日産・ルノーとダイムラーの提携/森口将之(1/2)

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日産・ルノーとは対照的なダイムラー

日産・ルノー連合がダイムラーと資本提携を結んだニュースを知って、11年前の「あのニュース」を思い出した人は少なくないだろう。

経営危機にあった日産は、ルノーとアライアンスを結ぶ直前、当時のダイムラー・クライスラーに資本提携を申し込んだ。しかしダイムラーは、かなり強引な要求を突きつけた。一説によれば日産の子会社化を提示したという。日産が難色を示すと、あっさり破談になった。

これに限らず、ダイムラーの提携話には強引さが目立つ。1998年のダイムラー・クライスラー設立時も、当初は対等合併といわれていたのに、時間が経過するにつれ、ダイムラーによるクライスラーの支配という構図が露になった。その結果、旧クライスラー株主が訴訟を起こすまでになった。

ダイムラーとクライスラーは、プラットフォームやエンジンの共有も積極的に行うつもりでいたが、プレミアムブランドのメルセデスとそうではないクライスラーの共用はイメージ的に好ましくないという結論に至り、シナジー効果をほとんど生かせないまま2007年の破談を迎えた。

この間ダイムラーは2000年、クライスラーと関係の深かった三菱とも資本提携を結んでいるが、まもなく三菱のリコール問題が発覚し、経営状況が悪化すると、彼らにとって重要なトラック・バス部門を子会社化したのに対し、乗用車部門は支援を打ち切り、2005年に関係を解消してしまった。

対照的だったのが日産・ルノー連合で、1999年に手を組んでから現在まで、歩調に乱れはない。ここまで成功した理由は「アライアンス」という表現に集約されているような気がする。

アライアンスを日本語に訳すと、連合・同盟という意味になる。支配関係のない、ゆるやかな提携と言い換えることができる。乗り物の世界では航空会社の「スター・アライアンス」が有名だ。

白黒つけたがるドイツ人に対し、フランス人は日本人と同じように、あいまいな部分を大切にする。

資本の持ち合い比率でいえば、ルノーは日産株の44.3%を所有するのに、日産が持つルノー株は15%にすぎないから、日産は子会社だと表明してもいいのに、ルノーは「アライアンス」にこだわる。

強者と弱者という関係を築かなかったからこそ、マーチとルーテシアが同一のプラットフォームで設計され、ガソリンエンジンは日産、ディーゼルはルノーが担当するという役割分担ができた。

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樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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