急速に広がるメーカー間のOEM戦略/松下宏のコラム(1/4)

急速に広がるメーカー間のOEM戦略/松下宏のコラム
トヨタ ダイハツ軽自動車OEM供給合意 ダイハツ アルティス トヨタ パッソセッテ ダイハツ ブーンルミナス スバル ルクラ トヨタ FT-86コンセプト マツダ AZワゴン マツダ キャロル マツダ AZオフロード (左)日産自動車 カルロス ゴーンCEO/(右)三菱自動車 益子 修取締役社長 日産自動車 カルロス ゴーンCEO 画像ギャラリーはこちら

メーカー間で広がるOEM供給

OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略だ。相手先ブランドによる製造を意味する言葉である。

家電業界では早くからOEMが行われていて、特定の家電の生産を得意とするメーカーにほかのメーカーが生産を依頼し、自社ブランドの商品として販売する方式が採用されてきた。

最近は自動車業界でもOEM供給が進み、特に自社で軽自動車を生産していない日産が、スズキや三菱から供給を受けて自社のネットワークで販売してきた。

トヨタ ダイハツ軽自動車OEM供給合意

軽自動車については、トヨタもダイハツからOEM供給を受けることが発表されている。

また、先日も三菱が「スズキ ソリオ」ベースのOEM供給を受けることが発表され、他にも日産が「マツダ プレマシー」ベースのミニバンOEM供給に関する契約が締結されるなど、OEMに関する話題にはこと欠かない。

これまではグループ会社として相互供給をしていたトヨタとダイハツ間の車種を除くと、OEM供給が行われる大半は軽自動車であったが、それがさらに拡大する様相を示してきたというのが近況である。

開発負担なしでラインナップ強化

多くの販売台数が見込めない車種などは、増大傾向が強まる開発コストを取り戻すのが難しいケースも増えているが、OEM供給ならば直接的な開発コストを負担せずに済む。

OEM供給を受ける側のメリットとしては「自社で開発コストを負担することなく、商品ラインナップが拡大できること」だ。

OEM供給側のメリットとしては、「販売台数の増加によって、開発コストの回収が容易になること」である。

OEM供給はメーカーにとっては良い面が多く、両方がWin-Winの関係を築きやすいが、実はディーラーにとっては甚だ迷惑な話である。特に、OEM供給元のディーラーが迷惑をこうむる。

本当なら自社だけで売れるはずのクルマが、OEM供給によって他のメーカー系列ディーラーで販売されてしまうので、売り上げ減につながるからだ。場合によっては、値引きでの競合を迫られることにもなる。

あまりOEM供給が広がると、メーカーのアイデンティティが薄れることにもなりかねないし、ユーザーとしても同じクルマが違う名前で売られているというのは、そもそも分かりにくい。

OEM供給は、必ずしも良いことづくめではないのだ。どんな車種をどのような形でOEM供給するかについての考え方には、それぞれのメーカーごとに温度差がある。

次頁からは、個別メーカーごとにOEMの事例を見ていこう。

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松下 宏
筆者松下 宏

自動車そのものはもとよりクルマに関連する経済的な話題に詳しい自動車評論家。新車、中古車を含めてユーザーサイドに立った的確な購入アドバイスを語ることで定評がある。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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