブリッドのPHEVも加わる。
マツダの新しいスカイアクティブ技術で仕上げられた先進的なSUV
「スカイアクティブ」は、エンジンやトランスミッションからプラットフォーム、サスペンションにまでおよぶマツダの新しい技術シリーズ。この「スカイアクティブ・テクノロジー」をフルに採用した最初のモデルがCX-5だ。2車種目がアテンザになる。
特に注目されるのがエンジン。2リッターのガソリンも新開発されたが、注目度が高いのは2.2リッターのクリーンディーゼルターボだろう。独自の技術により、NOx(窒素酸化物)トラップ触媒など高価な排ガスの後処理装置を使わず、日本や欧州の排ガス規制をクリアした。
動力性能も高く、最高出力は175馬力(4,500回転)、最大トルクは42.8kg-m(2,000回転)。後者の数値はV型6気筒の4リッターガソリンエンジン並みだ。その一方で、ほかの2車種と同様にアイドリングストップを採用し、JC08モード燃費は2WDが18.6km/L。4WDは18km/Lになる。ディーゼルが使う軽油の単価は、ガソリンが1リッター当たり145円とすれば125円前後だから、燃料代も安い。
ちなみに2リッターのガソリンエンジンは、155馬力(6000回転)/20kg-m(4000回転)。JC08モード燃費は2WDが16.4km/Lで4WDは16km/Lだから、動力性能と燃費性能を見比べると、興味の対象はディーゼルになる。
駆動方式は2WDの前輪駆動と4WDで、走行状態に応じて前後輪の駆動力配分を100:1~50:50に電子制御で変化させる。多板クラッチを用いたポピュラーなタイプだ。
ボディサイズは全長が4540mm、全幅は1840mmとワイドで、全高も1705mmに達する。外観はフロントマスクに特徴があり、マツダ車の象徴とされる5角形のラジエターグリルをワイドにデザインした。日本の街中では少々運転しにくいサイズだが、外観はスポーティに仕上げられている。
デザイン・スペックの総評
3車種ともに3ナンバーサイズのシティ派SUVだが、それぞれ持ち味が違う。フォレスターは水平対向エンジンを搭載し、常に4輪を駆動する4WDを備えることが特徴。現行型はXモードを採用して走破力をさらに高めた。基本的にはシティ派だが、オフロードSUVの機能も盛り込み、持ち味はエクストレイルに近い。
アウトランダーも4WDの切り替え機能を備えるなどSUVらしさを重視するが、現行型では先代型のスポーティ指向から質感を重視する方向へ発展した。フォレスターがアクティブに変化したのとは対称的だ。現行アウトランダーは、デザインを含めて日本の市場動向に沿いにくい面はあるが、真っ先に投入されたロシア、あるいは中国など海外市場の好みには合っている。
CX-5は機能を考えるとシティ派SUVに属するが、カテゴリー以上にマツダ色、スカイアクティブテクノロジーを前面に打ち出す。顧客の興味もクリーンディーゼルターボのスカイアクティブ-Dなどに注がれ、「SUVだから」ではなく「マツダの先進技術が詰まった新鮮なクルマだから」という理由で選ばれる対象になっている。
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