スズキ SX4 S-CROSS 試乗レポート/渡辺陽一郎(1/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:阿部昌也/茂呂幸正
スズキ製の輸入車「SX4 S-CROSS」
スズキは日本では軽自動車のメーカーとしてお馴染みだ。2014年の販売統計を見ると、国内で売られたスズキ車の内、軽自動車が約90%を占める。
しかし今のスズキは、海外でも売れ行きを伸ばしている。2014年にスズキは約302万台の4輪車を生産して、この内の約65%は海外で販売された。国内比率は35%になる。今は国内の販売比率が20%以下のメーカーが多く、スズキは日本市場の依存度が高いが、海外向けに開発された小型&普通車も少なくない。
そのひとつが、2015年2月19日に発売されたSUVのスズキ「SX4 S-CROSS」だ。SX4の2代目だが、現行型は日本仕様もハンガリーの「マジャールスズキ社」が生産する。つまりスズキ製の輸入車。ハンガリー以外に中国でも長安汽車によって生産されるから、合計すれば1年間の生産台数は約15万台に達する。
この内、日本で売られるのは約600台。1ヶ月当たり50台だから、輸入車とはいえ、日本メーカー製の販売台数としては最小レベルになる。
よりSUVルックとなったSX4
外観は先代(初代)SX4に比べてSUVらしさを強めた。正確にいえば、先代型の外観は、SUVでは特殊なデザインだった。視界の良さに重点を置き、サイドウインドウの下端を低く抑えている。低い位置の障害物を発見しやすく、安全性と取りまわし性に優れたボディだったが、売れ行きは伸び悩んだ。外観がコンパクトカー風で、「スイフト」の姉妹車のようにも見えたからだ。
先代SX4の価格は、1.5リッターエンジン(登場時点では2リッターもあった)を積んだSUVとして妥当だったが、スイフトに似ていると割高に感じてしまう。これも不人気の理由であった。
そこで2代目の現行SX4 S-CROSSは、サイドウインドウの下端を大幅に持ち上げた。全長は4300mmだから先代型よりも150mmほど長いが、1765mmの全幅、1575mmの全高は大差ない。それなのに現行型がひとまわり大きく、背が高く見えるのは、サイドウインドウの下端を持ち上げてSUVの存在感を身に付けたからだろう。
ワイドなグリルとディスチャージヘッドランプを備えたフロントマスクを含め、外観はカッコ良くなったが、先代型の抜群に優れた視界は失われた。前方の視界は開けているが、側方はいま一歩だ。斜め後方と真後ろは、ウインドウの下端がさらに高まって見にくい。
それでもボディがコンパクトで、最小回転半径も5.3mに収まるからSUVでは運転がしやすい部類だが、バックモニターは必要だろう。
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