打倒N-BOX スズキ新型スペーシアはハスラー路線で勝負か

N-BOX&タント対抗へ新型スペーシアが打った手とは

売れ行き絶好調のホンダ新型N-BOXに待ったを掛けるべく、スズキ“スペーシア”がフルモデルチェンジしてきた。

従来型スペーシアを見ると人気度合い&売れ行きは伸び悩んだ。本来ならダイハツ タントをライバルとして設定していたのだけれど、目標のタントに届かないばかりか、N-BOXに圧倒され大苦戦となってしまう。

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スズキとしては「内容的な問題無し。ただデザインが地味すぎた」と判断したのだろう。写真を見て解る通り、先代と全く違うイメージを採用してきた。新型スペーシアの外観デザインは海外旅行用スーツケースのようにしたかったという。デザインで成功したハスラーと同じ路線を狙いましょう、ということなんだと思う。

スペックは全高こそ伸ばしたものの基本、従来型を引き継ぐ。2017年9月に登場した新型N-BOXのようにエンジンやミッションまで小型化してキャビンスペースを確保しよう、という意気込みなどは無し。「軽自動車はデザインとCMさえ上手に出来れば売れる」というのがスズキやダイハツの方向性だ。「だからこそホンダにやられた」ということは考えていないと思う。

なぜそう言えるのか? まずカタログにユーザーを惑わせる表記を書いてある。自動ブレーキは『レーザーレーダー』という表記。レーザーは赤外線で、英語表記の「L」は光のライトを示す。一方、レーダーの英語表記は「R」から始まり、レディオの意味。つまり電波です。コストや性能が全く違う。

レーザーとレーダーの性能の差とは

これは、何度もスズキに言ってるの全く変えようとしない。新型スペーシアの自動ブレーキは、レーザー+カメラ式という比較的安価なシステムで、新型N-BOXのレーダー+カメラ式より明確に一段センサー性能は劣る。だからこそ新型N-BOXには付いているACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール「定速走行・車間距離制御装置」)機能が付いていないのだ。

レーザー+カメラ式が苦手とする歩行者に対しての自動ブレーキ性能も、実際の性能は不明。カタログにも停止可能速度は明記されていない。大ざっぱに評価するとダイハツよりマシかもしれないが、新型N-BOXのレーダー+カメラ式には全く届いていないと考えていいだろう。

自動ブレーキに限らず一時が万事こうだとやっぱり厳しい。ということを慧眼な日本のユーザーは見抜いているんだと思う。

衝突安全性の高さや、サイド&カーテンエアバッグの先行採用を見ても新型N-BOXの方がユーザーの方を向いている。デザインとCMで買うというユーザーもまだまだ多いと思うけれど、やはり自動車は命を預ける乗り物だ。

もちろんデザインを一新した新型スペーシアが、デザイン的にはキープコンセプトの新型N-BOXを凌ぐ売れ行きになるかもしれない。このあたりは全く読めず。ただ個人的には安全面においても白ナンバーの普通車と同じようなクルマ作りをしている新型N-BOXが強いと思う。今後の販売動向がどうなるか楽しみだ。

[Text:国沢光宏]

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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