トヨタ ランドクルーザープラド 試乗レポート/小沢コージ(1/4)
- 筆者: 小沢 コージ
- カメラマン:オートックワン編集部
もうパジェロなんて知らない!?
ほぼ7年ぶりに国産クロカン4WDの雄、ランドクルーザープラドがフルモデルチェンジを果たした。
ポイントはズバリ、最大のライバル、三菱パジェロの幻影からの離脱と、ますますのイイトコ取り宣言だ。
そもそもプラドの原案は80年代に生まれた「ちょっとナンパなランドクルーザー」だ。それまでランクルは初代40系に代表されるような質実剛健かつ硬派なクルマであり、しかし82年に乗用車テイストのパジェロが出るなり、いきなりうっちゃられた。
よって84年デビューのプラドの前身、ランクルワゴンはパジェロライクな2ドアワイドボディと、乗用車テイストなハイラックスサーフ譲りの直4エンジンを採用した、思いっきり「打倒パジェロ」で作られた。その後も2世代分のプラドが作られたが、「パジェロライクなデザイン&ハイラックスサーフ譲りの中身」という図式は同じだったのだ。
しかし、02年デビューの先代120系から若干変化が見られた。欧州市場を意識し、デザインをトヨタのヨーロッパスタジオ『ED2』が担当。パジェロから距離を置き始めた。
それはまさしく敵前逃亡。ちょうどその頃パジェロはそれまで持っていた影響力を無くしつつあり、反対にプラドが独自の魅力を完成させつつあったからである。
独自の魅力とはフレーム付きボディに代表される「頑強さ」と「信頼性」である。もはや同クラスのSUVで、フレーム付きボディを採用しているのは、ランクルぐらいしかなく、ランドローバーやVWはすべてモノコックかセミモノコックボディを採用。耐久性よりも居住性を優先させ始めた。
しかし、プラドは変わらずフレーム付きにこだわり、耐久性を重視しつつも快適性も勝ち取る“イイトコ取り作戦”に出た。今やメーカーが保証する耐用走行距離は30万キロとタクシー並み。凌駕するのは同じランクルの上位機種、200系ぐらいであり、冒頭で「ナンパ」とは言ったものの、今やプラドは快適性と耐久性の両立という意味で「ベストワン」かつ「オンリーワン」なクルマになりつつある。
実際、売られるのは世界170カ国以上と広く、そのうち日本市場が占める割合はわずか7%。ちなみに中国はその倍だ。よってプラドはもはやパジェロの幻影に悩まされることはなく、完全に独り立ちした。それが新型の最大の特徴なのである。
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