急速に広がるメーカー間のOEM戦略/松下宏のコラム(4/4)
- 筆者: 松下 宏
ホンダ/かつてはOEM供給を受けた時期も
ホンダは現在、国産メーカーで唯一OEM車を供給したり供給を受けたりしていない。
独立独歩の道を歩むのはホンダらしい姿勢だが、ホンダもかつてはいろいろな車種のOEM供給を受けていた時期がある。
ホンダは乗用車の生産ラインしか持っておらず、トラック系の車種の生産ができないため、いわゆるRVブームでオフロードタイプ4WD車の人気が盛り上がった時期に、いすゞからビッグホーンのOEM供給を受け、ホライゾンとして販売していた時期があった。
ちなみにビッグホーンはスバルにも供給され、ビッグホーンの名前のままで販売されていた事がある。この時代にはホンダからシビックやアコードをベースにしたクルマがジェミニやアスカとして供給されていた。
ほかにも相手先ブランドのままで販売していたのでOEMではないが、英国でローバーと提携していた時期にはその縁でランドローバーからディスカバリーの供給を受けていたし、またクライスラーからジープ・チェロキーの供給受けていた時期もあった。
海外メーカーとの提携/OEMのルーツといえるのはカルタス
OEM供給は国内の自動車メーカー間だけの話ではない。ホンダの例にもあるように、海外メーカーとの提携も色々とある。
最初の本格的なOEMは、小型車作りのノウハウを持たなかったGMが、燃費規制などに対応するためスズキからカルタスをベースにしたクルマのOEM供給を受けた例だった。
初代カルタスベースのクルマは、シボレーブランドではスプリント、ポンティアックブランドではファイヤーフライとして販売された。
スズキは、GMグループであった時期にワゴンRワイドをオペルに供給していたし、現在でもフィアットにSX4を供給している。
また三菱もプジョー・シトロエングループに対して、アウトランダーやi-MiEVをベースにしたクルマをOEM供給している。
相互補完とアイデンティティの均衡
クルマの開発コストが年々高騰し、1車種を開発するのに最低でも100億円単位のお金がかかるようになっているため、その負担から逃れることにつながるOEM供給は今後も広がっていくものと思われる。
メーカー間の提携は、技術レベルでも行われているが、商品レベルでのOEM供給は経営的な必然でもあるからだ。この記事の中では触れてはいないが、ライトバンや小型トラックなど商用車のOEM供給も盛んに行われており、車種ごとの生産委託などは世界的に広がる傾向にある。
日産と三菱が提携強化する中で、タイにある三菱の工場で、日産ブランドのピックアップトラックを生産する話が進んでいることなどは典型例である。
ただ、こうしたOEM供給が進むと、メーカーのアイデンティティが薄れることにつながる。
どちらのメーカーのクルマを買っても同じということになれば、個性的なクルマを求めるユーザーからは見向きもされなくなる。
しばらく前から“クルマの家電化”が叫ばれるようになったが、OEM供給される車種などはその家電化の最先端を行っているとも言える。
こうした車種を買うユーザーもクルマに対する興味の持ち方が異なり、趣味趣向の高い製品としてではなく、ごく普通に生活必需品を選ぶような感覚で選んでいるのだと思う。
だから、一部の車種でOEMによる相互供給は必要であり増えていくだろうが、それによって生まれた余裕をメーカーごとの個性が光る特徴的な商品の開発に振り向けていくのでなければ、OEMがクルマを衰退させるキッカケになりかねない。
OEMはあくまでも脇役で、自社ブランドを象徴するような独自性の高い商品が基本におかれるべきだ。
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