トヨタ 新型クラウン(2012年12月フルモデルチェンジ)新型車解説 -斬新なフロントマスクは賛否両論!?-(1/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
国産高級セダンの主役、14代目となる新型クラウンが登場!
セダンが売れない、大排気量車の販売が不振といわれる昨今だが、クラウンは高級セダンでありながら堅調に売れ続けている。
その理由は大きく分けて3つある。ひとつはLサイズセダンでありながら、ほかの多くの車種と違って海外向けではなく「日本人が抱く高級感」を追求し続けていること。
2つ目はディーラーであるトヨタ店の販売力だ。国内で約1,000店舗という規模を誇るのみならず、長年にわたってクラウンの販売に力を注ぎ、代替えユーザーを守ってきた。
3つ目はクラウンの伝統。初代モデルの投入は1955年に遡る。1954年に改名したランドクルーザーと並び、日本車ではきわめて長い歴史を持つ。セダンに限れば最長寿モデルだ。クラウンはトヨタ車の根幹に位置するモデル。国産高級セダンの主役ともいえる。
そのクラウンが、2012年12月25日にフルモデルチェンジを受けて14代目となった。
斬新なフロントマスクは、やっぱり賛否両論!?
長年にわたり、クラウンのフロントマスクは高級セダンらしいオーソドックスなデザインが採用されてきた。横長のバンパーが配置され、その上下にラジエターグリルを二分割するレイアウトだ。
ところが新型クラウンでは、バンパーの中央部がカットされ、上下に二分割されていたラジエターグリルを連結させた。アウディの「シングルフレームグリル」を連想させる造形で、フロントマスクには迫力が伴う。
クラウンは1999年に登場した11代目から、スポーティな「クラウンアスリート」を設定している。
この仕様は保守的なクラウンのイメージを変えるために設けられたので、斬新なフロントマスクも理解できるが、今回の刷新に至っては豪華指向のロイヤルにまで及んでいる。ロイヤルには法人需要も多く、フォーマルで背伸びをしない無難なセダンとして企業の社長が銀行に出向いたりする時にも使われる。
そのためか、ディーラーのセールスマンからは「新型クラウンのフロントマスクは賛否両論」との声が聞かれる。市場での評価は未知数だが、グレーのビジネススーツのようなクラウンに、大きな変革が図られたことは間違いない。
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