急速に広がるメーカー間のOEM戦略/松下宏のコラム(2/4)
- 筆者: 松下 宏
トヨタ・ダイハツ/共同開発も含め多数のOEM
トヨタは昔から、ダイハツとの間で相互にOEM車の供給を行ってきた。
基本的には、ダイハツが得意とする小さなクルマの供給をトヨタが受ける形で行われるが、相互にという考えからダイハツへも大きめの乗用車が供給されてきた。
「トヨタ カムリ」のダイハツ版であるアルティスを供給してきたのはその一例だが、ダイハツのディーラーで3ナンバー乗用車はあまり売れず、今ではアルティスは絶版車となっている。
最近では、トヨタとダイハツが共同でコンセプトワークなどを行い、具体的な開発の作業はダイハツが受け持ち、ダイハツの工場で生産したクルマをトヨタでも販売する、という形式が取られている。
「トヨタ パッソ」と「ダイハツ ブーン」、「トヨタ パッソセッテ」と「ダイハツ ブーンルミナス」、「トヨタ ラッシュ」と「ダイハツ ビーゴ」などがこの形で開発・販売されている。
そして、いずれの車種も販売網が強力なトヨタのほうが良く売れる、という結果が出ている。
OEMは販売力の弱いメーカーから強いメーカーへ供給するのが成功の秘訣である。逆のパターンである前述のアルティスがうまく行かなかったのとは対照的だ。
なお、2011年からはトヨタがダイハツから軽自動車のOEM供給を受けることが決まっており、乗用車は「ダイハツ ムーヴコンテ」ともう1車種、他に商用車の「ダイハツ ハイゼット」が供給される予定だ。
トヨタ・ダイハツ間ではOEM供給のほかにも「生産委託」があり、「トヨタ ノア/ヴォククシー」や「トヨタ プロボックス/サクシード」などはダイハツの工場で生産されている。
スバル/トヨタ・ダイハツに加わって複雑化した関係
こうしたトヨタとダイハツとの関係に加わってきたのが、トヨタと資本提携を結んだスバルだ。
スバルは軽自動車だけでなくコンパクトカーの「トヨタ bB」を「スバル デックス」として供給を受けているし、「トヨタ ラクティス」を「スバル トレジア」として供給を受けている。
bBはダイハツの「クー」も合わせて3兄弟になり、ラクティスの開発の実務は多くの部分をスバルの技術者がトヨタに出向して担当するなどした。
なお、スバル/トヨタで共同開発中のコンパクトスポーツ「FT86」が年内発表との噂が流れている。
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