日産・ルノーとダイムラーの提携/森口将之(2/2)

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柔和な姿勢のダイムラーが欲する「エコカー」

電気自動車の分野でも、開発から普及まで密接な協力のもとに進めている。日産・ルノーの今後は、電気自動車の成否によるものの、しばらくは単独でやっていけるだろう。

しかしダイムラーは今後に危機感を抱いていた。だから日産・ルノーに接近し、資本提携を結んだのだ。

理由は「エコ」だった。

欧州交通環境連盟(EFTA)が昨年9月に発表した、欧州メーカーの1km走行あたりCO2排出量ランキングでは、フィアットが138gでトップに立ち、ルノーは143gで3位につけたのに対し、ダイムラーは175gで最下位だった。

メルセデス・ベンツはハイブリッドカーやディーゼルなどの環境対応車を用意するものの、車体が大きく重いから、絶対的な数字は伸びない。スマートはエコなクルマだが、2人乗りしかないためもあり、販売台数は限られている。

量販が見込めて環境性能の高い小型車が、ダイムラーは欲しかった。成長著しいアジアで戦うためにも、安価なエコカーは重要だ。

事実、今回の提携で最初に出た話は、スマートとルノー・トゥインゴの共同開発生産だったという。

もちろんエコには電気自動車も含まれる。日産・ルノーはこの分野のリーディングカンパニーといえる存在であり、彼らの技術を活用すれば、いち早く市販に漕ぎ着けられるという目論みもダイムラーにはあったはずだ。

このほか3社では、エンジンの共用、メルセデスとインフィニティの部品共通化、日中米工場における共同生産なども行う予定だという。

かつてのダイムラーからすると、かなり柔和な態度だが、同社も過去の提携の失敗を真摯に受け止め、今度の関係は絶対に成功させようと考えているのだろう。

資本の持ち合いが3.1%にとどまったのはその現われといえる。ダイムラーが今後も支配欲を見せずに、協調姿勢を保ち続けられるか。日仏独3社連合の命運は、この点に掛かっているといっていい。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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