トヨタ 新型ランドクルーザープラド 試乗|マイナーチェンジで変わったところと、あえて変えなかったところ(1/2)

悪路向けに特化! 今や貴重な存在となった四輪駆動車“プラド”

近年のSUVの多くは、トヨタ車でいえばC-HRやハリアーのような前輪駆動をベースにしたシティ派モデルが主流となっている。大径のタイヤを装着して外観には迫力が伴い、ボディ上側の形状はワゴンや5ドアハッチバックと同様だから、居住性や積載性も優れている。カッコ良さと実用性を両立させて、SUVは人気のカテゴリーになった。

しかし時代を遡ると、SUVは悪路を走る性能を高めた4WD(4輪駆動)車として誕生している。大径のタイヤ、余裕のある最低地上高などは、いずれも悪路を走る目的で採用された。

このような悪路向けのオフロードSUVは、シティ派モデルとは対照的に車種を減らしたが、今でも根強い需要に支えられている。その貴重なモデルがトヨタ車であればランドクルーザー200と、ボディを少しコンパクトに抑えたランドクルーザープラドだ。

2017年9月に、このランドクルーザープラドがマイナーチェンジを行った。現行型プラドは2009年に発売され、既に8年が経過している。しかしオフロードSUVはセダンやハッチバックに比べてフルモデルチェンジを行う周期が長く、このタイミングで改めてマイナーチェンジが実施された。

マイナーチェンジの概要は、2017年9月22日に「トヨタランクルプラド最新情報」として掲載している。そこで今回は、ランドクルーザープラドの試乗車を使ってマイナーチェンジの内容を検証してみたい。

>>トヨタ ランクルプラド最新情報|マイナーチェンジで悪路走破性が向上。デザインや価格など変更点を徹底解説!

マイナーチェンジでリフレッシュされた新型プラドの内外装デザイン

外観デザインの風格は兄貴分のランクルに近付いた

ランドクルーザープラドのエンジンは、直列4気筒2.7リッターのガソリン、2.8リッターのクリーンディーゼルターボを用意している。今回の試乗車はディーゼル搭載のTZ-Gで最上級グレードに位置付けられるモデルだ。

まずはマイナーチェンジされたランドクルーザープラドの外観だが、2015年にマイナーチェンジを受けた兄貴分のランドクルーザーの印象に近づいた。フロントマスクは水平基調のデザインで、ボディのワイド感が強調されている。メッキグリルが派手ではあるが、変更前に比べると少しスッキリした印象も受ける。

次は乗降性をチェックする。変更前と同じだが、相変わらず乗り降りがしにくい。悪路の耐久性が優れたフレーム構造を採用し、なおかつ最低地上高に220mmの余裕を持たせたからだ。小さなサイドステップを使ってヨジ登る感覚になる。その代わり床が高いため、水の溜まった悪路も走りやすい。最大で700mmの深さの渡河性能を備える。

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煩雑過ぎるマルチテレインセレクト等の操作系は見直す時期に来ている

車内のデザインでは、インパネの形状を見直した。特にメーターパネルとインパネ中央の造形を刷新している。

注意したいのは、変更を受けてメーターの視認性が悪化したことだ。目盛りの数字をメーターの円周に沿って傾けたから、例えば時速20キロの表示などは、数字が左側へ横倒しになっている。明らかに見にくく元に戻すべきだ。

インパネの中央部では、マッド&サンド(泥道や砂地)、モーグル(激しいデコボコ)など、悪路の状態に応じてエンジンやブレーキの油圧制御を変えるマルチテレインセレクトのダイヤルスイッチを小さくした。このスペースを節約して、H4(高速の4WD)とL4(副変速機を使って駆動力を高めるローレンジの4WD)のスイッチをレバー式からダイヤル式に変更している。

マルチテレインセレクトは体が揺すられる悪路で使うから相応のサイズが必要だが、変更前は違和感が生じるほど大きかった。変更後は使い勝手は良いが、センターデフロックのスイッチはH4やL4とは別に装着している。これはひとつのダイヤルスイッチに、H4/H4+センターデフロック/L4+センターデフロックと集約した方が使いやすい。

ランドクルーザープラドの場合、センターデフのスイッチを分けることで、L4でセンターデフはフリーという使い方も可能だが、このニーズは想定しにくい。強いていえば舗装された急斜面を登りながら旋回する(これは危険な走り方だ)、L4でないと十分な加速力が得られない重いトレーラーを牽引するといった特殊な用途に限られる。

このほかエコ/コンフォート/スポーツSなど走行モードに応じてATや電子制御式ショックアブソーバー、エアコンなどを制御する“ドライブモードセレクト”スイッチも備わるから、操作スイッチ・ボタンの数がきわめて多い。オフロードSUVだから悪路向けのマルチテレインセレクトは理解できるが、舗装路向けのドライブモードは、最適なセッティングに統一した方が使いやすいだろう。「スイッチが多いクルマは高級」という見方は、メカニズムが発展途上にあった20~30年前の価値観だ。

新型ランドクルーザープラド、3列シートの使い勝手や居住性を評価する

居住性は従来と同様だ。TZ-Gには3列のシートが装着され、乗車定員を7名としている。前席はボリューム感のある座り心地で、肩まわりのサポート性も悪くない。設計は古いが、相応に満足のできる座り心地を得ている。

2列目は床が高いため、膝の持ち上がった座り方になる。それでもスライド位置を後端に寄せれば、身長170cmの大人4名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先には握りコブシ2つ半の余裕があるから窮屈には感じない。

3列目のシートは荷室に装着された補助席だ。2列目を前方にスライドさせると3列目にも大人が座れるが、床と座面の間隔が乏しいために膝が持ち上がって窮屈な姿勢になる。シート自体のサイズも小さく、大人が座るとすれば片道30分程度までだ。ミニバンのような使い方はできない。

そのためにTZ-G以外のグレードでは、3列シートの7人乗りと併せて2列シートの5人乗りも用意され、価格は5人乗りが15万4440円安い。5人乗りであれば荷室の容量が拡大して、荷物を隠すトノカバーも装着されるから積載性は向上する。

トヨタ/ランドクルーザープラド
トヨタ ランドクルーザープラドカタログを見る
新車価格:
366.6万円554.3万円
中古価格:
100万円759.4万円
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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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